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(ミステリーホラー)混沌の化神 -12

定食屋を後にした二人は、亜矢子の車で5分もかからず彼女の家に着いた。
いつもの定位置に車を停めようとバックしていると、家の裏手から表に向かってくる父親の姿が。

馬場は助手席の窓をくるくると開けると、こちらを見ながら近づいて来る推定、亜矢子の父親であろう人物に向かって会釈をする。
「こんにちは。」
「おお、こんにちは。」
今朝の話からおおよそ相手を察した父親は、若干の不機嫌さを隠せずにそっけなく挨拶を返すと、玄関から家の中へと入っていく。
おそらく件の男だろう。自分もそれなりのことをしてきた経験があるだけに、娘に近づく男もどうしたってそのように見えてしまう。思えば台所で何やら洗っている妻に関しても始まりは…、そんなことに思いを巡らせながらリビングに座り込んだ男は、どうやって対応しようか、どうすれば余裕のある父親を演じながら娘から男を引きはがせるのかを考えていた。

「どう思われただろ。」
「ん?特に何にもないと思うよ。ただの知り合いだと思われてるだけじゃない?」
二人の様子を見て、こっそりほくそ笑む亜矢子。
「お父さん、ひょっとして怖い人?なんか、雰囲気が…」
亜矢子が駐車を終えると馬場は少し不安になったようで、このまま青山宅に向かう時間まで車内にいようかと考え始めていた。
「うーん、一般的にみたらかなりやんちゃなほうではあるかも。今でも朝まで帰ってこないこともあるみたいよ??」
「うぅ、、僕は時間までどこかで時間つぶすよ。さんぽでもしながらさ。後で連絡して。」
馬場はそう言い残すと車を降り、こともなげに見せながら、そそくさと元来た道を徒歩で戻り始めた。
やはりここは亜矢子宅にお邪魔するのは避けておいたほうが良さそうだと判断したようだ。
亜矢子は小さくにやりと微笑むと、自分も車を降り、馬場の背中に向かって声をかけた。
「そんなびびりに付いてこられても全然心強くないんだけど!13:30にここ集合ね!」
男は情けないと思いつつも、振り返りざまに手を挙げた。

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