見出し画像

「数」の瞑想(2)

今回は以前一度取りあげた「数」について考えていきます。数も日常の領域を超えてスケールの大きな数を想像することで、宇宙や銀河を想像する瞑想と同様に「意識空間を広げる」効果があります。以前の記事“「数」の瞑想(*1)”は良いウォーミングアップになりますので読んでない人はそちらから読んでみると良いと思います。

そしてリラックスできるアルファ波を誘導するような環境音楽でも聴きながらイメージしていくとさらに瞑想効果が高まると思います。


まず最初に、これ以上分割できない最小単位である「素粒子」をイメージします。

何もない空間に1つだけ素粒子があります。
1個なので1x10^0個ということなります。

次は「原子」をイメージします。

原子核は陽子と中性子から成り、陽子と中性子はそれぞれ3つの素粒子から構成されています。原子核の周りには電子という素粒子の一つが存在しています。
小さな原子は10個〜数十個程度の素粒子からできています。(光子、グルーオン、ヒッグス粒子といった非物質的な素粒子は除外します)

次に1グラムの水を想像します。

1モル(mol)の水は18g(グラム)、
1モル(mol) = 6.02×10^23 個の分子を含みます。
よって、1gの水は6.02×10^23÷18 = 3.34×10^22個の水分子から成ります。
素粒子に換算して約10倍するとn×10^23個程度になります。

では次に地球の大きさや体積を考えてみましょう。

地球の半径は約6400kmなので体積は4/3 ×π(3.14)×(半径6400km)^3 、
地球の体積(単純計算)は4/3 ×π×(6.4x10^8)^3 =1.1×10^27 cm^3となります。
「仮に地球が全て水だとしたら構成する分子の数は何個になるか?」
1g(1 cm^3)の水は3.34×10^22個の水分子から成り、地球の体積は約1.1×10^27 cm^3なので、地球は3.67×10^49個の分子から成ると概算されます。

素粒子の数にすると1桁上がっておよそn×10^50個と概算できます。

次は太陽を想像します。

太陽の質量は約2.0×10^30kg、大部分が水素です(*2, *3)。
水素の原子量は1なので、1g(グラム)の水素には6.02×10^23 個の水素原子が含まれ、太陽の質量は2.0×10^30kg=2.0×10^33g(グラム)なので、
“太陽を構成する水素原子の数”=約1.2×10^57 個となります。

水素の場合は素粒子に換算しても4倍程度なので全粒子数はn×10^57 個とします。

次は銀河系を想像します。

銀河の画像で見えている光の粒は太陽クラスの“恒星(こうせい:自ら光を放つ星)”であり、見えている天体では質量の大部分を太陽のような恒星が占めています。このような太陽クラスの恒星が銀河系には約2000億個あると言われています(*4, *5)。

銀河系を構成する粒子の数を考えます。
太陽の原子数=10^57 個
銀河系の恒星の数=2000億個=2.0×10^11 個
銀河を構成する原子の数=10^57 個×2.0×10^11 個=2.4×10^68 個
宇宙に存在する原子の90%以上は水素とされている(*6)ので、素粒子に換算して4倍程度として約n×10^68 個になります。

この直径10万光年の銀河系の中に含まれる全ての粒子を数えると約10^68個のオーダーと言えます。この辺りが「無量大数:10^68」を超える地点になります。

ではその銀河の集団である「超銀河団」を考えてみます。

我々のいる天の川銀河が属する局所銀河群やおとめ座銀河団を含むさらに大きなラニアケア超銀河団(Laniakea Supercluster, *7)が存在しています。
この超銀河団は約10万の銀河を包括していると推定されています。
銀河1つに含まれる粒子数をn×10^68 個とすると
超銀河団に含まれる素粒子の数はおよそn×10^73個と概算されます。

ではさらにもっと意識を広げていきます。

前回(*10)、前々回(*8, *9)の記事で紹介したように「宇宙全体の景色」を想像していきます。
超銀河団からさらに意識を拡大してズームアウトしていきます。前々回(*8, *9)の記事が参考になりますが、銀河団からズームアウトしていくと銀河が筋に沿って存在することが分かります。そしてさらに意識を拡大するとその筋が分岐したり結合したりしているのが見えてきます。

そして全体が見えてくると、網目状の構造体「コズミック・ウェブ」が見えてきます。

この宇宙には約2兆個の銀河があると現時点では考えられています(*11)。
銀河の粒子の数を10^68と先程概算しましたが、そうなると10^68×2,000,000,000,000 = 10^80個の粒子がこの宇宙には存在していると推測できます。

