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Service Design Magazine

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サービスデザイン・新規事業開発領域で働く方に向けて、NEWhメンバーが日頃の業務で得た気づき・発見・学びをお届けします。
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記事一覧

ストーリーにフォーカスするデザイン

株式会社NEWhのサービスデザインチームマネージャーの石塚です。 以前書いた記事からかなりの時間が経ってしまいましたが、改めてこのnoteでは、改めてNEWhのサービスデザインの特徴や私たちが日々のデザインワークで得られた知見・気づきをご紹介したいと思います。 私たち、株式会社NEWhは、大企業を中心としたエンタープライズの新規事業開発の伴走支援を得意とするデザインコンサルティングファームです。所謂、新規事業開発・事業開発の0→1に関する様々なフェーズのデザインに関する営み

活動システムマップで新規事業3:企業活動から導く新規事業領域

前回の記事では自社の優位性を分析するフレームワーク「活動システムマップ」を使い、優位性をもたらす活動をセットで切り出すことで新規事業を行う上での強みとして抽出するという手法をご紹介いたしました。 今回はその抽出した強みを使って検討すべき事業領域を考えていきたいと思います。 強みから顧客ニーズを探索する強みから顧客ニーズを発想する方法ですが、強みを活かす市場を直接的に発想するのではなく、「強みのもたらす効用を考える」という、自社目線で発想されている強みを、果たして顧客にとって

活動システムマップで新規事業2:企業活動から強みを見つけるフレームワーク

前回の記事では事業開発の起点の分類、既存事業の強みから発想する場合のアプローチの1つとして活動システムマップのご紹介をさせていただきました。今回は具体的に活動システムマップを書いていくステップをご紹介したいと思います。 自社の活動システムマップを考えてみるまず、活動システムマップを書く上での前提ですが事業部単位で作成します。※複数の事業があり、その中で優位性を検討したい場合は事業部ごとに作成してください。 次の5ステップで書いていきます。 青山フラワーマーケットの例

よりよい製品・サービスをつくるための顧客体験設計

こんにちは、NEWhサービスデザイナーのわたなべです!今日は顧客体験の設計をテーマに書いてみようと思います。 世の中には様々なサービスが溢れていますが、みなさんにとって「良いサービス」とはどういうものでしょうか。アプリがすごく使いやすい、スタッフの接客対応がとても良い、とても専門性の高いサポートをしてもらえるなど…色々考えられるかと思います。私は良いサービスを一言でいうならば「自分(顧客)が求める価値を期待通りまたはそれ以上にして受けることができる」ものだと思っています。

活動システムマップで新規事業1:新たな自社の強みを発見する方法

NEWhでサービスデザイナーの酒井です。5年ぶりの更新となってしまいました。5年ぶりなので少しだけ自己紹介をしたいと思います。 普段は既存事業のある大企業の新規事業部署向けに、伴走支援の形でメンバーとして一緒に事業を作るお手伝いをさせていただくことが多かったり、新規事業支援部署の方と一緒に事業創出プログラムを考えて実行するようなことをしています。また、プライベートではStartupWeekendという3日間で知らない人たちと集まって事業アイデアを考えるスタートアップ体験イベン

共創の鍵となる思考法、インテグレーティブ・シンキング(統合思考)

大企業の新規事業開発を支援する、NEWhのサービスデザインチームのマネージャーをしている今村です。 ここでは“共創プロセス”で新規事業を伴走支援させていただく中で得られた知見やノウハウをお伝えしていきたいと思います。 今回のテーマは、価値を共創する際に必要な思考法、“インテグレーティブ・シンキング(統合思考)”です。 近年「〇〇思考」を冠した書籍がたくさん出ていますが、あまり日本では統合思考という言葉は知られていないように思います。 今回は馴染みの薄い、しかし新規事業開発

AI分析とも相性がいい!チャットインタビューレポート|メリットとデメリット

みなさんこんにちは、お久しぶりです、初めまして。NEWhサービスデザイナーの北村です。 今回は、お仕事の中で現在のサービスの課題を発見するために「Sprint」というサービスを利用して3日間で8人のインタビューを1人で行う、ということをやってみたので、そのレポートです。 結論としては「結構よかった!」という感想です。ただし、やっていく中で合うケースと合わないケースがありそう、と思いました。 どういう状況でマッチするのか、逆にこういう場合はやらない方が良さそう、ということな

