宇宙論（１６）

　読者の方からオーダーをもらったので、将来の夢について。保育園の卒園アルバムには『でんきやさんになりたい』と書いてある。小学校中学年の頃はお笑い芸人だった。高学年になって役者になった。一瞬だけ野球選手。中学生になってミュージシャンに。高校生の頃はミュージシャンと並行して、少しの間、小説家。２０代半ばで映画監督に。２０代後半で絵描きに。そして今、何もない。

　今は今を生きていればそれで満足で、将来のことを考える暇がない。その日暮らし。明日、死んでいてもかまわない。苦しくなければ。

　やりたいことはたくさんある。それでも将来の夢とは違う。やれたらより楽しそうだなと思うだけであって、仮にできなくても人生に悔いはない。もう、たくさんの人を傷つけてきたし、反省してきたし、そしてたくさんの人に愛されてきたし、それ以上、望むことはない。

　でもそれだと面白くはないのかもしれないので、将来の夢をこしらえてみようと思う。なんだろう。考える。

　世界平和。調和。そのあたりだろうか。

　優しい人間でありたい。そのことは常に考えている。瞬間瞬間の夢。泡［あぶく］。確かな、手触り。

　世界が優しさで溢れるといい。そして、愛。

　心の平和。宇宙時代。

　将来の夢。そんなことを考える。

（2024.4.26）