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世界大会出場ロボカッパーが集結。競技から仕事にフィールドを変え、スタートアップの製品開発に挑む

New Innovations で働く、世界大会出場経験のあるロボカップジュニア出身の4名に、ものづくりへの関わり方と企業で働くことへの考え方について、インタビューしました。

■プロフィール
プロダクト開発部 技術企画ユニット 藤山 優太

東京工業大学 工学院システム制御系。
2013年からロボカップジュニアに出場。2018年、RoboCup 2018 Montreal にて SoccerOpen SperTeam 1st Place および BestInnovation 受賞。RoboCup 2021 WORLDWIDE にて SoccerOpen Individual 1st Place, SuperTeam 1st Place 受賞。ロボカップジュニア引退後は宇宙ロボットベンチャーでの宇宙作業ロボットの開発や大手物流企業で物流の自動化に携わる。2022年12月にNew Innovations に参画。現在は調理ロボットのプロジェクトを担当。

プロダクト開発部 技術企画ユニット 富岡 大貴

立命館大学 理工学部ロボティクス学科。
2013年からロボカップジュニアに出場。2019年、サッカーライトウエイトの1,100gの中に「4輪オムニホイール・キッカー・ドリブラー・全方位カメラ」を搭載したロボットを世界で初めて制作、シドニーで開催された RoboCup 2019 にて個人成績3位。RCAP2021 ではライトウエイト 2位と Best Presentation 賞と Super Team 1st Place を獲得。
2023年2月にNew Innovations に参画。現在は調理ロボットのプロジェクトをメインに、プロジェクト推進を担当。

プロダクト開発部 技術企画ユニット 佐藤 恒太郎
法政大学 理工学部電気電子工学科。
2017年、都立小石川中等教育学校物理研究会のチーム SKY Crew のメンバーとしてロボカップジュニアに出場。同年にレスキューに出場し、名古屋開催の世界大会3位。2018年からは サッカーライトウエイトに転向し、同年にモントリオール大会出場。2019年にシドニー大会で3位。大学入学後、2022年シーズンにチームTwinclue を結成し、Rescue Maze リーグで全国大会3位。2023年2月にNew Innovations に参画。現在は調理ロボットの回路面の設計製作、root Cのリニューアルも担当。

プロダクト開発部 技術企画ユニット 宮里 孝希
岐阜高専 電子制御工学科。
2014年からロボカップジュニアに出場。当初はサッカー競技をやっていたものの、2022年からレスキュー競技に転向し現役選手として活動中。RoboCup 2023 BordeauxにてRescue Maze Best Poster賞を受賞。2024シーズンでの全国大会連覇に向けて現在も新ロボットの開発に勤しんでいる。2022年12月にNew Innovations に参画し、監視ロボットの設計を担当。

ガラクタ工作から始まったものづくり

——まず、みなさんの“初めてのものづくり”について教えてください

藤山:一番古い記憶は、祖父からモーターで動くタミヤの工作キットをもらって作ったことですね。おそらく、幼稚園か小学校低学年だったと思います。代表の中尾さんと同じく炊飯器は分解していた記憶もあります(笑)

電気的なものは、小学二年生の自由研究で作ったロボットが印象に残っています。首一軸、肩一軸、腰一軸、足回り二軸で、ポチポチすればどこかの軸が回る、モーターと電池とスイッチが直結したロボットを作りました。モーターだけ買ってきて、それ以外をオリジナルで作ったのはこれが初めてだったと思います。

富岡:僕は、レゴブロックやNHK Eテレ「つくってあそぼ」のワクワクさんが大好きでした。紙コップ、ティッシュの箱、ペットボトル、ダンボール、ラップの芯…きっとみんなが「あるある」って思ってくれるようなものを使って、二足ロボットを作っていました。

藤山:曲がるストローとかも、使いませんでした?(笑)

富岡:もちろん使ってました(笑)重要なパーツですよね!とにかく工作が好きで、小学校の頃に大会で入賞したこともあります。例に倣って、祖母からもらったビデオデッキを分解し、なんだかよくわからないけどわくわくしているような子どもでした。

ロボット塾にも通っていましたが、教材がキットだったので「できることは少ないな」と感じていて。そこで、キットに入っていた回路を小さくしたものを作ろうと、小4くらいでマニュアルを読みながらTJ3Bを自作しました。

