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『フリーランスで成功するための“10の秘訣”』Vol.5 自分の価値がわかっている/お金の価値がわかっている

6. 自分の価値がわかっている

いきなりですが、「プロの音楽家としての自分の価値は何なのか(どこにあるのか)」について考えた事はありますか?
音楽に限らず、プロというのは、自分がもっている能力を他人に評価してもらい、その対価(報酬)を得られる人の事を言います。


たとえば高級レストランの場合、一流シェフがいて、美味しい料理を出し、スタッフのサービスも行き届いているからこそ高いお金を取る事が出来ます。

ハンバーガーや牛丼など、ファストフードチェーンの場合は、アルバイトが作っても、どこで食べても味やサービスが均一で、高級レストランと比べて特別美味しくはないけど、値段が安く、すぐに提供されるからこそ需要がありますよね。

自分の得意な事、不得意な事を把握する能力

話を音楽に戻しますが、プロの音楽家と言っても十人十色で、(報酬を得る)手段はいろいろあります。

ストレートな表現をすれば、「自分のどの能力でお金を取れるか」ですね。

初回のブログで「自分は凡人です」と書きましたが、僕よりトロンボーンがうまい人はいくらでもいます。

・僕はクラシックよりもジャズやポップスが好きで、そちらのほうが向いていたので、今はそれを仕事にしています。

・トロンボーンを吹くだけでなく、作編曲にも興味があり、それも仕事になっています(そのための譜面作成ソフトなどの使い方も勉強しました)。

・レッスンの仕事もたくさんやっていますが、僕はプロを目指すためのレッスンより、アマチュアが趣味として楽しむためのノウハウを提供するレッスンに特化しています。

これらは僕の活動の一部ですが、自分は何が得意で、何が不得意なのかを自己判断出来ているほうなのかもわかりません。

得意なら、その部分を伸ばす事も出来るし、不得意な部分を補う努力も出来ますよね
そしてこの能力は、次回「8. 自己投資が出来る」での「適切な投資」にも関係してくると思います。

※自分は何が出来るのかをわかってもらう必要性は、「7人の輝く音楽家たち」の中で、サックスの福井さんも語ってくれていますので、参考にしてみてください。

参考:Vol.7 「好きこそものの上手なれ」好きならどんな苦労も乗り越えられる! / 福井健太さん(サックス)

7. お金の価値がわかっている

自分の価値に値段をつける能力

次に必要なのは、自分の価値に値段をつける能力です。フリーランスでは、特に重要だと思います。

日本はお金の話を前面に出すのはタブーとも言える国民性なので、決して簡単ではないかもしれません。

ですが、ビジネスで成功している人や企業では、実に当たり前にやっているのではないでしょうか。

たとえば、前述の高級レストランの場合、せっかく価値のあるものを提供しているのに、ファストフードのような安い値段で売ってしまったら、当然食材や人件費のほうが高くて、商売にはなりません。

逆に、ファストフードチェーンが高級レストランのような高い金額設定をしたら、当然お客さんはいなくなってしまいますよね。

また、料金が明確に書かれていないお寿司屋さんなんて、一般人は気軽に入れないですよね。

これと同じ考え方を、あなたは音楽の中でやらないと適正な報酬を得る事は出来ません。

おそらく音大ではこんな事を習わないでしょう。

でも、だからこそチャンスなんです!

大学の実技試験で1位を取っても、プロとして稼げない人もいれば、(僕のように)飛び抜けて楽器がうまくなくても、きちんと自立出来る可能性は十分にあります。

以下はほんの一例ですが、

①一つの商品に特化し、誰にも負けないレベルのものを高額で提供している

こちらは専門店の発想で、音楽で言えば、高い楽器の技術、才能があり、それだけで生活出来る人です。

②品数が豊富で、身近にあり、24時間いつでも欲しいものが手頃な値段で手に入る

こちらはコンビニエンスストアや、最近ではアマゾンのようなネット通販もこれに近いでしょう。

僕の場合の商品戦略

僕は業界最安値のような料金設定にしているつもりはありませんが、トロンボーンの演奏のほか、作編曲、レッスンなど、いろいろ取り揃えているという点では②に近いビジネスをやっています。

なおかつ、コンビニやファストフードのチェーン店のように、どこにでもある店ではなく、(個人として)1ヶ所でしか営業をしない専門店だけど、富裕層にしか手が届かないような金額ではなく、比較的リーズナブルな料金設定にしているという売り方(戦略)だと思います。

実は、僕は高校1年生くらいまでオーケストラに入りたいと思っていたのですが、もしも自分の好きな事、能力、価値を判断出来ずにずっとオケを目指していたら、当然今の自分はないでしょう。

