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成長と挑戦。ロボコニストのキャリアとは?開発におけるこだわりと新たに見つけた価値観

New Innovations で働く大学生・大学院生の3名に、企業で働くことで得た経験や今後の考え方について、インタビューしました。

■プロフィール
プロダクト開発部 技術企画ユニット 落石 晃太朗
立命館大学 理工学部環境都市工学科。
幼い頃から両親の影響でガンダムやエヴァンゲリオンに興味を持ち、ものづくりの世界へ。2015年からロボカップジュニアサッカーに出場。16年と17年に世界大会出場を果たした。現在はロボカップサッカースモールサイズリーグチーム「Ri-one」に所属し、主に電気・組み込みプログラミングを担当。耐久性とメンテナンス性を追求したロボットの開発に取り組み、世界大会優勝を目指している。2023年8月にNew Innovations に参画。現在は調理ロボットのプロジェクトを担当。

プロダクト開発部 技術企画ユニット 久保寺 真仁
千葉工業大学 先進工学研究科 未来ロボティクス専攻。
幼少期からハマっていたレゴブロックのマインドストームシリーズへ小学生の頃に出会い、ものづくりの世界へ。2011年から2019年にかけて、ロボカップジュニアのサッカー競技に出場。ロボカップジュニア引退後、2019年8月にロボカップ サッカー ヒューマノイドリーグのチーム「CIT Brains」に参画し、活動する現役ロボカッパー。自立型ヒューマノイドロボット「SUSTAINA-OP™」を開発し、オープンハードウェアプラットフォームとしてリリースしている。RoboCup2022 Thailandにて、Soccer Competition 1st Place 受賞。RoboCup2023 Franceでは、Soccer Competition 2nd Place 受賞。2023年7月にNew Innovations に参画。現在は調理ロボットのプロジェクトを担当。

プロダクト開発部 電気組込制御グループ 河間 雄貴
早稲田大学 創造理工学研究科 総合機会工学専攻。
大学入学当初、「C言語はどこの国の言葉?」という状態からものづくりの世界へ。早稲田大学の学生ロボコンサークルROBOSTEPに加入し、NHK学生ロボコン2021に出場。それ以降はロボコンチームOOEDO SAMURAIに加入しRoboMasterに参加。現在はOOEDO SAMURAI RoboMasterプロジェクトのプロジェクトマネージャー及び電気・組み込みプログラミングに携わる。2023年7月にNew Innovations に参画。現在はroot C のリニューアルを担当。

企業におけるものづくりで感じた違い

——まず、New Innovations で働き始めた感想を教えてください

落石:熱量と実力の高さに驚いています。大学のサークルだと本気でロボットを作りたい人もいれば、交流目的で参加している人もいるので、正直なところ温度差があるんです。時にはあまりやる気のない人に流されてしまう場面もあるのですが、New Innovations では当然業務なので開発が進んでないと「まだなの?」と煽られるくらいで、むしろやる気が出ます(笑)

久保寺:毎週のミーティングでプロジェクトメンバーの進捗報告を聞くと、とんでもないスピードで驚きますよね。フルタイムではないメンバーもいる中で、「短時間でそんなにできるのか」と思う成果をあげているなあと。

河間:New Innovations に誘ってくれた方とはもともと一緒に開発をした経験があって、「やばい人たち」がいると知ったうえで来ているので、想定通りではありました。ただ、ロボコンとは設計思想が全く違うことに気付かされましたね。
ロボコンは極端に言うと3分動いて勝てばいいのです。最大瞬間風速を試合で出せるようにして、もし壊れてしまったら負けるだけ。製品の場合、例えば電源を入れたその日から何日も何年も動く品質を担保しないといけません。長いタイムスパンで考える議論を目の当たりにして、ロボコンとは違うものづくりを経験させてもらっています。

——競技と製品のロボットづくりの違いがあったんですね。組織面ではいかがですか

久保寺:同世代がプロジェクトのリーダーを務めているのですが、彼らのプロジェクトマネジメント力に驚いています。全てを把握していて、議論の仕切りや調整がとてもスムーズです。

河間:ロボコンはよほどの強豪チームでない限り、常に人が足りません。マネジメントが必要だと思いつつも、開発で手一杯になって、なあなあになってしまうことが多いです。プロジェクトと組織がゴールに向かって管理されて、議論が正しく進んでいくのは、やりたかったけどやれなかったことなので、素晴らしいことだなと感じています。

落石:サークルだとソフト、ハード、回路などそれぞれがバラバラでやっていますが、全体を俯瞰して把握してる人がいるのは安心感にも繋がりますよね。

久保寺:経験豊富なシニアエンジニアがいることも大きな違いです。僕たちは小さい頃から独学ベースでやってきていることが多いので、様々な業界で積んできた経験や知識をベースに設計されたものをみると、表面上は僕の作ったものと一緒でもCADの中身が全く違ったりするので驚きます。そういう方々に相談に乗ってもらえる環境もありがたいです。

