見出し画像

宇宙は一つの有機体?マクロとミクロの同調性(シンクロニシティ)

前回の記事では太陽系→銀河系→局所銀河団→超銀河団→観測可能な宇宙のマッピング→宇宙の巨大構造のシミュレーション(ミレニアムシミュレーション *1, *2)というように、宇宙全体を俯瞰して見たときにどのように見えるのか、について現在分かっている最近の情報をまとめました(*3)。

今回はいきなりクイズからですが、下の図1はそれぞれ何の画像でしょうか?

左右どちらの画像も何かが網の目のように張り巡らされた一定のパターンが見て取れます。どちらが何の画像なのか、いろいろと想像してみてください。

またこの記事は「瞑想」を主なテーマとして扱っているので、「それぞれの画像から何かを感じられるか?」ということを意識してみてください。

そしてこの画像を通して「画像の中の世界」に入り込んでみてください。

この画像の向こうにある「画像の中の世界」の雰囲気・エネルギー・波動、こういった数値では表せない抽象的(形而上学的)な感覚を感じてみてください。

「画像を見ているあなたの意識」と「画像に写し出された世界」はつながっています。それは「量子もつれ(*4)」という現象で「意識した対象とリンクする」ことが科学的に説明されています。

そしてこの「意識と対象物の相互作用」というものが実験的に証明されていることは過去の記事でも紹介してきました(*5, *6)。

答えに気付いた人も、まだ気付いてない人も、図1のそれぞれの画像の世界のエネルギーを瞑想することによってしばらくの間感じてみてください(感じた感覚に正解というものはありませんので安心してください)。


それでは画像の答えを示していきます。

まず図1の右側は下の図2のように、どんどん拡大していくと網の目が光の集合体のように見えてきました。これは実は「銀河やダークマターをシミュレーションして100億光年の距離まで視野を広げた宇宙」の画像でした(*1, *b)。この「超マクロ(極大)の宇宙の景色」については前回の記事で詳しく解説しているので詳細はそちらを読んでみてください(*7)。

そして図1左側の画像の正体ですが、こちらは「培養された脳神経細胞(ニューロン)のネットワーク」の画像です(*a)。こちらはマサチューセッツ工科大学で行われている、脳細胞を培養してアルツハイマー病の解明に努める研究を紹介した記事で引用された画像です(*7, *a)。

このように、片方は100億光年規模の宇宙の超巨大構造であり、片方はミクロン単位の脳神経ネットワークの超微細構造でした。しかし分かった上で図1を見比べてみても非常に良く似ています

この「ダークマターと銀河が網羅された宇宙のネットワーク構造」と「脳神経細胞(ニューロン)の微細ネットワーク構造」に類似性を見出し、それを数学的に解析した天文学者と医師がいます。今回はその研究を詳しく紹介していきます。

紹介する研究は「The Quantitative Comparison Between the Neuronal Network and the Cosmic Web(神経細胞ネットワークとコズミック・ウェブの定量的比較, *9)」というイタリアの天文学者と医師による共同研究です。

研究背景として近年は急速なスピードで宇宙の物理現象が解明されつつあります。前回の記事でも「ダークマターも計算に含めた宇宙全体のシミュレーション」が実現できるようになったことを紹介しましたが、Springel氏らによってそれが公開されたのも2005年と、もう15年以上も前のことになります。

これによって「銀河は見えない何かによってつながっている」、「そのつながりは網目のように広がり、ネットワークを形成している」ということが可視化されました(図2、*1)。可視化された宇宙を見た科学者が「何かに似ている」と思ったのが研究の動機であり、脳科学者の医師と手を組んで実現した研究です。

この研究の手法では、まず脳組織の方は実際に脳腫瘍手術で切除された正常な大脳皮質(Cortex)、小脳皮質(Cellebelum)を用いて40倍の光学顕微鏡で観察した画像が使用されました(図5上段)。

そして比較する宇宙はENZO(*10)と呼ばれる計算コードを用いて100メガパーセク(約326万光年)立方の宇宙構造をダークマターを含めてシミュレートし、それを脳標本のように断面を切って解析に用いました(図5下)。これらの画像は第三者も解析に使用できるようにURL(*11)として公開されています。

