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AIのためにも優良な半導体を取り逃がすな 激化する米中分捕り合戦 そんな時にあの男が

中国のマイクロン切りの波紋
米CHIPS法との間で揺れる韓国

 21世紀の政治経済・軍事覇権の鍵を握る人工知能(AI)。そのAIの優劣を決する半導体開発を巡り米国と中国のさや当てが激化しそうだ。ジョー・バイデン政権は昨年8月、米国内の半導体産業の再強化を目標に5年間で527億ドル(約7兆円)の政府補助金を拠出するCHIPS法を成立させ、その補助金支給条件として、中国の半導体開発の制約となるような規則を導入した。

それ以来、中国は内外でCHIPS法に対する不満と怒りを非公式に表明していたが、5月21日ついに国内の重要インフラ業者が米半導体大手マイクロン製品の調達禁止措置を正式発表した。

 これがCHIPS法に対する中国の「報復措置」だと、その意味を解説するのがニューヨーク・タイムズ紙の「中国、マイクロン禁輸で半導体戦争を激化(China’s Ban on Micron Escalates Microchip War)」(5月23日付)だ。

 「報復」の明確な理由として同記事が指摘するのが、禁輸を公に発表したことだ。中国が特定企業の製品を締め出す場合は、現地法人責任者らを内々に呼んで締め上げたり、行政規則を駆使して製品が通関できないようにしたり、繰り返し現地法人に立ち入り検査し、嫌がらせや、内密に製品が入らないようにしていた。

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