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ほちゃ太郎
2021年3月1日 16:35
ムツキは落胆していた。都会の薄給が原因ではなかった。 3年目の札幌で、彼女は11時からの派遣バイトの登録会まで時間を潰すため、チェーン店のカフェに入った。2月の比較的穏やかな週で、予報では久々のプラス温度だったが、雪がちらついていた。帯広の田舎から出てきたムツキは、OLスーツのくたびれが似合うようになってきたら、どうでもいい空き時間をどこにでもあるチェーンのカフェで過ごすことに憧れていた。