著者らが調査した概算によると、「観測可能な宇宙に存在する天の川銀河と同等以上の規模の銀河≒5.5x10^10個」、「成人の全脳のニューロンの数≒8.6x10^10個」、「成人の小脳のニューロンの数≒6.9x10^10個」という具合にほぼ同じ桁のオーダーで比較することが可能としています。

これら脳組織または宇宙シミュレーションモデルをパワースペクトル解析したのが図6の結果になります。

ここで“パワースペクトル (power spectrum)について簡潔に説明すると「時間的・空間的に変動する信号(ゆらぎ)をフーリエ変換して、そのフーリエ係数の振幅の2乗を周波数の関数とみなしたもの(*12)」と説明されていますが、深く理解する必要はありません。図6の各グラフがよく似た形で重なっていることが分かれば大丈夫です。

実際に図6を見てるとCortex(大脳皮質:黄)とCerebellum(小脳:オレンジ)の40倍(実線)と、Cosmic Web (ダークマター:青)/Cosmic Web(バリオン=物質粒子:紺)がよく重なり、「構造パターンが類似している」ことが数学的に示されています。

ここで著者らは対照実験として別の“ランダムに見えるパターン”との比較も行っています(図7)。ここで比較対照として用いたものは「空にある雲 (Sky Clouds)」「樹木の枝 (Tree Branches)」「磁気流体力学的乱流 (MHD Turbulence)」「水の乱流(Water Turbulence)」といった、自然界におけるランダムに見えるパターンと比較することによって、「脳のニューロンのパターンと宇宙のコズミック・ウェブが本当に類似しているのか」という点を比較しました。

図7を見ると雲/木の枝/磁気乱流/水の乱流が灰色〜黒の点線で示されていますが、これらは脳ニューロン細胞やコズミックウェブとは類似していないことがわかります。この結果から「他の自然界の普遍的なパターンとは明らかに異なり、脳のニューロン構造と宇宙のコズミック・ウェブ構造は類似している」ということがパワースペクトル解析でも裏付けられたということになります。


次に著者らは脳のニューロンと宇宙のコズミック・ウェブを「ネットワーク解析」の手法で比較検討しました。
(以下、小難しい話が苦手な人は「要するに、、、」まで読み飛ばしてOK)

ネットワーク解析ではよく用いられるパラメータを2つ取り上げ、それらを解析しています。1つは次数中心性(Degree Centrality: Cd)であり局所領域内のネットワークの接続度合いを測定する解析であり、もう一つはクラスタリング係数(Clustering Coefficient: C)でランダムな点のネットワークと比較してノードの局所近傍内の構造を定量化する、すなわち与えられた接続クラスタ内の全ての三角形に対するノード接続された三角形の比率から求められる係数です(*13, *14)。

図8ではノード(銀河団/細胞核)がそれぞれ結び付けられてネットワークが視覚化されているのが分かります。この結果、宇宙のノード当たりの平均接続数<k>は3.8〜4.1、小脳では<k>は1.9〜3.7、大脳皮質では<k>は4.6〜5.4という結果でした。

またグラフ下段のクラスタリング係数(C:図8左下)を見ると脳組織もコズミック・ウェブも0.1〜0.4の間にピークが見られています。そして次数中心性(Cd: 図8右下)を見ると1〜4x10^-3という範囲に分布しています。これらを「ランダムなノードの集合」と比較してみます。

著者らはノードを生成するアルゴリズムであるErdös-Rényi(エルデシュ・レーニィ)モデル(図9、*15, *16)を使ってランダムにノードを生成した場合のクラスタリング係数は0.002以下と脳ニューロンネットワークやコズミック・ウェブ(0.1〜0.4)に比較して全く異なる数値であったと報告しています。さらに次数中心性(Cd)もニューロンや宇宙では1〜4x10^-3であったのに対し、ランダム生成ノードでは10^-6〜10^-7とこちらも3桁ほど異なる数値となったようです。

要するに「ネットワーク解析においてもニューロン・ネットワークとコズミック・ウェブは類似性があり、ランダムに生成されたモデルとは明らかに異なっていた」ことが数学的に示されたということになります。