——いろいろな違いを経験する中で、最も驚いたことはなんでしょうか

久保寺:とてもアットホームなところですかね(笑)代表の中尾さんが、みんなの士気を高めるために、夏にお祭りの飾りみたいなのを持ってきたり、あるチームが苦しい状況の時には、物理的に旗を振りにいったり。規模が大きくなると組織がお堅くなるイメージだったので、だいぶにぎやかな雰囲気だなと思いました。

久保寺:これまで大学のチームのスポンサー企業やスタートアップに会社見学をしに行ったことはありますが、食事面の福利厚生が充実してますよね。ロボカッパーは食事を忘れがちなことを中尾さんが実感しているので、手軽に食べられるものや飲み物などがオフィス内に整っているのかなと。

落石:とにかくみんな、Notionを書いてがんがんシェアするし、Slackでの発言も活発なので、それだけでわくわくします。本当に雰囲気がいいですよね。

何のためにこだわりを発揮するのか

——ロボカップを経験して企業で働き始めた今、自分の「こだわり」はどこにあると思っていますか?

久保寺:全部公開することが僕のこだわりです。チームの活動や研究の日々の進捗・やりとりから、設計思想までをGitHubで外部から覗けるように発信しています。

オープンにするために、誰でも見やすく、扱いやすい設計にすることも心がけていて、これは開発の設計にも活きていると感じます。研究だけだと自分しか扱わないので、おざなりになってしまいがちなのですが、他人が編集することも考えて、誰が見てもわかるスケッチにしています。

——公開するのはなぜでしょうか

久保寺:自分の活動しているリーグは日本にライバルがほとんどいません。関わっている人も海外の人ばかりなので、できれば日本のプレイヤーが増えてほしいと思っているんです。
海外が強いというのもありますが、日本のロボットを作る人口が減っていってるように感じているんです。AIに興味を持つ人が多くて、ロボットのチームやプロジェクトを立ち上げるときに、AI領域の人が多く集まって、ロボットを作る人がいなくて成り立たないこともあります。

僕はいま、チームでメカ・回路をやっていますが、自分の発信を見て、ハードウェアにも興味を持つ人が増えたらいいなと思っているんです。人口が増えることで、事例や情報が公開されて、未経験の人が一歩踏み出すきっかけになれたらいいなあと。

——他のお二人はいかがですか

河間:僕はまだ、たかだか4年ちょっとしかやってないので、やれることを繰り返さないようにしてます。ロボットって、とにかく動かすだけなら気合と根性でどうにかなるんです。今の大学には高専生みたいな専門性の高い人が入ってこないので、未経験の人が集まって、手探りで「おりゃー!」という勢いでやってます。もちろんやれることは少しずつ増えるのですが、そういう開発だけを繰り返すと、やれることをいびつに組み合わせて積み上げていくだけなんですよね。

例えば、本来は設計で対処すべき問題に対して、ソフトウエアで制御をかけて解決するみたいなことが起きかねません。New Innovations ではソフトウエアを担当していますが、ロボコンでは設計も回路もデバッグもやっていて、手段は選ばないようにしています。
引き出しは多いほうがいいと思っているので積極的に挑戦して、今やれることだけで解決しようとしない。こだわりがないことがこだわりなのかもしれません。New Innovations には変態性の高い人がたくさんいるといわれていますが、僕もいずれ獲得したいです。

落石:デザインに極限までこだわりたいです。個人で作っている時は、自分のやりたいデザインにできるのですが、大きいチームではそうもいかない場面もあります。こういう機能をこのスペースで実装してほしい。本来は小型にして、このデザインにしたいけど、誰でもメンテナンスできるようにするために、あえて大きくわかりやすく設計してほしい。などなど、制約が出てきます。

チームのことを考えて勝ちにこだわる場合、デザインの優先順位は下がってしまいますが、本当は先端の形状をこうしたい、アートワークだったらシルクひとつにこだわりたいなど、いろいろな思いがありますね。バランス感を大切にしつつ、制約の中で自分がつくりたいものを最大限つくっているような状況です。

あとは、耐久性とかメンテナンスとか、構造へのこだわりもある種のデザインなのかもしれません。やっぱりガンダムや車への興味からものづくりが始まっているので、見た目のかっこよさ、美しさは追い求めたいんだと思います。

久保寺:海外を見ているとデザイナーを雇って外装デザインしてもらっていることもありますよね。日本のロボコンは基本的にチームにはお金がないので、勝つためには、なかなかデザインにこだわり抜けないというのは正直あります。
こだわりと勝つことのバランス感は仕事にも通じると思います。とにかくスピーディに試作を作ることをミッションにロボカッパーが集まって来ていますが、「速度を早くしたい」といわれて提案したら「それだと製品にしたときにここがだめ」と言われたりします(笑)ものづくりの理想と製品としての現実の線引きに日々チャレンジしています。

