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ぼくの王国 #4「武道の達人」    |小説 ユニバーサル・カバラの物語 第一章


ぼくは5つ星レストランで働きつづける。元ルームメイトは宝石を売って、あっというまに大金を稼ぐ。ぼくの周りの人たちは悔しがる。

「なぜアイツと宝石を売らなかった? オマエは大金持ちになれる千載一遇のチャンスを逃したようだね。一生後悔するがいい」

元ルームメイトは億万長者になった。そしてホットチリのチェーン店を買収する。ホットチリのチェーン店は、今やこの国のどの街角でも見かける。ぼくは毎朝、元ルームメイトのチェーン店の前を通って仕事場に向かう。チェーン店の黄色い看板を見あげるたびに「頑張れ」と心の中で語りかける。高級レストランの夢をあきらめた元ルームメイトは辛いものが大の苦手。案の定、ホットチリの味が落ちたと早くも評判が立つ。


一人暮らしを始めてから、ぼくの足は夜の社交界から遠ざかる。元ルームメイトが宝石でひと財産を築いたように、ぼくはこの国で勝負できるものを探す。でもぼくは自分の好きなもので勝負する。


ぼくは久しぶりにおじさんに会いにいく。おじさんが空手を教えている道場は町の体育館の中にある。週に数日、おじさんの空手教室は開かれている。

「やーっ!」

中に入ると、壁に掛け声がこだまする。数人の生徒が道着を着て、相手を食い殺さんばかりの気迫で激しく技をくりだす。体育館の空気はピンと張られたバイオリンの弦のように清々しい。ぼくは道着に着替えて体育館の隅で体をほぐす。

休憩時間になり、おじさんが近づいてくる。

「オマエが道場を手伝ってくれる日を、ずっと待っていたよ」

ぼくはすかさず釘をさす。

「おじさん、ぼくはこの道場をつぐ気なんてさらさらないよ。でもぼくは、この道場をはやらせてあげることはできる」

「なんでもいいさ。オマエがこうやって来てくれたんだから。ホンモノの実力を見せつけてくれ」

ぼくはさっそく空手を披露する。生徒の目つきが変わる。生徒の一人が言う。

「ぼくはあなたをテレビで見たことがある。あなたは世界チャンピオンと一緒に空手番組にでた、あの時の子供じゃないのか? あなたはまだ小さくて、自分より体の大きな大人を次々と倒していた」

そばにいた他の生徒も、思い出したように手をたたく。

「ぼくも覚えているよ。ぼくが空手をやりたいと思ったきっかけは、あの番組だったから。小さな子供が毎週勝ち抜き戦をして、大人を倒していた。この国でも人気の番組だったよ」

ぼくはうなづく。

「ぼくはあの時の子供だよ。ぼくは恐るべき子供と呼ばれていた。ぼくは、もっと恐るべき子供になるためにこの国に来た」

ぼくはこの国で一番になるために、過去の栄光を利用する。

おじさんの道場には入門者が押し寄せる。道場は毎日生徒でいっぱいだ。彼らの目当てはぼく。レストランが休みの日、ぼくは道場で空手を教える。


→ …続きを読む(ぼくの王国 5「チャンスは突然に」)

前回の話はこちら。

誰も読んだことのない、誰も書いたことのない、本当の成功の物語。
「ユニバーサル・カバラの物語」
秘密はここに。

制作
グッドニー ・グドナソン
中込英人
谷村典子

グッドニー ・グドナソン
モダンミステリースクールファウンダー
リネージホルダー メインイプシスマス

アイスランドの貴族の家系に生まれ、生まれてすぐに双子の兄を亡くす。以来兄の存在を通し、目に見えない世界とこちらの世界を同時に生きるようになる。 10代で英国のミステリースクールに招聘され、カバラ、ヘルメス学、古代エジプトやケルト、ドルイドマジックなどあらゆる魔術と形而上学を学び、最高位の魔術師となる。1997年にモダンミステリースクールを継承(当時はロッキーマウンテンミステリースクールの名称)。「No More Secret」の下、それまで秘密にされてきた真の形而上学の教えをオープンにする。現在は世界60カ国に広がるミステリースクールで教える一方で、DJとしてフジロックのステージに立ったり、ハリウッドの映画祭でプロデューサーとして活動するなど、多方面で活躍。まるでファンタジー映画や物語のようなその生き様を通し、あらゆる可能性と喜びを表現し続けている。オーロラエンタテイメント・エグゼクティブプロデューサー 。
中込英人
モダンミステリースクール校長
リネージホルダー サードオーダーイプシスマス

世界中で形而上学を教え伝えるメタフィジックス・ティーチャー。幼少期より空手の天才少年と称され、大山倍達氏のもとで内弟子として研鑽を積んだ武道家でもあり、15歳で渡米した後、飲食店経営などで成功を収める。また、武道の実力を買われ、ダライ・ラマ14世のボディガードを担当。ダライ・ラマ14世から「スピリチュアルな道を人に説くもの」と称されたことをきっかけに、密教の学びを始める。密教行者として厳しい修行を積んだのち、30代で一時帰国。ミステリースクールおよび形而上学の学びと出会い、以降、スクールの拡大に全精力を傾け、2017年に最高峰の魔術師である「イプシスマス」の称号を得る。形而上学をわかりやすく、ユーモアを交え伝えるクラスは、国や文化を問わず常に笑いと活気に満ちている。著書『支配者(エリート)が独占してきた成功の秘笈』『MAX瞑想システム™️ー脳を鍛え可能性を引き出す究極の成功メソッドー』
谷村典子
作家・脚本家
日本シナリオ作家協会会員

成蹊大学卒業後、会社勤めの傍らで松竹シナリオ研究所卒業。2002年テレビアニメシリーズで脚本家デビュー。テレビ、映画、舞台で、幅広いジャンルの脚本や構成台本を担当する。
L.A.Fear&Fantasy映画祭他では、作品賞などを受賞。タロットをきっかけにモダンミステリースクールと出会い、形而上学の学びを深めている。Atelier ADITI主宰。http://atelier-aditi.jp/

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