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感想しか勝たん。知らんけど。

買い物に出たら、家の前の階段で、父娘がグリコじゃんけんしてて、思春期入り口っぽい年の娘が勝利のガッツポーズをして歓喜している瞬間に遭遇した。

なんにもしてないのに、しあわせ感が広がって、なんかテンション上がった、雨上がり。

「しあわせって、あなたの世界への感想ですよね?」

と心のどこかで、誰かがささやいた。

はい、そうですとも、「人間だもの」

そうとも!「考えるな、感じろ」

いや、「我思う故に我あり」。感じているだけなら、我は何者か?

そうだそうだ!「人間は考える葦である」!

…「考えねえ葦は、ただの葦」だ。

勝手に頭のなかではじまった「脳内だれかさん」たちのショータイム。

偉人から二次元のキャラまで入り乱れ、名台詞だけで会話が展開していく。

文脈など完全に無視で広がる言葉の連想ゲームを眺めていたら、目の前の自動ドアから、恍惚さをたたえた表情で目を伏せて天に向かって両手を広げた幼児が、背後に(そんなことどうでもよさそうな母親を従えて)歩み出てきた。

なに、この恐るべき「ショーシャンクの空に」感。

でも、惜しいことに、雨、上がってる…。

絶対にショーシャンク意識してないし、真の意味は全く不明。

でも、

…めっちゃいいもの、見た…!

こちらもなんにも事態に貢献していないのに、しあわせを勝手に受け取ってしまった。

「しあわせって、あなたの世界への感想ですよね?」

わたしのなかの論破王が、穏やかな笑みを湛えている。

そうですよ、そうですとも!

感想以外で、しあわせになんかなれるものか。

名言の出典元のご本人は、多分そんな文脈で使ってないんだけど、両手を上げて賛成したい。

「感想で語る勇気」、バンザイ!

ビバ感想。感想しか勝たん。

誰かが言ったセリフの積み木でもいろんなことが言えるもんだ。知らんけど。

自分の書く文章をきっかけに、あらゆる物や事と交換できる道具が動くのって、なんでこんなに感動するのだろう。その数字より、そのこと自体に、心が震えます。