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#詩

はしきうるわしき

はしきうるわしき

少年少年少年、
少年、
菫色の瞳の少年、
菫色の瞳の中の少年、
安酒を飲み笑い出す少年、
フリルとレースに溺れる少年、
漂白する少年、
漂白し漂泊する少年、
漂泊する少年の中を泳ぐ少年、
コンビニ、ホットスナック、油にまみれし薄紙、てらてらと輝ける、唇、
入れ子構造の少年、
少年の中には高密度の少年、
もしくは夢の中の少年、
少年少年少年少年、
傷に当てしカットバンぐずぐずたらむ少年、
なお愛しき

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小さな劇場

小さな劇場

空洞のふちをなぞる指は水色
少年と青年はピアノの前で瞬きする
深い呼吸を試してみる
少年の白い襟、青年の黒い釦

「夢にあなたが出てきました。馬車に乗っていて、花を抱いていました。ベルベットのような偽物のようなすべすべの花びらのうえを一滴の雫が滑って、」
「昨日のテレビの話をしよう。君によく似た豹が出ていた。獲物を捕え、口に血を滴らせていた。……ねぇ、私たちは同じ話ばかりしているね」

伏せられた

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明けの愚者

明けの愚者

水のない花瓶に
きみを生ける
大振りな滅紫の薔薇に挟まれて
きみは俯いてみせる

愛してるというより
好きだった
たぶん恋だった

きみの少年時代から抽出した
苦い琥珀糖を
齧りつづけて口は汚れた

早く朽ちてくれと
祈りながら冷たい水をそそぐ
きみは溺れ
最期をぼくにくれる
水が溢れ出し
夜を編み込んだ敷布は濡れる

ねえ
きみはぼくのことどう思っていた?
ちゃんと恨んでくれていた?

最初にプ

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夜の獣のうた

夜の獣のうた

夜のオルガンが鳴っている
蕎麦をすする青年Sと
薄桃色の薔薇を握り潰す青年H
猥雑な喫茶のバックヤード、深夜

ふたりはよく似ていたが
似かよった部分がとても深かったので
誰も共通項を当てられなかった

青年Sは鬼の話をする
青年Hは大袈裟にわらう

おそらくこんな夜はもう来ないだろうと
予感するS

たぶんまたこうやってわらうだろうと
予言するH

プレイリストが明るい調子の暗い歌を流す
甘った

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◆詩◆ふゆのひ

◆詩◆ふゆのひ

はじめに。ちいさい海があって、パラソルがあって、きみがいて、ソーダ水があった。
もう冬なのできみはマフラーに埋もれるように巻かれていて。
小屋で火を焚こうと提案すると、はじめての名案だというように目を輝かせるきみ。
サイコロ状にカットした野菜がごろごろと入ったスープをよそう。パンをちぎってひたして食べる。
置きっぱなしのパラソルに冷たい雨があたるおと。
思えば今年も夏は短かったし、冬は永遠のように

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