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【紙とアート】幸せに囲まれた3時間。~尾崎愛実さんの個展へ行ってきました!~

こんにちは!おちらしさんスタッフの臼田です。先日、銀座で開催された「尾崎愛実展」へ行ってきました。

尾崎さんはアーティスト。
東京藝術大学美術学部の絵画科油画専攻を卒業されています。

私は自分自身の身体的特徴や普段の生活の中で得た気づきを、身近な素材やモチーフを使って表現しています。
作品のモチーフである服を「個々のキャラクターや立ち位置を示し、「らしく」生きるための衣装」と捉え、衣服と生活について考察しています。
最近は演劇チラシを主に身近で捨ててしまうような物の中にこそ私たちの生活の営みの尊さや儚さがあるのではないかと感じ、それらを素材として使いながら制作をしています。
(尾崎愛実さん公式HP「作品について」より https://megumio.wixsite.com/saki )

プロフィールにあるように、演劇チラシなど、身近に存在する「紙」を使用した衣服が展示されていました。

展示スペースに一歩足を踏み入れて、最初に私が気になったのが、写真右側の、こちら。

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よーく見ると、全部、ピザのチラシなのです。
ピザのチラシとともに、和紙を組み合わせて制作された衣服。
和紙も、色・形・大きさが様々です。

遠くから見て、キラキラに心が躍り、
近くから見て、細やかさに心がとろけました。

写真左は、パジャマ。実は全てU25などアンダーチケット情報のある公演チラシを使用されています。
緊急事態宣言のなか26歳になった尾崎さんが、感染症の影響などから観に行くことのできなかった公演たち。

パジャマなのにポップなパジャマ、
寂しい出来事なのにポップなパジャマ、
見つめているだけで口角がニヤっと上がっちゃうパジャマでした。

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( ↑ 尾崎愛実さんInstagramより)

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( ↑ 尾崎愛実さんInstagramより)

そして次に気になったのが、こちらの白い洋服。

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こちらはレシートと和紙でつくられています。レシートにアルコールを吹きかけているんですって!アルコールによって、レシートの印字がぽわぁっとにじんでいます。

レシートの柔らかさだからこそできる、服の形。
首元のレシートのフリル、可愛いです。

アルコール…今の我々にとても密接している言葉ですよね。
「ゆるやかな忘却」というタイトルから想像するこの洋服が生み出すストーリーは、とても味わい深いものでした。

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そしてこちらは赤いコート。
展示室の壁を利用して、コートだけでなく空間全体がひとつの創作になっています。
そのため他の展示と続いているスペースなのに、一歩違う部屋に入ったような、自分が赤いコートの持ち主になったような、不思議な気分になりました。

これらの洋服は、尾崎さんが着られるようにつくられています。誰でも着られるのではなく「尾崎さんが」着られるようにつくられている。

1周くるっと周ったら5秒のスペースに、私は、気づいたら3時間居ました。

なぜって…?

尾崎さんの、創作、そして、その創作過程のお話が、
とってもとっても楽しかったからです!!!

1つの展示あたり、30分くらいはお話ししてくださったのではないか…という体感。

展示されている洋服だけでなく、ファイルに大切にまとめられた過去の創作の様子も、お話ししてくださいました。

創作に込められた想いを、ひとつひとつ丁寧に、分かりやすく、面白く、言葉を紡ぎ出してくださいます。

「大学にいた時は自分の作品のことを自分の言葉で話せるように鍛えられたからねぇ…」と話す尾崎さん。
しかし「説明しなくても、それぞれが自由に作品を感じてくれることも嬉しい」ともお話しされていました。

自分ひとりで想像しても、深く想像が広がるのが尾崎さんの創作の魅力。
そして尾崎さんがお話ししてくださることで、心がウルウルするほどワクワクしてしまうのが、尾崎さんの創作のさらに素敵な魅力、だと感じます。

尾崎さんが自分の作品を話すときの表情。
ただ笑顔なのではなく、相手に伝わるように届けようとする、強く優しい「目」が非常に印象に残っています。

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今回の展示や、創作の様子を味わうことのできる尾崎さんのInstagramをぜひご覧ください!
https://www.instagram.com/mamegumin/

私ももういちど、あの3時間の幸せな記憶に浸ります。。。


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