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言葉は猫である

かれこれ30年コツコツ系ライターをしています。
言葉のおかげで食えていますが、言葉は生き物です。
あくまでも私の感想ですが、

言葉は猫

ですね。
どんなに飼い馴らせたように思えても、前触れもなく野生に戻ることがあるのです。こちらに牙をむいてきます。

引っかかれる程度なら、かまいません。
問題は、時折この猫、ライオンになるのです。
その状態で襲いかかられたら、どうにもできません。
30年の間に、ライオンと化した言葉にじゃれつかれたことが何度かあります。これはもう、運が悪ければ深手を負います。幸い、致命傷にはなりませんでしたが……。

私は未体験ですが、言葉の猫は化け猫になることもあるようです。
そこまで行ってしまっては、化け猫の飼い主、つまり、その言葉の使い手も身の毛がよだつ思いでしょう。

「奥山に、猫またといふものありて、人をくらふなる」

徒然草

言葉の(?)山の奥には猫またという怪物がいて、人に危害を加えるらしいと、700年前の名随筆でも言われています。
(徒然草のこの話では、その正体は飼い犬でしたが)
言葉はいとしくて怖いものです。

私はいつしか文章をつむぐ時、「言葉は小さなライオンである」と意識するようになりました。自分の愛猫は、他の人からも「かわいい」と言ってほしいもの。そのためには言葉をイラつかせてはいけないのです。猫じゃらしで遊ぶ感覚で言葉を連ね、でも、「やり過ぎないように」と、言葉の機嫌をとっています。

世の中には、そもそも猫が苦手という人も少なからずいます。テレビやラジオがむずかしいのはそういうところです。誰一人不愉快にならない表現なんて、ありえないでしょう。そのような場で笑いを取り続ける芸人さんたちは、ただただすごいと思います。

ここ、noteは、穏やかな方が多いようで、読み始めて違和感を覚えたら、そっと引き返してくれる……そんな印象です。
つまり、私はこの場でなら、

自分の猫を存分にのびのびとさせられる!

都会で飼っていた猫を、山里の民家に連れてきてあげた感じです。

見出し画像は春まだ半ばに撮ったハナズオウのつぼみ。
見た瞬間、猫の肉球を連想しました。
こんな言葉を綴れたら……と、頭をひねるのが楽しいです。


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