もちろん、ニュートリノ(*12)や宇宙の質量の90%を占めるダークマター(*13)などをカウントできたとしたらさらに10倍、100倍つまり、10^81個や10^82個に増えるのかもしれませんが、この先を読み進めると全宇宙の粒子数の10倍も100倍も誤差範囲ということがわかると思います。

ではこの宇宙の景色からさらに遠ざかっていきます。
意識をさらに拡張させていきましょう。
光が届く範囲、光として観測可能な宇宙の範囲(*14)、半径400億光年とも500億光年とも言われていますが、あなたの意識はそれを超えて広がっていきます。

すると「宇宙全体」を外側から見ることができました。
もちろん、宇宙を空間の外側から、光も到達していない地点から物理的に宇宙を「光」で観測することは不可能です。

但し、あなたの意識は「物質」ではありません
ですからあなたの意識は「物理法則」に従う道理など無いのです。
「見えるはずがない」という
「物理法則的な思い込み」で意識を制限する必要はありません
「あなたの意識」は科学的に証明することが不可能です。
「あなたの意識」は物理科学的な枠に収めることができません
あなたは物質的な肉体を持つことで「物質世界にいる」と錯覚していますが、
あなたの意識は「物質世界」にはありません
「意識」は形のない世界、「形而上学的世界」に存在しています


「形而上学的世界」から宇宙全体を知覚できたでしょうか。
「形而上学的な世界から見た宇宙」をさらにズームアウトしていきます。
すると、その宇宙の周りには「似たような宇宙」がたくさん存在していました

それぞれの宇宙が1つの粒子として存在していました。

そして、その粒子が素粒子のように10個ほど集まって1つの原子を形成し、
粒子が10^23個集まって1グラムの水を形成し、
粒子が10^50個集まって地球のような惑星を形成しました。
粒子が10^80個から成る宇宙が別の世界の1つの粒子であり、その粒子が10^50個集まって別の世界の1つの惑星となっていたので、この惑星は10^50×10^80個の粒子から成っていることになります。

またこの世界でも惑星が太陽系を構成し、
太陽のような恒星が銀河を形成し、
銀河が超銀河団を形成し、
そしてこれら全てを含む別の宇宙(Another Universe)を形成していました。

全宇宙(10^80個の粒子)が1つの粒子となりその粒子が10^80個集まってまた別の宇宙が形成され、この宇宙は10^80×10^80個の粒子でできていることになります。

この宇宙の中でさらに意識を広げ、この宇宙を外側から見ると、またさらにその外側が存在していました。

そして、同じように意識を広げていくと同じように、その宇宙が一つの量子となり、原子となり、惑星となり、太陽になり、銀河になり、宇宙になっていました。しかし、この宇宙のサイクルは3周では終わりませんでした
10週巡ってもまだ終わらず、100周巡ってもまだ終わらず、1000周巡った時点で全体を見ると、それは一本の長い光の紐となっていました

この光の紐に存在する粒子の数はn×(10^80×10^80×10^80×10^80×10^80×10^80×10^80×10^80×10^80×10^80×10^80×10^80×10^80×10^80×10^80×10^80×10^80×10^80×................... 10^80×10^80×10^80)[1000回繰り返し]個になっています。
粒子の数はn×10^80000個になります。


宇宙が何世代にも渡って延々と繰り返し続く光の紐を見ていると、
遠くに別の光の紐があるのが見えてきました。
そして意識を拡大するとさらに何本も光の紐が見えてきました。
どれも延々と繰り返す宇宙によって織られた紐のようでした。
その光の紐は1つの巨大な光の玉へと集まっていました

その光の玉に集まる光の紐は1000,000(百万)本ありました。

つまりn×10^80個の粒子からなる宇宙が
×(10^80×10^80................ ×10^80) [1000回繰り返し] 回の宇宙の周回となり
×(10^80×10^80................ ×10^80) [1000,000回繰り返し] 本の光の紐となりました。
粒子の数はn×10^80,080,000個になりました。


(読者の皆さん、大丈夫でしょうか。なるべく「千」・「万」といった言葉ではなく実際に粒子が1000個ある様子、10000個ある様子をイメージする方が瞑想効果が高くなります。考えるのを止めても瞑想効果は止まります。頭が重い、フラフラする、眠くなる、額が熱く感じる、という症状は脳が刺激を受けている状態です。「どれだけ多くのものを自在にイメージできるか」が瞑想力であり想像力であり、創造力になります。トレーニングと思って続けれるところまで続けてみましょう。それではまた瞑想へと戻ります。)


