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お城のおそうじやさん

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2021年1月の記事一覧

お城のおそうじやさん #13

お城のおそうじやさん #13

キャビネットにもクローゼットにも、

絵画の裏にも、魔法の杖はありませんでした。

「どこにあるのよ!」

目ぼしい隠し場所を全て調べ終えたカラの焦りは頂点に達していました。

「冷静になって」

カラは自分に言い聞かせます。

「大臣の気持ちになるのよ。

命の次に大事な魔法の杖。

自分が大臣だったらどこに隠す?

キャビネットやクローゼットじゃ捻りがない。

すぐに見つかってしまうじゃない。

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お城のおそうじやさん #12

お城のおそうじやさん #12

7-13の部屋の前ではレジーナが、

勲章授与式が行われている大広間の前ではアデルが、

掃除をはじめました。

カラとアビーも8階に到着すると、廊下の掃きそうじをはじめます。

フィンが動き出します。

8階の大臣の部屋の窓までロープで降りると、

手際よく窓に小さな穴を開け窓の鍵を開けます。

そしてロープを体から外し部屋の中に入ると急いで部屋の扉を開けます。

カラとアビーが掃除しているのが

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お城のおそうじやさん #10

お城のおそうじやさん #10

カラとフィンがおそうじかかりの部屋に戻ってきました。

そして「7-13」の部屋で起きたことをみんなに話しました。

「なんということなの。とても信じられない」

アデルは顔を強張らせています。

「ええ、信じられないわ。でもそれが事実よ。

大臣がわざわざこの部屋に来て鍵を奪った理由もこれで説明がつく」

レジーナが答えます。

「今の国王ってはっきり言って最悪。税金は高くなるし、生活は貧しくな

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お城のおそうじやさん #11

お城のおそうじやさん #11

「でも、こんな広いお城の中から魔法の杖を探し出すなんてできるの?」

アビーの言うことはごもっともです。

「アビドラとヤヌーにとって命の次に大事な魔法の杖よ。

もし他人に見つかってしまったら、自分たちの立場が危うくなる。

だったら人の目につく場所や

みんなが出入りするような場所には絶対に隠さないわ」

カラの推理にアデルが加わります。

「そうね。私は国王の寝室をそうじする担当なのだけれど

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お城のおそうじやさん #9

お城のおそうじやさん #9

(レオノールが書いた文章のつづき)

この国には遥か何千年んも前から伝わる魔法の杖があるのよ。

このことは国王一族しか知らず、

その隠し場所も国王一族以外には明かされていない。

この魔法の杖を使えば、国を滅ぼすことだってできる。

自分の権力のために使えば大変なことになる。

そう考えた歴代国王は、

この杖の存在を一族以外の誰にも口外せず

また自身がその杖を使うことなく隠し続けてきたの。

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お城のおそうじやさん #8

お城のおそうじやさん #8

「うまく喋れないのね。文字は書けるかしら?」

カラは胸ポケットに入れていた万年筆を取り出し、

窓にかけられたコットンでできたアイボリーのカーテンをちぎると

テーブルの上に置きました。

「あなたのこと教えてちょうだい」

カラの言葉に反応するように、化け物はゆっくりとテーブルに向かい

椅子に腰かけ、紙に何かを書き始めました。

爛れていて皺だらけの手から書かれた文字は、

とても醜い化け物

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お城のおそうじやさん #7

お城のおそうじやさん #7

月明かりに照らされた部屋の中はそれでも暗く、

かろうじて部屋の大きさと家具が数点置いてあることが

わかる程度でした。

部屋は4歩もあるけば反対側の壁にぶつかるほどの広さで

このお城の中では小さい方の部屋でした。

中央に椅子が二脚と、テーブル言一卓置かれていました。

そして、壁際には質素ななシングルベッドが1つ置かれていました。

「誰かいる?」

カラの問いかけに反応する者はいません。

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お城のおそうじやさん #6

お城のおそうじやさん #6

フィンは、城の天辺に着くと

腰ににロープを回し、城の塔の先にある金具に

ロープをしっかりと固定しました。

いつもと違うのはもう一人、フィンの背中に人間がいることです。

「大人でもちぎれないロープだから大丈夫だと思うけど

暴れたりするなよ!」

「大丈夫よ、フィン。本当にありがとう。

それに私、すごくスリムだから!」

フィンはふてくされた表情でカラの腰にもロープを回します。

「アビー

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お城のおそうじやさん #5

お城のおそうじやさん #5

仕事を終えてお城から帰るところだったフィンが

窓拭き係の部屋の前で待ち伏せしていたアビーに連れられ

カラたちがいるおそうじ係の部屋にやってきました。

「なんだよ急に!今日は帰って妹と遊ぶ約束をしてるんだ」

フィンはなぜ自分が呼び出されたのか、

4人の女に囲まれ何を言われるのか、

戸惑いを隠せませんでした。

「ごめんなさいね、フィン。教えて欲しいことがあってね」

レジーナはそう言うと

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お城のおそうじやさん #4

お城のおそうじやさん #4

レジーナによると

半年ほど前、突然大臣がおそうじ係の部屋にやって来て、

(普通は大臣がおそうじ係の部屋にくることなんてありません)

7階の鍵の束を渡すよう言われたというのです。

そして、鍵を1つ外すと、自分のポケットにしまい

「今後7階は全ての部屋を使わないことにした。

なので、そうじをする必要はない。

もし7階に立ち入るようなことがあれば厳しい処罰を下す」

と告げ、部屋を出て行っ

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お城のおそうじやさん #3

お城のおそうじやさん #3

お城のおそうじは思ったより大変でした。

床を掃き、モップがけ、窓を吹いて、

豪華な調度品も一つずつ丁寧に拭いていきます。

「とても1日で20部屋は無理だわ。」

カラは、他のみんなが1日に20部屋もそうじしてるなんて、

どういうことか想像がつきませんでした。

陽が落ちはじめ夕方になりました。

カラは、12部屋目ののそうじを終えたところでした。

「あと一部屋そうじしたら、終わりの時間ね

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お城のおそうじやさん #2

お城のおそうじやさん #2

カラは部屋の中央に置かれたイスに座りました。

「はじめまして。私の名前はレジーナ。

このお城のおそうじ係として、もう50年以上働いているおばあさんよ。

今日からよろしくね、カラ」

「よろしくお願いします。でも、50年以上なんてビックリ。

そんなに働いているんですか?」

カラは驚きを隠せませんでした

「ええ。14才の時からずっとここで働いているわ」

「私も14才なんです」

レジーナ

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お城のおそうじやさん #1

お城のおそうじやさん #1

カラは14才の女の子。

今日からお城で働くことになりました。

お城ではたくさんに人が働いています。

王様の下で国の色んなルールをつくる人、

国民が幸せになるためのアイデアを考える人、

この国が外国から攻撃されないように守る人。

そして、大きなお城のおそうじをする人も。

カラは今日からこのお城のおそうじ係として雇われることになったのです。

誰もが一度は足を踏み入れてみたいお城の中。

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