自分の今後がより具体的になった

——今後のキャリアはどう考えていますか

河間:修士卒業後はドクターに進むつもりです。ただ、アカデミック方面に行くつもりはないです。研究所はなかなかポストが空かないですし、入るのも難しいので一本に絞るのは正直現実的ではないと思っています。
それに、教授は教育や研究室の運営もしなければなりません。自分は独学ばかりで教わったこともありませんから、教育者には向いてないと思うんです。ドクターに進んで、メーカーに入って一生ものづくりをやっているんじゃないかなと想像しています。

落石:ロボットはつくりつづけたいですが、「どこでやりたい」というこだわりはまだないです。特化する領域に関しても、ロボカップジュニア時代から今までに、ソフトからハードまでを幅広く浅くやってきているので、これから探っていきたいです。

久保寺:念頭にあるのは、ロボカップを続けたいということですね。ロボカッパーがたくさんいるから入社しても続けられるよと中尾さんに言ってもらっています(笑)
あとは、小さい頃からロボットづくりを始めたこと、子どもがすきなこともあって、子どもにロボットを教えたりしてみたいです。実は大学に入るまで中学校の教員志望だったんですよ。ものづくりやロボカップをはじめるきっかけになれたら嬉しいですね。

キャリアについては難しいですが、決められた固定の範囲の仕事だけをするのは合わないように思っています。ここだといろいろなことに関われるので理想ではありますが、まだ揺らいでいるのが本音です。

——New Innovations で働くことで、キャリアに対する考えに何か影響はありましたか

落石:自分にはロボットをつくるしかないなと確信を持ちました。他のアルバイトと比べて、給料を意識して働いていないんです。「もう帰らないといけない、まだやりたいのに…」と感じるくらいで、全く飽きないのです。なので、自分はこれをやりたいし、仕事としてやっていくんだろうなと。

久保寺:確かに、やらされ感はないですね。タスクが降ってきても嫌じゃなくて、やってみたかった内容だったり、取り組んでみることで発見もあります。自分の考えを反映できる環境がそうさせてるのだなと感じています。

河間:僕は自分の考えている通りでいいんだと思えましたね。仕事としてこの道を進んでいこうと確認できました。
ただ、メーカーにいきたいと思っていたところに、ベンチャーという選択肢が加わりました。良くも悪くも経験者ばかりで、自由にやらせてもらえる環境が楽しいです。大手メーカや大学の研究室ではそうもいかないでしょうし、息を吸うようにロボットづくりに熱中する人ばかりではないと思うので、やりにくさはあるかもしれないなと考え始めました。


——今後、伸ばしたいスキルや獲得したい技術はありますか

河間:特定のものはないです。まだ開発経験が4年とそこらなので、選んでいる身ではないと思っていて、なんでもやるスタンスでいます。

落石:自分は一度、高校の時にロボカップから離れているので、ずっとやっていた人と比べると若干技術力に差があります。ただ、やる気はあるので、差がある悔しさをバネにできています。ハードもソフトも、早く追いつけ、追い越せの精神です。

久保寺:ロボカップで1台のロボットの設計からソフトまで全てをやってきたからかもしれないのですが、全部を経験して全部奥底まで知りたい気持ちが強いです。今、大学の関係でメカと回路をやっていますが、ソフトをやりたい気持ちもありますし、どこを極めるのかはまだ探っています。

河間:ロボットづくりにおいては、ハードもソフトもエレキも、どれも切り離せないんですよね。なので極められてる人ってどれか一つだけを知ってるわけではないだろうなと思っています。
良い設計は配線のことを考えている。そうなるとエレキの知識が必要。どこまでをソフトで対処して、どこまでハードでメカ的に対応するのかを考えるなら、制御を理解しないといけない。こうやって全体が見えてある程度進め方を考えらえる状態は、何かを極めるために必要なことなのかもしれないです。

——ありがとうございました。スタートラインが違っても「ものづくり」に対する想いの強さに違いはないと感じさせるインタビューでした!

河間:僕はロボコンも知らない、半田ごてを握ったこともない、プログラミングって言葉は知っていたけど「C言語ってどこの国の言葉?」という状態からスタートしています。でも、こうやってロボコンをきっかけにものづくりにのめり込んでここにいるので、やりたいことが見つかるのに、早いも遅いもないと信じてます!

落石:うちは両親の趣味の影響もあって、メカはかっこいいものだと幼い頃に植え付けられていたから、デザインにこだわりたいと思う気持ちが強いのかもしれません。

久保寺:たしかに「かっこいい…」と思うロボット系のアニメを目指したくなりますよね。がんばりましょう(笑)!

New Innovations は、OMO領域における技術者及び事業企画を積極採用しています。人型ロボットをはじめ様々な開発に携わってきたシニアエンジニアや、幼少期からロボット製作に携わり国内外のロボットコンテストで優勝した若手人財まで、幅広いメンバーが活躍している開発組織です。少しでも興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

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