見出し画像

『ラブカは静かに弓を持つ』

やふぅー٩( 'ω' )و
今回は、積読の1冊を紹介します。

安壇美緒著 『ラブカは静かに弓を持つ』 (集英社 、2022)


表紙絵に惹かれて購入した本。
椅子に男性が座ってチェロを弾いているんだ、それも海底で。
側には深海魚。
不思議な様子に、どんな話なのか読んでみたくなった。




ざっくりあらすじ

主人公は、ある日著作権法の証拠を掴むために音楽教室に通うことを命じられる。
採用面接時に、チェロを習っていたことを話したことにより適任とされる。
しかし、彼はチェロを習っていた時期に大人になった今も悪夢に悩まされるほど、恐怖の経験を抱えていた。

教室に通う期間は2年。
その間に証拠を掴まないといけない。

指示を出す側には、大したことのない期間。
実際、通って潜入する主人公にとっては色々ある2年。

様々な恐怖を突きつけられながら、教室に通う人や恩師との対話が始まる。
スパイ活動と音楽の世界を行き交う、物語。

感想

なぜ主人公が、人との間に距離を置きたがるのかを読み進めると分かっていく。
あと少しでスパイ活動2年間が成功するかと思いきや、些細なことがきっかけでバレてしまう。

分からないから怖いのか。
怖いから分からないのか。

人の心の深淵を覗くようなストーリーと同時に、本書を読んでいる間、ずーっとチェロの音が脳裏で流れる。

タイトルの意味が分かった時に、表紙絵の意味も分かるようになる。

スパイ活動でドキドキするよりも、人のダークサイドを覗くような暗さが圧倒的に強い。
音楽教室の仲間も、受け入れるの早いな…って思ったり。
最後、主人公が自分のチェロを購入したという話が、この話の唯一の光だろうか。

孤独や暗さに焦点が行きすぎて、苦しい期間が長い話だと思う。
本書の話は、まさしく表紙絵の通りであり、タイトル通りだ。

1度は読みたいけれど、何度も読みたいかと言われたら微妙な本だった。
(ミステリ要素が多いと期待して、読んでしまったことが原因)。


この記事が参加している募集

#読書感想文

189,330件

読んでくだり心から感謝します。 サポートいただけたら、今後の記事に役立てたいと考えております。 スキしてくだるのも、サポートもとても喜びます!!!!