「全体の奉仕者」 公務員のあり方は
森友・加計問題など最近何かと注目されている官僚と憲法の関係。
憲法15条で、公務員は「全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではない」と定められています。そのあり方について模索を続ける現役官僚や元官僚を取材しました。
(TBS NEWS23 18年5月2日オンエア)
国家公務員になると、先ず署名を求められる文書があります。
宣誓書『私は国民全体の奉仕者として~日本国憲法を遵守し~不偏不党かつ公正に職務の遂行に当たることをかたく誓います』
伊藤慎介さん。4年前まで経産省の官僚でした。辞めた理由がこちら…
2人乗りの超小型電気自動車を開発するため起業したのです。
公務員のキャリアを捨てることに不安はあったといいます。それでも…
公務員時代、最も時間が取られたのが国会対応でした。
これはある1日の流れ。
議員への質問取りに始まり、答弁作成、大臣へのレクチャー…役所に泊まり込むことも少なくなかったといいます。
●記者(実際に仕事をしていくなかで、“忖度”のようなものは…?)
憲法が定める公務員の立場。
第15条
「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」
戦前の天皇に仕える立場から、国民全体の奉仕者へと転換。任官時の宣誓書はいわば国民主権を確認する行為でもあるのです。
この日(18年4月)、伊藤さんは霞が関にいました。実は、開発した車を売り出すために必要な制度がまだ出来ていないのです。
民間に出たからこそ見える公務員の課題。
かつてないほど公務員のあり方が問われている今、自ら変えていこうと動き出した官僚がいます。
総務省の官僚で神奈川県に出向している脇雅昭さん(36)。
「公務員が盛り上がれば世の中はもっと良くなる」と8年前、47都道府県の公務員が集まる「よんなな会」を立ち上げました。
今までにない新しい公務員のカタチ。
先月(18年4月)、脇さんが向かったのは早稲田大学。
講演を頼まれたのです。お堅いイメージがある公務員も発想一つで何でもできると語りかけます。
国家公務員を志望する学生が減り続ける中、講演はどう受け止められたのでしょうか。
●参加した女子学生
「面白くないけど、仕事は安定しているからお金もらえるみたいなイメージを持っていたが、メチャクチャ楽しい仕事で、やりたいな」
●参加した男子学生
「縛られたようなのが嫌で考えていなかったんですけど、きょうの話を聞いてもう一度考え直そうかなと思った」
憲法が定める「全体の奉仕者」としての公務員。どう考えているのか。
脇さんは今月末、新たな「よんなな会」の集まりを予定しています。