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データ分析の塊「eスポーツ」が拓く新しい世界

 日本では「しょせんゲームでは」という見方がまだまだ根強いeスポーツ。ですが、オンラインでの対戦が基本で身体的接触が伴わないeスポーツは、コロナ禍が席巻する中でも世界各地で数多くの大会が開催され変わらぬ盛り上がりを見せています。その市場規模はNewzoo社の「2020 Global Esports Market Report」によると、2023年には約15億6000万ドル(約1800億円)に達すると予測されています。そんなeスポーツ、実は「データ」をめぐって激しく火花を散らす世界なのです。

競技に関する全データを簡単に収集可能

 競争性が高いeスポーツは、ゲームプレイヤーに従来のスポーツ選手と同等の厳しいトレーニングが必要となります。そのため、1つのスポーツ活動としてみなされつつあります。2022年に中国・杭州で開催されるスポーツイベント「アジア競技大会」では、eスポーツが初めて正式種目として採用されることが決定しました。将来的にはオリンピックの正式種目となる可能性もあり、新しい「スポーツ」として確実に認知され始めています。

 eスポーツは、これまでのスポーツと比べていくつかの違いがあります。最も特徴的なのはデータ分析やデータ活用との親和性が格段に高いという点です。

 eスポーツが開催されているのは、通常のスポーツと違いデジタル空間の中です。そのため、選手の操作やバトルの結果などのデータが、これまでの一般的なスポーツより簡単かつ正確に記録することが可能です。

 それらのデータを分析するデータアナリティクスの研究開発が加速度的に進んでおり、米国のようなeスポーツ先進国ではすでに「eスポーツアナリティクス」のビジネスが一般化して盛り上がっているほどです。日本国内でもやや遅れて同様の動きが起こることは間違いないところでしょう。

 まずは知らない人のためにeスポーツの基本を説明しましょう。eスポーツとは「エレクトロニック・スポーツ(electronic sports)」の略称で、一般には複数のプロゲームプレイヤーが対戦するコンピューター/ビデオゲームの競技を指します。

 最近では複数のプレイヤーが2つのチームに分かれてキャラクターを操作し、味方と協力しながら敵チームの本拠地を破壊して勝利を目指す「MOBA」(Multiplayer Online BattleArena)と呼ぶジャンルが人気を集めています。ほとんどのeスポーツは、通常のスポーツ競技と同様にリーグまたはトーナメント形式のチーム戦になっており、世界中から多数の観客を動員し、高額な賞金などが賭かった大会も数多く開催されています。

 eスポーツが盛り上がるにつれ、米Amazonがストリーミング配信プラットフォームの「Twitch」を買収し、米GoogleもYouTube Gamingを用意するなど、大手テクノロジー企業が次々と配信ビジネスに参入しています。2018年の世界大会の決勝戦は世界中から約1億人が視聴するまでに成長しています。


データを分析、プレイヤーのパフォーマンスに生かす

 それでは、いよいよ真打ちのeスポーツアナリティクスについて説明しましょう。

 eスポーツアナリティクスの大きな目的は、プレイヤーのパフォーマンスを向上させることです。例えば、プレイヤーが使った各キャラクターの使用率や勝率、ランキング上位のプレイヤーの装備などの情報などを分析し、数値やグラフとして視覚化します。各プレイヤーのパフォーマンスを統計データ(スタッツ)として示すことで、自分だけでなく相手選手の強みやミスしやすいところを発見できます。その結果から、プレイヤーは自身のゲームプランやプレイの内容を改善して対戦成績の向上につなげるのです。

 活用するのは、競技内で得られるデータに限りません。プレイヤーの脈拍、血圧、体温といったバイタルデータをプレイ中に取得し、試合結果や統計データなどのパフォーマンスとの関連性を分析します。それにより、パフォーマンスに影響する特徴的なシグナルを発見したり検証したりできます。

 最近のeゲームの主流はチーム戦です。そのためスポーツアナリティクスは、プレイヤー個人だけでなくチームとしてのパフォーマンス向上にも重要な役割を果たします。

 具体的には、大会や練習の映像および統計データを集め、自分たちのチームや選手だけでなく対戦相手の選手やチームとしての強み、弱点、癖などを発見。そうして分析した情報を基に、各選手やコーチが対策および、そのための練習計画、対戦中の戦略を立てます。

 例えば、どういった試合運びをするかといった分析や、相手に有効な戦術および編成を考えるためなどに使います。試合後には、事前の練習や試合の内容を分析することで、うまくいった部分と失敗した部分を見つけ出し、得意な戦術の強化や連携の不備を修正する方法を考え練習計画を練るなど、次の試合に生かせます。



観客やファンの獲得にもデータが活躍

 eスポーツの世界では、オンラインでストリーミング配信し観客に視聴してもらうビジネスが、ゲーム内でのプレイヤーによる対戦と並ぶ大きな柱になっています。そこで観客を獲得するためにもeスポーツアナリティクスの活用が進んでいます。

 例えば、観客の見ている場面に応じて映像からAI(人工知能)が音声を自動生成し、リアルタイムでゲームの実況を中継します。対戦の合間にはAIが自動検出したハイライトシーンを表示したり、試合の状況をグラフなどでリアルタイム表示したりすることで、観客が対戦をわかりやすく、かつ楽しめるように演出しています。

 eスポーツでは観戦する観客のデータも重要です。彼らの嗜好を詳細に分析すれば、ゲーム会社やスポンサー、プロチームのマーケティング活動にも役立てられるからです。eスポーツファンの多くは、関心を持つゲームやチームの配信チャンネルあるいはソーシャルメディア(SNS)をフォローして動向を追っています。そういったチャネルからファンのデータを収集することで、ゲーム会社が参加プレイヤーを増やしたり、プロチームがファンを獲得したりする上で指針として活用できます。ファンの趣向を階層分けしていくことで、適切なスポンサーに商品価値をアピールすることも可能です。

 データの分析と活用にモノを言わせて戦うeスポーツ。あなたも一度のぞいて、データの効力を実感してみてはいかがでしょうか。


ネットアップについて

ネットアップは1992年の設立以来、ユーザーのデータを保存・保護・管理するストレージシステムとソフトウェアを一貫して開発してきたデータ専業企業です。日本をはじめとするワールドワイドで製品及びサービスを提供。エンタープライズ規模のNAS市場では世界トップシェア、国内NAS市場でも売上高および出荷容量でトップシェアを誇っています。

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Astraとは

Kubernetes環境を統合管理できるSaaSサービス。Kubernetesのアプリケーションや関連データなどのバックアップ、リストア、移動などを容易に可能にする。オンプレミス環境およびクラウド環境の双方において利用可能で、ハイブリッド環境における一貫したデータ管理機能をクラウドサービスとして提供する。

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ネットアップのすべてのストレージ製品・サービスを管理するOSです。豊富な機能を備え、オンプレミス型のストレージ製品のOSとしてだけでなく、クラウドストレージのOSとしても利用可能。また30種類を超えるセキュリティ機能を搭載し、ランサムウェアをはじめとする高度なサイバー攻撃から企業のデータ資産を効果的に保護します。

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ネットアップのストレージOSである「ONTAP」をクラウド環境で稼働させ、クラウドストレージのリソースをオンプレミスのストレージとまったく同じように柔軟に利用できるようにしたサービス。現時点ではAWS(Amazon Web Services)、Microsoft Azure、Google Cloudの3大クラウドサービス上で利用可能。

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