またさらに巨大な光の玉から遠ざかっていきます
すると、同じような無数の紐が絡み合った光の玉がまた見えてきました
その巨大な光の玉は10個あるように見えました。
しかし、さらに離れると、その10個の光の玉はまた幾つも出現してきました。

その光の玉は1万、10万、100万、いや、もっと多く存在していました。
その無数の紐が絡み合う光の玉は1,000,000,000(10億個)存在していました。


つまりn×10^80個の粒子からなる宇宙が
×(10^80×10^80................ ×10^80)[1000回繰り返し] 回の宇宙の周回となり
×(10^80×10^80................×10^80)[1000,000回繰り返し] 本の光の紐となり
×(10^80×10^80................ ×10^80)[1000,000,000回繰り返し] 個の光の玉へとつながりました。

粒子の数はn×10^80,080,080,000個になりました。
この10億個の光の玉は全体で一つの大きな球体を形成していました。
そして、その巨大な球体からさらに遠ざかります
非常にゆっくりですが、巨大な球体の全体が徐々に見えてきました
やっと巨大な球体の全貌が見えてきました。
さらに意識を広げていきます。


すると、10億の光の玉が集まった巨大な球体がまた一つ遠くに浮かんできました。
それが視界に入るようにもっと意識を広げていきます。
すると予想通り、それは一つだけではありませんでした

巨大な球体は10個、1000個、100万個、10億個、いや、さらにそれより多い1兆個存在していました。

1000周した宇宙から成る紐が100万本集まる光の玉が10億個集まった球体が1兆個存在していました。

つまりn×10^80個の粒子からなる宇宙が
×(10^80×10^80................ ×10^80)[1000回繰り返し] 回の宇宙の周回となり
×(10^80×10^80................ ×10^80)[1000,000回繰り返し] 本の光の紐となり
×(10^80×10^80................ ×10^80)[1000,000,000回繰り返し] 個の光の玉となり
×(10^80×10^80................ ×10^80)[1000,000,000,000回繰り返し] 個の光の球体となりました。

粒子の数はn×10^80,080,080,080,000個になりました。
およそ10の80兆乗個という数字に到達しました。
無量大数=10^68すら「微々」たるものに感じますね。


10の80兆乗は書くと簡単ですが、実際には100000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000.......…………………………………………………………………………………………………..................000000000000000000000000000000000000000000000000000000000(80兆個の0が並ぶ)
という数字になります。

仮に「0」を1mmの大きさで書いたとしても、80兆個書くと80,0000,0000,0000ミリメートル=8000万キロメートル=地球2000周分です。つまり、10^80兆のゼロを全て紙に書いて並べると地球2000周分になるということです。
ここまで来るとこれを表せる単位は無いだろう、と思うかもしれません

しかしここでまた華厳経(けごんきょう,*15):(正式名称『大方広仏華厳経』だいほうこうぶつけごんきょう、サンスクリット語でブッダーヴァタンサカ・ナーマ・マハーヴァイプリヤ・スートラ)という大乗仏教経典の一部を見てみましょう。この四十五巻には昔から伝えられている数の単位が示されています。(経典を一字一句読まなくても大丈夫です)

「一百洛叉為一俱胝,俱胝俱胝為一阿庾多,阿庾多阿庾多為一那由他,那由他那由他為一頻婆羅,頻婆羅頻婆羅為一矜羯羅,矜羯羅矜羯羅為一阿伽羅,阿伽羅阿 伽羅為一最勝,最勝最勝為一摩婆羅,摩婆羅摩婆羅為一阿婆羅,阿婆羅阿婆羅為一多婆羅,多 婆羅多婆羅為一界分,界分界分為一普摩,普摩普摩為一禰摩,禰摩禰摩為一阿婆鈐,阿婆鈐阿婆鈐為一彌伽婆,彌伽婆彌伽婆為一毘攞伽,毘攞伽毘攞伽為一毘伽婆,毘伽婆毘伽婆為一僧羯 邏摩,僧羯邏摩僧羯邏摩為一毘薩羅,毘薩羅毘薩羅為一毘贍婆,毘贍婆毘贍婆為一毘盛伽,毘盛伽毘盛伽為一毘素陀,毘素陀毘素陀為一毘婆訶,毘婆訶毘婆訶為一毘薄底,毘薄底毘薄底為 一毘佉擔,毘佉擔毘佉擔為一稱量,稱量稱量為一一持,一持一持為一異路,異路異路為一顛 倒,顛倒顛倒為一三末耶,三末耶三末耶為一毘覩羅,毘覩羅毘覩羅為一奚婆羅,奚婆羅奚婆羅為一伺察,伺察伺察為一周廣,周廣周廣為一高出,高出高出為一最妙,最妙最妙為一泥羅婆, 泥羅婆泥羅婆為一訶理婆,訶理婆訶理婆為一一動,一動一動為一訶理蒲,訶理蒲訶理蒲為一訶理三,訶理三訶理三為一奚魯伽,奚魯伽奚魯伽為一達攞步陀,達攞步陀達攞步陀為一訶魯那訶魯那訶魯那為一摩魯陀,摩魯陀摩魯陀為一懺慕陀,,,,,,,,,,,,」