佐藤:僕は、小さい頃からスターウォーズが好きだったので、ペットボトルとかラップの芯を組み合わせて、ロケットみたいなものを作っていました。電気系でいえば、エナメル線を巻いたものと乾電池と磁石でモーターを作ったのが最初ですね。おそらく、小学校に入る前じゃないかなと。それまでは、作ったものの見た目が「それっぽい」と判断したら終わりだったけれど、これに関してはモーターが回らないことに対して「なんで?」と疑問を持ち、改良を繰り返しました。この経験が、今の原点になってますね。

宮里:小学校に入る前から、モーター作りですか!皆さんすごいですね…。

僕は幼稚園の頃から工作が大好きで、自宅に大量の作品を持ち帰り親に嫌な顔をされていました(笑)小学校低学年の頃は、セロハンテープを使いすぎて使用を制限されたことも…。

電気系だと、小学校の工作で「ぶるぶる虫」を作ったのが初めてだと思います。歯磨きの毛を逆立てて、偏心させたモーターを回転させると、その毛の方向に進んでいくというおもちゃです。モーターが回ることに興味津々で、家に帰ってから即分解しました(笑)。モーターの先に工作用紙で作ったいろいろなプロペラを付け、どれが一番風を起こせるのか試していましたね。

——個人で楽しんでいたものづくりを、いつからチームでやるようになったのでしょうか?

藤山:ロボカップジュニアに参加し始めたのは小5の時です。ただ、当時はほぼ個人プレーで、相方を大会側が探してくれてチームを組んでいました。計画的にチームメンバーを探して出場したのは、中1になってからです。ロボットの強豪校に進学し、ロボット部に入って活動していました。

富岡:僕がロボカップジュニアに参加し始めたのは小3くらいですが、当時は同じく個人プレーでした。その時、中高一貫校に通う高校生が世界大会に行ったのを見て、中高一貫校への進学を決めました。

ただ、行ってみたら何故か何もなくて…(笑)周りの先輩達を巻き込んで、ロボット部を立ち上げました。その学校は、今やロボカップジュニアの強豪校になっています!

高校生として参加した2019年の大会で、現在、New Innovations で「root C」を担当している伊藤さんと出会いました。そこからチーム運営をスタートし、1年後に世界大会で3位を取ることができました。

——なるほど、思ったより個人プレーの側面もあるんですね

藤山:チームメンバーはいるけれど、独立したマシンを持ち寄って戦っていたり、全てのマシンを自分で作ったりしていたので、「ほぼ個人だった」と言う方が正しいかもしれません。

富岡:言われてみれば僕も2019年は、自分だけでマシンを6台も作ってました(笑)

藤山:個人プレーをやっていないと、力量がつかなかったのだと思います。

佐藤:僕は最初にロボカップに参加したのが中2なのですが、ずっとチームプレーだったかもしれません。大学受験で一度お休みした後、もともとレスキューをやっていた他の高専の方とTwitterで繋がり、一緒にチームを作って遠隔開発も経験しました。

それぞれマシンを作り上げて持ち寄るのではなく、一方は両方の回路を、もう一方はメカを全部やるというような分担をしていました。そのおかげでロボットの更新スピードは早かったのですが、New Innovations に来てみて「全部やってた人は強いなあ」と感じるところはあります。一長一短かもしれません。

宮里:僕も、徐々にチーム体制が整っていったタイプです。最初にロボカップを始めたのは、小2でした。僕は「キットを組み立てた」レベルのロボット、一方の相方はオムニホイルを使うようなレベルの小6。どうしても技術面での協力体制は成り立たなかったので、僕は戦略を立てることで貢献しました。
例えば、僕のロボットはスピードが遅く、追いかけている間に敵に点を取られてしまったり、相方と同時に進むと取り合いになったりするという課題がありました。なので、ロボット同士の距離感を測って、どちらがどう動くのかを決められるよう、Bluetoothを搭載しました。

後に組んだチームではお互いが作ったロボットを持ち寄っていたのですが、これ以上勝ち上がれないと気付いた時、相方は得意分野のソフトウエアを、僕はハード面を全て担当する体制に移行しました。自分がやらない範囲を明確にして、お互いその分野の技術を高め合うことで上手く機能するチーム体制ができたと思います。