自然科学的に今回の研究の要点は以下のようにまとめられます。
・脳ニューロンの構造とコズミック・ウェブ構造は類似している
・ニューロン構造とコズミック・ウェブはパワースペクトル解析でも類似性を示した
・雲/樹木の枝/水の乱流といった自然界にありふれたパターンとニューロン/コズミックウェブ構造は類似していなかった
・ネットワーク解析においてもニューロンとコズミック・ウェブは類似性を示した
・ランダム生成モデルとニューロン/コズミック・ウェブを比較したが、ランダムモデルは数値的にも全くかけ離れていて類似性はなかった


ではもう一度ニューロン・ネットワークの画像(図10左上/左下)とコズミック・ウェブの画像(図10右上/右下)を比べてみてください。偶然とは思えないような数学的にも裏付けられた類似性と自然の造形美が見て取れます。

今回の研究を未知の領域に拡大し、あらゆる可能性を想像してみます。
・一つの銀河さえ宇宙の中では一つの細胞(銀河団クラスター)の中の微小器官なのかもしれない
・銀河同士をつなぐコールドダークマターとはニューロンの突起のような役割を果たしているかもしれない
・ダークマターは銀河クラスター間をつなぎ、領域間で何かを送受信する媒体かもしれない
・宇宙は脳神経のように有機的にネットワークが構築されているかもしれない
・宇宙全体が一つの巨大な有機体として機能しているかもしれない
・この宇宙は何者かの中枢神経組織なのかもしれない
・この宇宙全体が“意志”を持っているかもしれない
・一つの“意志”と一つの宇宙(A Universe)が結び付けられているかもしれない
・存在する“意志”の数だけ対応する“宇宙(Multiverse)”が存在しているかもしれない

全く突拍子もない机上の空論ですが、ダークマターといった未知の存在が宇宙の大部分を占めることがわかった現在、このような可能性を否定できる科学者がいるでしょうか?

さらに今回の結果を科学を超えた形而上学的な領域で解釈すると以下の法則が見えてきます。
・超極小(ミクロ)の構造と超極大(マクロ)の構造は同期する
・超極小(ミクロ)の構造を追求すると超極大(マクロ)へ到達する
・反対に超極大(マクロ)を追求していくと超極小(ミクロ)へ到達する
・宇宙論が量子理論を決定し、同様に量子理論が宇宙論を決定する
・極小の一部(ミクロ)は全体(マクロ)を体現し、逆もまた真である
・極小と極大は同一である

これらのことは科学的に証明されている法則ではありません。しかし、「科学的に証明されているかどうか」は実は「取るに足らないこと」なのです。なぜなら、「毎年毎年科学的に新しい発見がある」ということは誰しも知っていることですが、それはつまり「新発見=科学が如何に不完全か/科学の無知の部分が一つ解明された」と言えるからです。科学も「成長中の人間と変わらない」と言えます。「科学的に証明されてないこと」と言っても「ただ不完全な科学が網羅してないだけ」ということを知る必要があります。

「真の叡智」とは、「何千年も前から変わらない/変わる必要がない」と言えます。このような智慧を扱う学問が「形而上学(けいじじょうがく)」です。「日々新説が更新され」「過去の常識が覆される」これが「科学」の脆弱性であり「永久不変の形而上学的法則」との決定的な違いです。科学は「未だ不完全/間違うこともある/成長していく」というものです。科学を過小評価も過大評価もせず正当に理解し、全てを包括する形而上学への理解を深めていきましょう。「瞑想」は形而上学への扉の一つです。「瞑想」を使いこなし「形のない世界」への親和性を高めていきましょう。

(著者:野宮琢磨)

野宮琢磨 Takuma Nomiya 医師・医学博士
臨床医として20年以上様々な疾患と患者に接し、身体的問題と同時に精神的問題にも取り組む。基礎研究と臨床研究で数々の英文研究論文を執筆。業績は海外でも評価され、自身が学術論文を執筆するだけではなく、海外の医学学術雑誌から研究論文の査読の依頼も引き受けている。エビデンス偏重主義にならないよう、未開拓の研究分野にも注目。医療の未来を探り続けている。

