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『フリーランスで成功するための“10の秘訣”』 Vol.4 コミュニケーション能力がある

5. コミュニケーション能力がある

コミュニケーション能力= 対人関係の能力

今回は「コミュニケーション能力について」です。

最近は一般の就職活動でも、高学歴よりもコミュニケーション能力を重視している企業も多いと聞いた事があります。

コミュニケーションというのは一人では成立しませんよね。つまり、「対人関係」の能力だという事です。

では、どうやって対人関係を築いていくか、それはズバリ会話力ではないでしょうか。

皆さんには楽器が演奏出来るという強力なコミュニケーションツールがあります。

ピアノのようなソロ楽器はともかく、ほとんどの楽器はオーケストラ、吹奏楽、小編成の室内楽、ジャズではビッグバンドなどで、言葉はなくても、音楽の中でコミュニケーションを取っています(ピアノも伴奏の場合はやっていますよね)。

僕はジャズ、ポップス系の仕事がメインですが、たとえばビッグバンドの2ndトロンボーンで仕事に呼ばれたとします。仮に「自分だったらこう吹きたい」という主張があったとしても、セクションワークにおいてはリード(1st)トロンボーンの人に合わせるのが鉄則です。

じゃあ、リードトロンボーンの人は何をやっても良いかと言うと、そうではなく、リズムセクション(特にドラムやベース)やリードトランペット、リードアルト(サックス)などがどう吹きたいのかを察知し、そこに合わせるという作業をしています。

ジャズの場合は指揮者がいない場合もありますが、オーケストラや吹奏楽では、当然、指揮者の主導権は強いですよね。

自分の与えられた役割を考え、出るところは出る、引くところは引くを自然にやっているのではないでしょうか。

まさに会話ですよね。
オーケストラは社会の縮図と言っても過言ではありません。

音大などでアンサンブルをきちんと勉強していれば、ある程度自然に身に付いているとも言えるので、基本はそれを応用すれば良いと思います。

対人関係のコミュニケーションは難しい

ただ、「楽器を使って音楽の中でコミュニケーションをとるのは苦じゃないんだけど、相手が人となるとちょっと」という人も少なくないのではないでしょうか。

学生のころであれば、基本は同級生か、せいぜい上下3年程度の年の差の人とうまくやれれば問題ないと思いますが、現場に出たらもっと年の離れた先輩とも一緒になるし、違う学歴やキャリア、スキルを持った人たちと仕事をします。

音楽教室の先生などの場合、小さい子どもからお年寄りまで相手にする可能性もあります。

コミュニケーション能力をおろそかにすると、練習をサボるのと同じか、それ以上損をするかも分かりません。
苦手な人は、やはり意識的に訓練する必要があると思います。

昨年ネクストステージ・プロジェクトでは、大変光栄な事に、50名の吹奏楽でのイベント演奏の機会をいただきました。

参考:学校法人持田学園 有馬白百合幼稚園様ご依頼 | 祝50周年大運動会にて50名吹奏楽団による生演奏

当事務所では、ふだんは四重奏くらいの依頼が多く、50名の奏者を集められる機会は本当に稀です。

僕自身が高卒で、音大の先輩などから仕事をいただくというチャンスがない状況で、国籍や年齢、ジャンルを問わず、いろいろなタイプの素晴らしい先輩方に助けていただいて今があるので、若い音楽家の皆さんには同じような体験をしてもらいたいと思いました。

音大の1年生から、『7人の輝く音楽家たち』で紹介させていただいたような多種多様な才能が集まり、とても面白いイベントになったと自負しています。

挨拶は基本中の基本!

演奏以外のコミュニケーションも学んでほしかったので、リハーサル初日の後には、いわゆるお酒の席での親睦会も企画しました。

決して愚痴ではないんですけど、このイベント以前にも小編成でうちの仕事をお願いした若い奏者も何人かいたのですが、指揮者、ディレクターだった僕に、「先日はありがとうございました、今回もよろしくお願いします」と挨拶してきた人と、何もなく、当然のように座っていた人がいました(リハでも親睦会でも)。

同じように、明らかに初対面で、きちんと自己紹介をしてきた人もいれば、何もない人もいました(最初にきちんと挨拶をする人は、イベント終了後もお礼を言って帰る人が多かったです)。

単純に考えて、どちらが印象が良いかは一目瞭然ですよね。

やはり挨拶というのは、社会人にとって基本と言える気がします。

僕が言いたいのは、「こんにちは、さようなら」というレベルの挨拶ではなく、このシリーズの1回目に書いたような、本質的な謙虚さや感謝を伴った挨拶の話です。

このイベントでは、それ以前からの知り合いも何人か仕事に呼んでいて、FacebookやLINEで後日挨拶してきた人もいますが、本当に感謝をしているかは文面を読めばだいたいわかるものです(怒られないようにやっているか、本当の目的を理解しているかは、会話でもメールでも伝わるものです)。

コミュニケーションで単発の仕事の価値を倍増させるには?