富岡:ロボカップジュニアは要素が少ないので、個人プレーでも成り立っていたのかもしれませんね。ただ、ロボカップメジャーはメンバーが20人ほどいる場合もあるので、チームマネジメントをしないと勝てなくなります。

宮里:動くロボットは個人でも作れるけど、「その先に行こう」と考えた時に、一人では時間的な限界が来ます。そこで、チームに移行するパターンが多いのだと思いますね。

「働くこと」の概念が変わった

——個人プレーからチームプレーになり、そして企業に所属。率直な今の感想を聞かせてください

藤山:仕事は、限られた時間の中でやり切らなければなりません。そうすると、必然的にチームメンバーが必要になると実感しました。ロボカップジュニアからシニアになった時の感覚と似ているかもしれません。

宮里:New Innovations に入って学んだのは「思考の共有」という概念です。今までは自分だけで完結していたので、自分さえ理解していればよかったのですが、この会社の規模になってくるとそうもいかなくて…。例えばNotionに書くとか、Slackで相談するとか、テキストベースでやり取りをして情報を残す習慣は企業に入ってから学びました。最近は、ジャーナルボックスや日報を自分のチームにも取り入れています。

富岡:僕は元々Notionでチームマネジメントをしていたので、ナレッジの共有の仕方やタスク管理の方法、過去のドキュメントからの学びを踏まえた設計をしていました。なので、むしろNew Innovations にドキュメント文化を浸透させている感覚もあります。Notionもだいぶ整ってきて、そのベースづくりに貢献できているなと感じています。

佐藤:ロボカップでチームを組んでいたとはいえ、回路を担当する人は一人、メカも一人と作業範囲は個人で完結していました。それが今のような規模の組織だと、同じ業務を担当する人が何人もいて…。そうすると自分の中に知見をとどめておいては、チームとして相乗効果が生まれないんですよね。なので、ドキュメントで知見を共有しながら進めるのが良いと気付きました。自分自身の作業スタイルも、大きく変化しましたね。

——自分の技術を活かす先が、競技から「働くこと」に変わったと思います

藤山:実は、未だにロボコンをやってる感覚に近くて。「働く」という感覚が、まだ分かっていないのかもしれませんね…。逆に、今までも「ロボットを作る」という労働をしていたような気もします(笑)だから、あまり変わった感覚がないんです。

宮里:正直「働くってなんだろう?」と思っている部分はまだあります。前に飲食店でバイトをしていた時は、嫌々ながらもお金のために働いていました。New Innovations に入ってからは、お金が直接のモチベーションにならなくなりましたね。労働している感覚よりも「これを作って動かしたい」という思いが強いので、労働の概念が変わった感覚があります。

藤山:確かに、自分が作っているものが完成し、「あの社会に導入されました」って世間に自慢できるようになった瞬間にやりがいを感じますね。ロボカップジュニア時代もそうで「こんなもの作って優勝したんだぞ」と、詳しく技術ブログに書いて公開する時と似た感覚です。

宮里:わかる!優勝して分解記事を書いてる瞬間が、一番満たされてるかも(笑)

宮里:New Innovations に入ってから意識するようになったのが、自分の「やりたいこと」と「やるべきこと」をきちんと分離することです。前に、自分としてはすごく出来の良い部品を作ったとき、加工サービスに見積もりを出してみたら、かなり高額になってしまいました。
今までは個人の範疇だったから通用していたものが、製品開発となるとそうはいかないと学びました。

ただ、別のシチュエーションで「これは高額だから注文できないよな…」と思った部品に対して「注文していいよ!」と言われることもあって…。その時は、趣味と仕事の規模感の違いに圧倒されて興奮しましたね(笑)

佐藤:僕は回路づくりにおいて、「見やすい」「使いやすい」基板を意識するようになりました。世の中に出る製品、例えば冷蔵庫の基板を一般のお客様は見ないと思いますが、整備や開発をする人には大きく影響する部分です。そういう時に使いやすいのはどういう状態なのかを考えて、時間がかかってでもそれを徹底する癖が付きました。

——ご自身の「キャリア」を考えるようにはなりましたか?

