見出し画像

喜多川泰著「運転者」から亡き父のメッセージをいただいた話

こんにちは。かんぴこです。


父の旅立ちから一週間が経ちました。



持病もなく現役で農業を続けていた父は、

親戚中から「あと10年は大丈夫ね。」
と言われるくらい元気な人で、

旅立つ日も日常と変わらぬ日々を
送っていました。



父の突然の死は、家族にとって青天の霹靂。


急性心不全だったため最期の言葉も交わすことができませんでした。


我が家を襲ったこの不幸は、

経験する必要のないこととして
私には受け入れがたいものでした…


が、喜多川泰著「運転者」との出会いにより
私の人生に対する価値観が丸ごと変わった気がします。


今日は、ご先祖様の導きにより出会った?
本著から考えたことを綴りたいと思います。


生前の父の口癖は「先祖を大切に」でした。
そんな父に対し
「先祖じゃなくて、今いる私達を大切にしてほしいわ」とぼやく母。


これまで、ご先祖様の存在や恩恵なんて意識して生きてこなかったのですが、

父亡き後、ご先祖様の力を意識せざるを得ない偶然が起こり、

喪失感でいっぱいの心が少しずつ癒えてきました。


喜多川泰著「運転者」。

初版は2019年3月ですが、
ふとしたきっかけで初七日の翌日に手に取り読むことになりました。

この本に描かれる主人公(修一)のご先祖の生き方が、
まさに父と重なる部分が多く、ぐいぐい引き込まれました。

うちの父は、
人に頼まれると快く引き受け、
頼まれた以上のものを返すような、
いわゆるお人よし。


話好きで情け深い性格の父は、
私利私欲を満たす人生とは全く逆をいく人でした。


人生トータルで見ると、
自分のしたことよりも得ることを
できるだけ小さくした『損』な生き方の人でした。

「運転者」の中で表現される

「自分が使ってきた運よりも次の時代のために貯めていく運の方を多くするような生き方」

と似ています。

父のよく言っていた
「先祖のおかげで今の自分たちがある」の言葉の意味は、
物理的な資産のことではなく「運」のことだったのではないかと思います。

先祖の努力や成果が子孫に表れる。
だから、父も私達がその恩恵にあやかれるよう
人に尽くし努力してきたのではないか…と。


自分の人生での成果や賞賛は、
全て自分の努力の成果だと思って疑いもしませんでしたが、

タイミングや出会いや巡ってくるチャンス等は
自分の力ではどうにもなりません。



もしかしたら人知を超えたもの(=先祖の力)によって
もたらされた成果なのではないか、



もしかしたらご先祖様が貯めた運を私が使っただけで、
自分の手柄ではなかったのかも…


と思うようになりました。


そんな宇宙の摂理のようなことを
父は心の深いところで知っていて、

その生きざまを通して私たちに教えてくれたのだと思います。

そして、ネガティブな場面でも
冗談で場を和ませる
カラッとした性格の父が

言い残したかったであろう
もう一つのメッセージ。

「起こったことに対してプラスに考える」


本の中では、運転手が

「考えてみてくださいよ。
自分の人生にとって何がプラスで何がマイナスかなんて、それが起こっているときには、誰にもわかりませんよ。

どんなことが起こっても、起こったことを自分の人生において必要な経験に変えていくというのが〈生きる〉ってことです。

だから、どんな出来事だってプラスにできますし、逆にどんな出来事もマイナスに変えてしまうことだってできる。

本当のプラス思考というのは、自分の人生でどんなことが起こっても、

それが自分の人生においてどうしても必要だから起こった大切な経験だと
思えるってことでしょう。
喜多川泰著「運転者」

我が家に起こった想定外の不幸。
「これも将来の自分にとってプラスなんだ」と
納得することは今はできないけれど、

いつかそう思える日がきっとくると信じたいです。


「運転者」には、父の思いを代弁してくれるフレーズが
たくさん散りばめられていて、

心の傷もまだ癒えぬ私にとって最幸の癒しとなりました。

著者の喜多川泰様に、心より感謝申し上げます。

私も父の娘らしく、
後世にプラスを残せる生き方をしたいな。

この思いが父に届きますように…。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?