顧客体験ストーリーを“共創”する

大企業の新規事業開発を支援するNEWhのサービスデザインチームのマネージャーをしている今村です。 ここでは新規事業をクライアントと共に“共創プロセス”で伴走支援する中で得られた知見やノウハウをお伝えしていきたいと思います。 今回取り上げるテーマは「顧客体験のストーリー」です。今回はその意義と書き方についてお話をしたいと思います。 事業コンセプトの解像度を高めるとはどういうことか 新規事業開発において、顧客体験のストーリーを紡ぎ出すことはとても重要です。 その事業が提供す

新規事業開発の成功を高めるBTCチーム

大企業の新規事業開発を支援するNEWhのサービスデザインチームのマネージャーをしている今村です。 ここでは新規事業をクライアントと共に“共創プロセス”で伴走支援する中で得られた知見やノウハウをお伝えしていきたいと思います。 前回の投稿では、新規事業開発に必要なチーム力、「コレクティブ・ジーニアス(集合天才)」についてお話をさせていただきました。 今回は、事業開発を進める上で理想的な「チームのあり方」について少し具体的に踏み込んでお話をさせていただこうと思います。 複雑化

製品・サービスをエコロジーとして見る

古代エジプトのカレンダー ここは古代エジプト。夜明けの間際、東の空、はるかな地平線からにわかにシリウスが輝きのぼると、夏至とともにナイルの氾濫の時期を告げます。 古代エジプトの人々は、このことを経験的に知っており、ナイルの氾濫時期を予測するためにソティス(シリウス)暦という暦を作りました。これが人類にとって初めてのカレンダーだと言われています。 ナイルの氾濫を予測することは、古代エジプト人にとって非常に重要な意味を持っていました。ナイルの氾濫によって、隣接する氾濫原から肥沃

より良い共創体験を生み出すこれからのファシリテーションのススメ -miroの活用編-

わたなべです。5月に株式会社NEWhにサービスデザイナーとしてジョインしました!前回の記事でより良い共創のためのファシリテーションのコツについてまとめましたが、今回は具体的な方法をご紹介できればと思います。 共創プロジェクトにおいてどんなツールを使うかは非常に重要で、それによってプロジェクト全体の体験が左右されると言っても過言ではありません。NEWhではクライアントさまとのワークショップや日々の社内ワークにおいて、ZoomとMiroを併用して進めることが多いです。特にMir

共感と納得を生むネーミング法!実践編|共通の体験を想起させる

こんにちは。渋谷(しぶたに)です。 私はもともと事業会社でインハウスデザイナーをしており、現在はNEWhでサービスデザインのお仕事をさせて頂いています。  このnoteでは、NEWhで活用したサービスデザインの思考法や手法を紹介しつつ、「実際にどう活用したのか?」「良かったポイント、また改善が必要なポイントは何か?」という”サービスデザインの現場の声”をリアルタイムでお伝えしていきたいと思っています。読んでくださった方が少しでもNEWhのサービスデザインの思考法や手法に興味

顧客中心のプロセス〜それだけで良かったんだっけ?〜

〜〜ある新製品開発部署での出来事〜〜 〜〜〜〜〜〜 担当「ユーザーリサーチして、ペルソナ作って要件を固めて、設計して、評価した。どうやら新たな価値を提供できていそうだ。」 上司「で、これってどうやって利益になるんだっけ?」 担当「……。」 〜〜〜〜〜〜 新サービスを企画し、製品のプロトタイピングもした。ターゲットとなるエンドユーザーの反応も良さそう。しかし、上申しても経営陣のみならず、上司までも説得できず、開発にストップがかかってしまいました。様々ある社内の施策の中で、優

長期プロジェクトだからこそ「生の声」を保存するべき|AIを活用した簡単インタビューログまとめのすすめ

みなさんこんにちは、NEWhサービスデザイナーの北村です。 今回はいろんな調査をする上で欠かせない「インタビュー」に関して、自身の体験をもとにAI活用してサクッとログを残しておくフォーマットを作っておくといいんじゃない?という記事です。 長期プロジェクトの途中参加者は、「生の声」を知らないままで熱量や実感の共有ができない事業開発は長く続いていくプロジェクトです。 長くプロジェクトが続いていく中で「あのときインタビューした人の言葉は本当に実感がこもっていた」「あの発言でやっぱ