貸金庫に絶対に入れてはいけないもの
相続と認知症から大切な家族と財産を守り、円満な資産の承継を支える司法書士の野田啓紀です。
大切な書類などをまもるために、貸金庫を利用されている方がおられます。
しかし、相続が起こったり、認知症になってしまったりしたときのことを考えると、貸金庫には絶対に入れてはいけないものがあります。
契約している本人以外が貸金庫を開けることは、とても難しいという前提があります。
遺言書
貸金庫を契約していた方がお亡くなりになった後、その貸金庫を開けるには、通常は、契約者の相続人全員の同意と立会いが求められます。
一部の相続人だけで勝手に開けられてしまうと、中身を取った取られた、なくなったと、争いごとになってしまうためです。
もともと、遺言書は、財産をもらった相続人が円滑に引き継ぐためにつくるほか、相続人間の争いを避けるためにつくるものです。それにもかかわらず、相続人全員の協力がなければ、貸金庫を開けることができないのであれば、遺言書をつくった意味がなくなってしまいます。
遺言書には、遺言執行者を定め、その者に貸金庫を開けられる権限を記載しておけば、単独で開扉することができます。
しかし、当の遺言書が貸金庫の中にあれば、これを開ける権限を証明しようにも、その遺言書を貸金庫から取り出すまではできません。堂々めぐりとなり、結局は相続人全員に協力を得て、貸金庫を開けることになります。
保険証券
医療保険や生命保険に加入している方が、給付金を請求しようとしたところ、証券が貸金庫に入っていれば、請求するときに困ります。
保険は、なにかあったときに保障をしてもらうために加入しています。たとえば、入院や手術のときの費用に充てたり、認知症や要介護認定を受けたときに給付金が支払われたりする保険もあります。
しかしながら、病気で入院しているときや、認知症で判断能力が低下していれば、自分で貸金庫を開けにいくことができません。
せっかく保険に入っていたのに、必要なときに使えないのでは意味がなくなってしまいます。そのために、前もって、保険の請求ができる代理人を指名して届け出る方法も用意されています。
なにもしていなければ、その都度、委任状を作成して、家族が代理人として解錠をすることとなりますが、病床にあったり、認知症になってしまっていたりすれば、委任することが難しくなります。
もっとも重要なことは、どこの保険会社で、どのような保険に加入しているか、家族で情報共有をすることです。
貸金庫は早めに解約を
必要なときに、誰も手を出せない開かずの間になってしまっては、何の意味もありません。
特に、認知症対策という観点からは、貸金庫は早めに解約することをおすすめしております。
まずは、貸金庫を利用されている方は、契約先の金融機関や支店名を必ず家族と共有し、代理人届出の手続をしておきましょう。
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