【読書感想】『雨の塔』一番孤独なのはだあれ？

私のお気に入りの御本のお話🎀
鬱くしゐ幻想小説、少女文學がお好きな方いらっしゃい🌹

『雨の塔』

作者︰宮木あや子

代表作︰「花魁道中」
映画では安達祐実主演

装画：鳩山郁子

資産家の娘だけが入学できるこの学校では、衣服も食べ物も思いのまま。

だが自由と情報は与えられず、少女たちは閉ざされた世界で、家の"駒"として使われる日を待つばかり。

そんな彼女たちの間にいつしか芽生えたのは、愛情、関心、嫉妬、執着。
そして一通の手紙が四人の運命を変えた。

🌹 物語のイメージは？
▶花曇りの桜のようなイメージ。
閉ざされた世界の鬱くしさが癖に。

▶鬱くしい︰美しく描かれているものの中でも、心に潜んでいる闇やその他の暗いテーマで描かれる。
ダークさを感じられるものに対して使われることが多い。

硝子細工のような心を持つ儚く美しい少女たち。
繋がっては離れていく切なさ・悲しさ……。
揺れ動く感情が淡々と綴られる。

雨音が聞こえてくるような静かな世界。
漂わせる儚さ、気だるさが香り高い。

🎀登場人物🎀

🖤矢咲実
ボーイッシュな少女
高身長で短髪。
アッサー・ラッカムの絵本に出てきそうな「西洋の王子さま」のような風貌。

🖤小津ひまわり
１０代前半まではファッションモデル。
おかっぱ頭でアジアンビューティな風貌。

母親がファッションデザイナーで、シーズン毎に大量の衣服が仕送りされてくる。

🖤三島敦子
黒髪ロングでお人形のような風貌。
都岡が大好きで甘えん坊、寂しがり。

🖤都岡百合子
日本とアメリカのハーフ。
茶色のくるくるとした巻き毛。
几帳面な性格で表情は乏しい。

🌹四人の少女たちの相関図は？

▶矢咲＆小津
ルームメイト
冒頭で矢咲が入学してくる。
小津は矢咲が来る前に入寮。
矢咲を迎える形で知り合う。


▶三島＆都岡
ルームメイト
提携している高校からの入学。
三島と2人一緒に入寮。

三島敦子は、父親に可愛がられている。
友人として肌身離さず連れ歩いている都岡も必然的に三島家に気に入られていた。

三島は財閥の娘ということもあり、都岡が友達兼世話役をしていることが多い。

基本2人1組で過ごしているため、4人全員が一度に関わることは一切ない。
話が進むにつれ、それぞれが1体1で関わっていく。

🌹資産家の娘たちが通う学校は、どこにあるの？

▶人里離れた岬にある全寮制の女子大
矢咲が思うには「この世の果ての果て」。

都岡が思うには

灰色の海と空の向こうには、必ず何かがあるはずなのに、ここからだと永遠に何もないように見える。
この学校はどこからも遠い。

🌹学校のしくみは？

▶家の事情で追い出された資産家の少女たちを受け入れる鳥籠のような場所。
「島流し」と称される。

一定額以上の金額を納めれば誰でも入学できる。
入試もない。

学校の授業は、出ても出なくてもいい。
卒業まで自由に過ごすことが許される。

寮生活が退屈にならないように、メルヘンチックなダウンタウンが存在する。

流行りのお洋服やカバン、可愛い生活雑貨、ファッション誌、飲食物は買い放題。
在学生は、みんな計画性なく買い物している。

学生証+サインレスのクレジット機能が紐付けされたカードで、少女たちは決済を行う。
購入金額は、全て親か後見人の口座が引き受ける。

しかし世間のニュース・情報は一切与えられない。

🌹感想🌹

🖤装画🖤

岬の学校、4人の少女の物語が凝縮されています🌹

鳥籠と少女の組み合わせ、いつも美しいなぁと感じます。

装画担当の鳩山郁子さんの作品は、繊細でありながらも凛としていて大好き。

🖤物語🖤

世の中に知らされていないだけで、「岬の学校」のような場所が実はあるのかなぁと想像が止まらなくなる世界。

家の事情で捨てられた女の子たちの繋がりが描かれます。
4人に共通するものは【孤独】。

どうしようもない寂しさを埋めるため、それぞれが依存し合う繋がりには純朴さ・愛らしさを覚えます。

思春期がぬけきらない、"少女"とも"大人"とも言いきれない心の動きの表現がすてき。

"少女"と"憂鬱"の組み合わせは、硝子細工のような美しい作品になるなぁといつも思います🎀

ダウンタウンのシーンでは、桃の香りがするシャンプー、いちご味のオートミール、バナナマフィン、さくらんぼのパルフェを楽しんでいたりと、本当に可愛い。

リアル世界でも、女の子同士でカフェやお買い物楽しみますよね。
そういったリアル世界に通ずるシーンは、親近感も覚えたり。

作中通して寂しさ・切なさが常にありますが、静かに降り続く美しい雨のような温度感。
宮木さんが淡々と綴る表現力の素晴らしさに感服。

ヨーロッパ映画のような、ふわぁ～っとした余韻の残る作風にも思え、桜が咲いた頃～雨が降る季節に読み返したくなります。

そしてなんと。
今年3月には舞台化もしていたらしく、つい最近知ったので涙です🥺ぴえん

ぐぬぬ。。。
失恋ショック起こしている場合でなかった……('ᾥ')💔

閉ざされた世界の美しさに浸りたい方におすすめ。

▼『雨の塔』はこちら

雨の塔 (集英社文庫)

ご高覧くださりありがとうございました🙏🌹

🌹初めましての方🌹
ねむりんにご興味を持って頂き、誠にありがとうございます🤗
普段は失恋経験から得た学び、私なりのマインド論を綴っております🙏❣️

ご縁に感謝いたします🙏💕

詳しくはこちら▼

,！随時更新中！
失恋関連の過去記事を納めています🌹