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ホラー掌編小説(五千字未満)

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自作のホラー小説です。
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記事一覧

ベーシック 丑の刻参り (ホラー掌編:2,792文字)

ベーシック 丑の刻参り (ホラー掌編:2,792文字)

あらすじ……

 私の人生を狂わせた赤坂。その恨み、丑の刻参りで晴らす――。

 私の人生を狂わせた赤坂に、死の呪いをかけるため、講座「ベーシック 丑の刻参り」を受講していた―。

 ©Fortuna 2022 
 ※エブリスタのコンテスト(妄コン「初めての○○」)用に書き下ろしました。

ベーシック 丑の刻参り
 人差し指と親指で五寸釘を固定しつつ、その手のひらの側面で、藁人形を押さえつけなさい

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死数 (ホラー掌編:1,988文字)

死数 (ホラー掌編:1,988文字)

あらすじ……

 怨念^∞=怨念×怨念×怨念×――。

 戦場となったジャングルで戦う青年。
 ある夜、隊長からこう言われた。
「お前の臭い。俺とそっくりだな」
 
 そのときは、その理由がわからなかった―。

 ©Fortuna 2022 
 ※エブリスタのコンテスト(妄コン「降りつもる」)用に書き下ろしました。

死数
 敵に致命傷を与えると、返り血を浴びることがある。
 つーんとして嫌な臭い

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一筆啓上 (ホラー掌編:1,372文字)

一筆啓上 (ホラー掌編:1,372文字)

あらすじ……

 僕の気持ちを、受け取ってください――。

 学校の帰り道で、フードを深く被った男が、私をつけていた。
 突然目の前に現れて、「一筆啓上」と言う。
 誕生日なのに、ほんとについてない―。

 ©Fortuna 2022 
 ※エブリスタのコンテスト(妄コン「おめでとう」)用に書き下ろしました。

一筆啓上
 学校の帰り道。背後から気配を感じる。誰かが私の後をつけている。誕生日なのに

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かつてのエレキギター (ホラー掌編:1,230文字)

かつてのエレキギター (ホラー掌編:1,230文字)

あらすじ……

 久しぶりに、バンドやろうぜ――。
 
 買取業の男の許に、エレキギターが査定に持ち込まれた。
 このギターには見覚えがあった。
 かつて組んでいたバンドのメンバーの、エレキギターだった―。

 ©Fortuna 2022
 ※エブリスタのコンテスト(妄コン「復活」)用に書き下ろしました。

かつてのエレキギター
 同僚が愛想なく大量の本を置いて行った。
 俺は、まだこのスニーカー

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ニコニコ、ポーーーーン (ホラー掌編:1600字程度)

あらすじ
 新年には必ずS寺にお参りに行きますが、今年は疫病が流行していますので、とても悩みました。
 ですが、対策をして行くことにしました。
 ……これが間違いでした。
 あの男に遭うなら、ステイホームするべきでした。

 ©Fortuna 2020
 ※今年最後の作品になります。2020年、ありがとうございました。来年もよろしくお願いします。

 やはり、ステイホームをするべきでした……。

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ブロック塀 (ホラー掌編:2000字程度)

あらすじ……
 オ姉ちゃん……サヨウナラ……
 あの夏の日。
 ゆずくんとお別れをしました。©Fortuna 2020

 ゆずくんとお別れをした、あの夏の日のことです……。 
 
 こういう時世なので、目下のところ、自宅(母と暮らしています)で仕事をすることが多くなりました。
 午前はキッチンのテーブル。午後からは書斎で仕事をしています。私の場合ですが、一日中同じ場所にいるより、変えた方が飽きる

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案の定 (ホラー掌編:2100字程度)

あらすじ……
 俺の人生が終わった。
 妻の首をマフラーで軽く絞めただけなのに。©Fortuna 2019

「終わった」
 俺の人生が終わった。
 馬乗りになって妻の首を軽く絞めただけなのに、ころりと逝ってしまった。
「はぁ。まったく」
 椅子に座ると、あおむけのまま大の字になる妻を横目に、少し冷めてしまったコーヒーを飲んだ。掛け時計を見ると七時を回っている。そろそろ会社に行かなくてはならない。

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ねこ (ホラー掌編:1100字程度)

あらすじ……
 雨の日の塾帰りでした。©Fortuna 2020

 その日は雨が降っていました。
 塾が終わり帰路を急ぎます。
 傘をさしながら水たまりを踏まないように、視線を下に向けて歩いていたときのことです。

「うわぁ……」

 目の前に猫の死骸です。
 その猫の頭部はぺちゃんこにつぶれていました。

「いやなもの見ちゃったなぁ」と、死骸を横目に家へと帰りました。

「ただいま」
「おかえ

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壁蝨 (ホラー掌編:1400字程度)

あらすじ……
 十年前に失踪した父親の遺品整理をしていると、目の前に黒い塊が落ちてきた。それは壁蝨《ダニ》捕り袋だった。©Fortuna 2020

 秋の日はつるべ落とし。まもなく日が暮れようとしていた。
 関健《せきたける》は、父親である勝次《かつじ》の家で遺品整理をしていた。
 九月だというのにまだ蒸し暑い。勝次の寝室にはエアコンが備え付けられているのだが、既にブレーカーを切っているため電源

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