富岡:今のところ、まだキャリアは分からないというのが正直なところです。

藤山:僕は、製品の設計とか世の中に使ってもらえる製品づくりもいいのですが、究極的にやりたいことは「プロのロボカッパー」です。
サッカーや野球は、競技でお金をもらえます。プロスポーツと同じように、ロボットが競技をすることでお金が稼げる仕組みを作ることが本気でやりたい夢ですね。もう、野望に近いかも知れない(笑)

宮里:飲食店でバイトをしていた頃は、「お金のための労働を60歳までやり続けるのか」と思うと絶望さえ感じていました。でも、New Innovations に来てからは、自分のやりたいことでお金を稼げるようになったので、こういう生活の仕方があることに驚きました。
バイトは、体験としては「負」が大きかったのですが、経験としては「プラス」だったと思います。New Innovations とバイトの経験双方が今後のキャリアの捉え方に影響しそうだなと思っています。

好奇心を踏み台に、自分の世界を広げる

——New Innovations で働いてみていかがでしたか?

藤山:当たり前ですが、会社には自分よりも圧倒的にすごい人がいます。同じコミュニティや、SNSの中だけで天狗になっていた自分の鼻を、良い意味でへし折られました(笑)だから、「自分は大したことなかった」と自覚し、精進するようになりました。より高みを目指せるようになったと感じています。

宮里:自分ができないことが分かるようになりました。「自分は一人で何でもできる」と思えるのは、できることだけをやっているからであって、できないことをやらなければならなくなった時に、初めてそこに気が付けるんだと思いましたね。

佐藤:企業規模の特性もあるかもしれませんが、「この分野だけやればいい」という働き方ではないのが大きいですね。ロボカップ時代は回路を組んだら終わりで、その先の基礎的な動作確認やソフトウエア制作の工程を意識してこなかったのですが、今はそこまで考えるようフィードバックを受けます。自分のやるべきことがある程度規定され、それまでなかった視点が生まれて、成長に繋がっているのを感じます。

富岡:New Innovations は、このフェーズで資金も人材も揃っていることがすごく稀な環境だと思います。中尾さんととても近い距離感で話せること自体がバリューだと思ってジョインしましたが、ロボカップをやっているだけでは見えない世界、聞けない話がたくさんありました。経営するとはどういうことなのか、少しだけその片鱗が見えた気もします。

藤山:同世代で「すごい人だな」と思っていた富岡さんと同じチームで働けていることも嬉しいですね!

富岡:会社に所属したら、ロボカップやSNSを通じて知っている人や、開発の相談ができる人たちがたくさんいて、しかもそこに自分が一緒にやってみたかった人を誘えるんです。とても贅沢な環境だと思いました。ドリームチームを作れてしまうんですよね。

佐藤:ロボカップに取り組んでいた頃は、学校で長い時間を共に過ごす仲間と一緒だから、うまくいくんだと思ってました。だから、優勝できたんだろうと。でも、今回携わったプロジェクトは、「付き合いの長い友人」みたいな関係性はなくても、同じゴールを目指して全員が全力で取り組んだことで、製品化にこぎつけることができました。これが、本当に嬉しかったです。

——みなさん、世界が広がったのですね

宮里:そうですね。振り返るとこうやってチャンスを掴めたのは、自分で世界を広げてきたからだと思います。New Innovations にジョインできているのは、自分のブログやSNSの発信を見て声をかけてもらったからです。

実は、SNSを始める時、親から猛反対を受けました。それでもなんとか交渉して約束事も決めて、スタートできたからこそ今があります。

富岡:僕も昔、ロボカップで活躍していて憧れていた方が、ブログでは公開しない画像などをSNSに投稿していたんです。それをどうしても見たくて、中1の時にSNSを始めました。
それをどうしても見たくて始めたのがきっかけでした。小学生や中学生が親に内緒で勝手に始めるのは危ない部分もあるので事前に相談、場合によっては交渉して、やりたいこと、見てみたい世界があるなら自分から踏み出していくことも大切ですよね。

僕たちのようにスタートアップで働くなど、今は機会に恵まれている時代だと思うので、早い段階で学校や既存のコミュニティから一歩外に出てみることをおすすめしたいです。

New Innovations は、OMO領域における技術者及び事業企画を積極採用しています。人型ロボットをはじめ様々な開発に携わってきたシニアエンジニアや、幼少期からロボット製作に携わり国内外のロボットコンテストで優勝した若手人財まで、幅広いメンバーが活躍している開発組織です。少しでも興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

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