こういった事はどうしても感情が入る部分なので、正解はなく、絶対こうあるべきだという内容を具体的に書く事は出来ません。

出来るアドバイスはあくまで個人的な感覚としてですが、僕の場合、ご一緒させていただく先輩方から(共演者のすべてから)少しでも多くの事を学ぼう、盗もう、吸収しようという気持ちでコミュニケーションを取る意識はもっていると思います。

最近では、自分が若手と言える歳でもなくなってきてしまったので(笑)、若い人に対しては、ややおこがましいかもしれませんが、自分と関わる事によって、何かを学んでほしいという想いもあると思います(上から目線という意味ではなく、先輩として、利用出来るなら利用してください、という意味です)。

先輩、後輩に関係なく、自分にはないスキルをもっている人や、価値観をもっている人には、積極的に質問したりしますね。

この吹奏楽イベントの中では、同じ専門学校の同級生同士でバンドを組んでいる何人かと、その後輩にも声をかけていましたが、リハーサル、本番を通じて、ほとんどそのメンバー、つまり仲間内でつるんでいました。僕だったら、「そのメンバーとはいつでも会える、だから、せっかく普段ご一緒する機会のない経験豊富なプレイヤーと接点を増やして、何か一つでも多く学ぼう」とか、「同世代でも、違う価値観をもった人や、うまい人とたくさん友達になって、自分の可能性を広げよう」とか考えるんですが……。もったいないなと思ってしまいます。

この専門学校メンバーは、言葉は悪いですが、「コミュニケーションが下手な人たち」です。「井の中の蛙大海を知らず」とはまさにこの事です。自分の専門学校の身内の中だけでライブ活動などをしているだけではスキルアップは出来ません。

自分自身で目の前にある成長や次の仕事のチャンスを失っている事に気付いていないんですね。

このイベントの報酬の金額を将来100倍の価値にする人もいるかもしれないし、逆に、その場の額面どおりの仕事として終わる人もいるでしょう。もちろん報酬というのは金額だけの問題ではないです。その場で1円にもならなかったり、打ち上げで数千円払って聞いた先輩のお話が財産になる事もあります。

この辺りは、次回以降の

6. 自分の価値がわかっている
7. お金の価値がわかっている
8. 自己投資が出来る

にもつながってくる話だと思います。

コミュニケーション能力を磨く事は、自分の価値を知り(何が出来ていて、何が足りないかを知り)、お金の価値を理解し(目先の報酬を優先するのか、将来をプラスにするのか)、的確な投資が出来る能力と言えるかもわかりませんね。

著者 藤井裕樹(ふじいひろき)プロフィール

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NPO法人ネクストステージ・プランニング音楽ディレクター
株式会社マウントフジミュージック代表取締役
Trombonist, Composer, Arranger, Teacher, Writer, Producer, Consultant

LIFE WITH MUSIC「音楽と共にある生活を」

1979年大阪府生まれ。都立小平南高等学校在学中、第4回日本トロンボーンコンペティションにおいて第3位入賞。アメリカネバダ州立大学ラスベガス校特待生(2005年在籍)。 19歳でプロとしてのキャリアをスタート。国内外の多くのジャズアーティストとの共演の他、東京ディズニーリゾートでのパフォーマンスや、大塚愛、関ジャニ∞、矢沢永吉などのJポップ、ロックアーティストのツアー・ライブサポートや、CDレコーディング、CM音楽のレコーディングなどに参加。作編曲家としては、東京ディズニーリゾートや東京スカイツリーのイベントなどを手がけ、講師としては、2008年から2015年まで(財)ヤマハ音楽振興会認定講師を務める。2016年3月11日、自身では初のリーダーアルバム「Lullaby of Angels」をリリース(東日本大震災チャリティーCDとして)。 2017年1月、NPO法人ネクストステージ・プランニングの音楽ディレクター(プロデューサー)に就任。若い音楽家が自立するためのノウハウを書いたブログ「音楽家のサバイバル術」の執筆も行うほか、これまでの経験を生かし、楽器可物件の不動産会社や音楽事務所、ライブハウス、個人の音楽家などのコンサルティングも行っている。

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