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タイの火葬 58mmマニュアルレンズ写真日記 2023年12月16日

 北部ピッサヌローク県の仏教寺院。面倒な説明は省いて、ピッサヌロークといえばナレースアン王、ナレースアン王といえば鶏(正確には闘鶏)。なのでにわとりの置き物(供え物)が多い。

 タイでは通夜も告別式も火葬も仏教寺院で執り行われる。棺は当初より、寺院内の火葬場にある。何時間も前から出棺前の読経を待つ人たち。かなりだらけている。

 葬儀参列としては露出度が高めの美少女。MCというか進行役というか、その手伝いに駆り出されているらしい。相変わらず古いレンズで撮っているので、少しの逆光でもフレアが発生する。

 身内が亡くなると、家族や親族の男たちが葬儀のためだけに出家する。といっても、プラ(僧)なら数日、ネーン(沙弥)なら数時間で還俗する。のんきにスマホなどをいじっている。

 寺院の僧がようやくやってきたが、着席したのは数人だけ。それも自撮りしたり、スマホをいじくったり、ほとんど話を聞いていない。

 ほとんどの人は、付き合い程度に合掌しているだけ。美少女は生脚をさらして化粧に余念がない。そのそも、火葬に参列する人が全員集まっていない。

 寺院の僧がやってきて、にわか出家の親族の男たちは横に追い払われた。読経が始まっても、着席しているのは先ほどの数人だけ。

 出棺。といっても、10メートルほど移動しただけ。日本のように斎場から火葬場に霊柩車で移動、ということはない。

 火葬炉の周囲を時計と反対に3度回る。タイの仏教寺院にはたいてい、斎場と火葬炉がセットになった「サーラー」という葬儀の場がある。

 いとこのメム。彼女もバンコクから車で駆けつけた。銀行からはじまり現在は上場企業で勤務、親族で最も優秀。逆光でカラーバランスが崩れたので、さすがに現像時に補正した。

 同じ場所での姪っ子のナット。何年かうちの会社の庶務として仕事をしていた。旦那は調理人で日本食も作る。

 出棺してもクーラーの聞いた涼しい室内に座り込んでいる参列者。向こうの側のガラスには、賭博禁止のポスター。タイでは葬儀になると、トランプ賭博を始める風習?があった。過去10年でそのような光景も減ってきている。

 棺を炉の前に置き、親族からの出家者が記念撮影。新しいレンズで撮っても必ずフレアが発生するであろう炉の設計。

 最後の別れ。そもそも、参列者の服装がてんでバラバラ。一応は黒に統一、もしくは上が白、下が黒と決まっている。

 「悲しくなるから、棺の中は見なくていい、ここで十分」と、メムが少し離れた場所に立っている。さすが、上下黒。

 息子3人が合唱した後、火が点けられた。たいていは夕方に行われるので翌朝、骨を拾いに戻ってくる。参列者はざっと100人ほどだった。

 その日のうちにバンコクに戻る。ピッサヌローク県を出て隣のピチット県のガソリンスタンドに寄ったときにはすでに日没。

 夜9時、まだバンコクに着かない。途中のシンブリー県のガソリンスタンドに寄り、カフェでコーヒーを買う。クリスマスの飾り付けが凄まじかった。バンコク到着は夜11時。前の晩の午前1時に出発したから、計22時間。

今日の制約:Helios-44M 2,0/58 コロナ禍で暇しているときに買った、オールドレンズの代表ともいえる旧ソ連製の58mm。背景のボケがぐるぐるすることで有名。いたって丈夫な金属の筐体。

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