これは一部ですが、引用の最後の行に「訶魯那(かろな、ka-ro-na)」という単位と「摩魯陀(まろだ、ma-ro-da)」という単位が出てきましたね。
それぞれ以下のような単位を表しています。
1訶魯那=10^61572651155456(約10^61兆乗)
1摩魯陀=10^123145302310912(約10^123兆乗)

つまり、今まで想像してきた宇宙を遥かに超えた「10の80兆乗」という数は、「1訶魯那(約10^61兆乗)よりは大きい」が「1摩魯陀(約10^123兆乗)に比べれば遥かに小さい」数ということになります。さらに摩魯陀の次には摩魯陀を遥かに超えた懺慕陀(ざんぼだ: za-n-bo-da)があり、まだその上へと続いていきます。


上の意識を拡大する瞑想に最後までついて来れた方はお疲れ様でした。良い頭の運動になったと思います。しかし、ここまで意識を拡大したとしても我々はまだ「お釈迦様の手の平から外側に出れていない」ということでしたね。

最後は、「上で想像した10^80兆個の粒子からなる巨大な光の球体の集合体も、その一段上の巨大クラスターの一部だった」という画像でこの章を終わりにしたいと思います。もちろん、数の瞑想はまだ続きます。また次の「数の瞑想」をお楽しみに。

(著者:野宮琢磨)

野宮琢磨  医師・医学博士
臨床医として20年以上様々な疾患と患者に接し、身体的問題と同時に精神的問題にも取り組む。基礎研究と臨床研究で数々の英文研究論文を執筆。業績は海外でも評価され、自身が学術論文を執筆するだけではなく、海外の医学学術雑誌から研究論文の査読の依頼も引き受けている。エビデンス偏重主義にならないよう、未開拓の研究分野にも注目。医療の未来を探り続けている。

引用:
*1. 「数」の瞑想
https://note.com/newlifemagazine/n/n0671628d60c7
*2. 太陽ーWikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/太陽
*3. 太陽質量ーWikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/太陽質量
*4. 銀河系ーWikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/銀河系
*5. 「星の数」の話ーJST 日本宇宙フォーラムhttps://www.pr.jsforum.or.jp/blog_20200519/
*6. 宇宙組成比
https://astro-dic.jp/cosmic-abundance-2/
*7. ラニアケア超銀河団 
https://ja.wikipedia.org/wiki/ラニアケア超銀河団
*8. Volker Springel et al. Simulating the joint evolution of quasars, galaxies and their large-scale distribution. Nature June 2005. DOI: 10.1038/nature03597
*9. マクロ(巨視的)宇宙はどんな模様? 
https://note.com/newlifemagazine/n/ndfd5e65abc17
*10. 宇宙は一つの有機体?マクロとミクロの同調性(シンクロニシティ) 
https://note.com/newlifemagazine/n/ne70efe5c50cc
*11. 宇宙に存在する銀河は2兆個、従来の見積もりの10倍ーAstroArts 
https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/8745_galaxies
*12. ニュートリノ- Wikipedia 
https://ja.wikipedia.org/wiki/ニュートリノ
*13. 暗黒物質−Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/暗黒物質
*14. 観測可能な宇宙−Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/観測可能な宇宙 
*15. 華厳経ーWikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/華厳経 

画像引用https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/a9/Blausen_0615_Lithium_Atom.png
https://pixabay.com/illustrations/world-earth-globe-sphere-planet-1348808/
https://www.pexels.com/photo/sun-fire-hot-research-87611/
https://www.eso.org/public/images/eso1339g/
https://ras.ac.uk/media/1176

前回までの関連記事はこちらから

※引用文献の内容に関する著作権は該当論文の著者または発行者に帰属します。
※当コンテンツに関する著作権は著者に帰属します。当コンテンツの一部または全部を無断で転載・二次利用することを禁止します。
※著者は執筆内容において利益相反関係にある企業等はありません。

★LINE友達限定情報、毎週金曜に配信中★

  銀河レベルのぶっちぎりに新しい情報で、  

  誰もが本質を生きる時代を目指します。  

 更新情報はライン公式でお知らせしています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?