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【精神科の勉強法1】精神科の勉強について多くの人が誤解しているように思う

精神科は病理との直接的関連は小さいが、
診断学が重要である点で実は類似している。
精神科の勉強法について浅学ながらシリーズで述べる。

【内容】
(1)精神科の概要と勉強法:誤解するなかれ!👈今日はココ
(2)精神科のオススメ教科書
(3)精神科の知識をその後どう活かすか:非精神科の医師へ

(1)精神科の概要と勉強法:誤解するなかれ!

精神科は、
医学生や非精神科の医師に
誤解されている向きがあるように思う。

精神科領域では、
1)DSM(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)
2)ICD(International Statistical Classification of Diseases)

の2大疾患分類があり、
これらに基づいて精神疾患の診断を行う。

ICD は精神疾患に限定したものではなく、
全身のあらゆる機能的・器質的疾患を網羅した国際分類であるが、
DSM はアメリカ精神医学会が作成している精神疾患に特化した診断分類マニュアルである。

通常、医学部生は DSM を買わされるであろう。
なぜなら、
それが精神科診療の基盤だからである。

しかし、
個人的意見を述べれば、
単に診断基準の羅列をみても、
その疾患の本質を捉えていなければ、
単なる表層だけの理解に留まる

😲これが誤解のはじまりである😲

したがって、
DSM の絶対視は非常に危険だと思う。

病理という形態を扱う分野でも、
「これと、これと、これを満たしてるから、この病気だねー」
みたいな診断はありえない。

精神疾患の症状は、
多彩で、しばしば複数の疾患で一見重複し、
しかも、症状を正確に捉えなければ、
誤った解釈、誤った診断に行き着く。

精神疾患の診断で最も重要なのは、
診断基準に従うことではなく、
その前提として、
診断基準の項目を正しく評価できることである。

患者の症状を正確に読み取り、
一見類似した症状から、正しく症状を峻別・分類する。
そして、
精神症状だけではなく、
神経内科的診察を含む全身症状の正確な把握も要する。

精神科の診療を正しく行うには、
全身をみる総合内科的な視点が必要
だと思う。
逆に言えば、上辺の精神症状しか気にしていない精神科医は信用してい(以下自粛

以上から、
精神科の正しい勉強法は、
他の診療科と何ら変わりないものである。

その病気の定義、メカニズムを理解し、
どのような考え方で診断・治療を行うのか、
これを理解することである。

もちろん、
精神科領域は他の診療科と比べて、
未だに不明なメカニズムが多い

だからといって、
診断基準を表層的に覚えることに意味はない

どういうフィロソフィーを以て、
疾患が分類され、診断・治療されているのかを理解すべき
である。

💡精神疾患は common disease💡

精神疾患の生涯有病率は高い
決して特殊な疾患ではなく、
非常にありふれた common disease なのである。

医師の誰もが肺炎や尿路感染の経験があり、
それなりに診断・治療ができた方がよいのと同じように、
少なくとも精神疾患の診断の入り口にはなれるべきである。

統計により多少数字に差はあるが、
生涯有病率は、
統合失調症で 3%
うつ病で 15%
不安障害で 10%
程度である。

他の病型も合わせれば、精神疾患の生涯有病率が非常に高いことが分かるかと思う。睡眠障害アルコール関連障害認知症、これらも精神科領域の疾患であり、極めて世間にありふれた疾患である。非精神科の医師でも、精神疾患を有する患者を絶対に診なければならない。薬剤の使用法など、専門的な部分に関してはやはり精神科コンサルトを行うのが適切であるが、他の身体疾患に関して精神疾患を有する患者を診ることは必至である。

医師であれば誰でも高血圧症、糖尿病などと接する機会があるように、精神疾患を接する素養を身に着けておくことは、もはや医師として当然のことであると考える。

また、職場の同僚にも精神疾患に苦しむ人が絶対に存在している。働き方、接し方など医師は医療関連の職場でリーダーをしなければならないことも多く、精神疾患をいくら直接診療しなくても、精神疾患の理解は円滑な職場環境の整備・運用にも必須である

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