引用
*1. Volker Springel et al. Simulating the joint evolution of quasars, galaxies and their large-scale distribution. Nature June 2005. DOI: 10.1038/nature03597
*2. Millennium_Run−Wikipedia. https://en.wikipedia.org/wiki/Millennium_Run
*3. マクロ(巨視的)宇宙はどんな模様?https://note.com/newlifemagazine/n/ndfd5e65abc17 
*4. *2. 量子もつれ:Wikipedia, https://ja.wikipedia.org/wiki/量子もつれ 
*5. “遠隔ヒーリング”は科学的に証明できるか? https://note.com/newlifemagazine/n/n349ffafbd715 
*6. 「意識」が物質を変えることを証明:二重スリット世界規模実験 https://note.com/newlifemagazine/n/n19342d9a4f56 
*7. マクロ(巨視的)宇宙はどんな模様? https://note.com/newlifemagazine/n/ndfd5e65abc17 
*8. Leslie Nemo. Brain Cells Blinking in Rhythm May Hold Clues to Alzheimer’s Disease. Scientific American. Feb 12 2021. https://www.scientificamerican.com/gallery/brain-cells-blinking-in-rhythm-may-hold-clues-to-alzheimers-disease/# 
*9. Vassa F and Feletti A. The Quantitative Comparison Between the Neuronal Network and the Cosmic Web. Frontiers in Physics 2020(8), 525731. doi: 10.3389/fphy.2020.525731
*10. Bryan GL, Norman ML, O’Shea BW, Abel T, Wise JH, Turk MJ, et al. ENZO: an adaptive mesh refinement code for astrophysics. Astrophys J. (2014) 211:19. doi: 10.1088/0067-0049/211/2/19
*11. https://cosmosimfrazza.myfreesites.net/cosmic-web-and-brain-network-datasets 
*12. パワースペクトル−天文学辞典. https://astro-dic.jp/power-spectrum/ 
*13. Hansen DL, Shneiderman B, Smith MA, Himelboim I. Social network analysis: measuring, mapping, and modeling collections of connections. In: DL Hansen, B Shneiderman, MA Smith, I Himelboim, editors Analyzing social media networks with NodeXL. 2nd ed. Chap. 3, Morgan Kaufmann (2020) p. 31–51. doi: https://doi.org/10.1016/B978-0-12-817756-3.00003-0 
*14. Golbeck J. Network structure and measures. In: J Golbeck, editor Analyzing the social web. Chap. 2. Boston: Morgan Kaufmann (2013) p. 25–44. doi: https://doi.org/10.1016/B978-0-12-405531-5.00003-1 
*15. Erdős–Rényi model−Wikipedia. https://en.wikipedia.org/wiki/Erdős–Rényi_model 
*16. Erdös-Rényi(ER)モデルにおける平均次数、クラスタ係数、次数分布の求め方https://zenn.dev/aobaiwaki/articles/78b09d8b711fc9 
画像引用
*a. Photo "Neurons thriving in a petri dish" by Matheus Victor, M. I. T. in article by Leslie Nemo. Brain Cells Blinking in Rhythm May Hold Clues to Alzheimer’s Disease. Scientific American. Feb 12 2021. https://www.scientificamerican.com/gallery/brain-cells-blinking-in-rhythm-may-hold-clues-to-alzheimers-disease/#
*b. https://wwwmpa.mpa-garching.mpg.de/galform/virgo/millennium/
*c. https://en.wikipedia.org/wiki/Erdős–Rényi_model#/media/File:Critical_1000-vertex_Erdős–Rényi–Gilbert_graph.svg
*d. https://hellobio.com/media/catalog/product/f/i/fig2_1.jpg
*e. https://dendrotek.ca/blogs/scientific-papers/dendritic-polyglycerol-amine-1
*f. https://twitter.com/franco_vazza/status/1189539086375247872
*g. https://www.freepik.com. image by benzoix
*h. https://www.freepik.com. image by kjpargeter
*i. https://www.nasa.gov/image-feature/goddard/2022/nasa-s-webb-delivers-deepest-infrared-image-of-universe-yet

前回までの関連記事はこちらから

※引用文献の内容に関する著作権は該当論文の著者または発行者に帰属します。
※当コンテンツに関する著作権は著者に帰属します。当コンテンツの一部または全部を無断で転載・二次利用することを禁止します。
※著者は執筆内容において利益相反関係にある企業等はありません。

★LINE友達限定情報、毎週金曜に配信中★

  銀河レベルのぶっちぎりに新しい情報で、  

  誰もが本質を生きる時代を目指します。  

 更新情報はライン公式でお知らせしています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?