自分の適正な価値と釣り合う仕事を選ぶ

お金に関しても目を背けず、(特にレッスンにおいては)料金体系も明確にしているので、適正な評価をしてくれないお客さんを断る事も出来ます。

先ほど、プロとしての価値は他人の評価によるものと書きましたが、必ずしも相手の評価を鵜呑みにしろという意味ではなく、自分を適正に評価してくれる人やクライアントさんと上手に付き合いましょうという話です。

受けた評価を真摯(しんし)に受け止め、「自分はまだまだこんなもの、さらに精進しよう」という謙虚さも必要だし、1時間3000円の価値があるレッスンに対し、「君のレッスンは1000円の価値だ」と言われたら、断ったほうが良い場合もありますね。

ボランティアでもそうです。僕は震災の復興支援や海外の貧困支援なども音楽でやっていますが、意義を感じないものは絶対にやりません。

たとえば、さほど親しくもない知人から「プロなんでしょ?今度オレの結婚式で(タダで)演奏してよ!」と言われたら、間違いなく断ります。

これは、知り合いの美容師さんに、「プロなんでしょ?オレの髪切ってよ!」とか、料理人に「ちょっと何か作ってよ!」と言っているのと同じで、プロというものに対しての理解、配慮がない、とても失礼な行為ですよね。

出版社に就職している編集者に「ちょっと原稿書いてよ」とか、システムエンジニアとして就職している人に「ちょっとパソコン作ってよ」は聞いた事がないのですが、フリーランスで音楽をやっていると、趣味でやっていると思われるのか、こういう事を言ってくる人が一定数存在します。

若いころは経験として場数を踏むのは大切なので、タダでもやるものに意義がある場合も多々ありますが(もちろん今の僕にもあります)、自分の価値を考えず、値段の設定が出来ない人は、結果、投資にもならない内容を引き受け、断る事も出来ず、そこに大切な時間を割かれ、スキルアップ、キャリアアップ出来ずに消えていきます。

お金の価値、自分の価値を知るには

お金の価値を知るための最も簡単な方法は、アルバイトの経験ではないでしょうか。
1時間に1000円稼ぐのがどれだけ大変かを理解出来るようになれば、たとえばそれと音楽の仕事を比較する事で、自分の音楽家としての価値が見えてきます。

それから、音楽以外でもいろいろなサービスを受け、その都度自分の仕事に照らし合わせて考えてみる事ですね。

前述の美容院でも飲食店でも良いです。店Aと店Bはなぜ料金が違うのか、どんなサービスが行われているのか、比較してみれば良いのです。
経済を勉強する素材はそこらじゅうにあふれていますよ!(これも以前ブログに書いた、「変換力」の使い方です)

参考:夢を実現させるために、最も大切な行動とは? Vol.2

ぜひお金の価値を理解し、適正な報酬を得られるようになってください!

※自分の価値を評価してくれる仕事でないと受けない、業界の相場を下げない(自分のレッスン料を下げない)点については、トランペットの佐藤君、ユーフォニアムの円能寺さんも語ってくれていますので、参考にしてみてください。

参考:Vol.1 可能性が無限大の “フリーランス” という生き方 / 佐藤秀徳さん(トランペット)
参考:Vol.3 演奏機会が少ない楽器だから、自分のポジションは自分で作る / 円能寺博行さん(ユーフォニアム)
著者 藤井裕樹(ふじいひろき)プロフィール

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NPO法人ネクストステージ・プランニング音楽ディレクター
株式会社マウントフジミュージック代表取締役
Trombonist, Composer, Arranger, Teacher, Writer, Producer, Consultant

LIFE WITH MUSIC「音楽と共にある生活を」

1979年大阪府生まれ。都立小平南高等学校在学中、第4回日本トロンボーンコンペティションにおいて第3位入賞。アメリカネバダ州立大学ラスベガス校特待生(2005年在籍)。 19歳でプロとしてのキャリアをスタート。国内外の多くのジャズアーティストとの共演の他、東京ディズニーリゾートでのパフォーマンスや、大塚愛、関ジャニ∞、矢沢永吉などのJポップ、ロックアーティストのツアー・ライブサポートや、CDレコーディング、CM音楽のレコーディングなどに参加。作編曲家としては、東京ディズニーリゾートや東京スカイツリーのイベントなどを手がけ、講師としては、2008年から2015年まで(財)ヤマハ音楽振興会認定講師を務める。2016年3月11日、自身では初のリーダーアルバム「Lullaby of Angels」をリリース(東日本大震災チャリティーCDとして)。 2017年1月、NPO法人ネクストステージ・プランニングの音楽ディレクター(プロデューサー)に就任。若い音楽家が自立するためのノウハウを書いたブログ「音楽家のサバイバル術」の執筆も行うほか、これまでの経験を生かし、楽器可物件の不動産会社や音楽事務所、ライブハウス、個人の音楽家などのコンサルティングも行っている。

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