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Photo by
tangetu58
明けの愚者
水のない花瓶に
きみを生ける
大振りな滅紫の薔薇に挟まれて
きみは俯いてみせる
愛してるというより
好きだった
たぶん恋だった
きみの少年時代から抽出した
苦い琥珀糖を
齧りつづけて口は汚れた
早く朽ちてくれと
祈りながら冷たい水をそそぐ
きみは溺れ
最期をぼくにくれる
水が溢れ出し
夜を編み込んだ敷布は濡れる
ねえ
きみはぼくのことどう思っていた?
ちゃんと恨んでくれていた?
最初にプレゼントした海松茶のマニキュアを
思い出しながら
ぼくは眠るために
錠剤を数える
意識はゆるやかに浮上し
きみの幻影を紺碧のカーテンに浮かべる
死はいつだってぼくらの後ろにべったりと
張り付いていて
いつでもいける準備をしていた
きみのいない花瓶を
なにで満たそうかなんて
何処までも利己的なんだ
傲慢で身勝手で
だから薄氷のような恋にしかならなかった
あの人のように
大きな重みのある愛を渡せなかった
怖かったからかな
今日もまた自殺には失敗し
眠って起きる
きみはいない
どこにも
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