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「日常」という儀式【朝のパン】

最近合唱サークルに参加していて、
この曲の歌詞をぱっと聴いた時に
全くイメージが湧かなかったのが、
今日の練習でようやく掴めてきた気がする。


朝のパン  詩:石垣りん

毎朝太陽が
地平線から顔を出すように
パンが鉄板の上から顔を出します。

どちらにも火が燃えています。
私のいのちの燃える思いは
どこからせり上がってくるのでしょう。

いちにちのはじめにパンを
指先でちぎって口にはこぶ
大切な儀式を「日常」と申します。

やがて屋根という屋根の下から顔を出す
こんがりとあたたかいものは
にんげんです。


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毎朝太陽がのぼるように
パンがトースターからポンと顔を出す。
トースターの中でパンが燃えているように
わたしのいのちも、
今日もこうして燃えている。

トースターの熱でパンは焼けていく。
その傍らにある
私の心の中の燃える思いは
どこからせり上がってくるのだろう。

毎朝、一日のはじめに
パンをちぎって口にはこぶ
そんな「日常」も
毎朝の儀式のような
とても大切な行為。

たくさんの家の屋根の下から
今日もにんげんが顔を出す。
「日常」の儀式を行うにんげんの心には
こうして今日も心に灯が
あたたかく燃えている。

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毎日朝を迎えられること、
毎朝パンをちぎって食べるという
「日常」が
送れていることは、
当たり前なんかじゃない。

わたしたちが「日常」と思っていることも
実は生きていくために
とても大切な行為=儀式で、
それができるということさえも
特別なこと。

たくさんの屋根の下に住む
それぞれの人間たちは
毎朝
心に目に見えない灯を燃やして
家から学校や職場に向かう。

この世界にはたくさんの人がいるけれど、
それぞれの心には燃える思いがある。
決して同じ人などいないし、
代わりになる人などいない。

そうやって思うと
わたしの隣にいるあなたや、
その周りにいるたくさんの人や、
もちろん私自身もが、
特別で
あたたかくて
愛おしい存在のような
気がしてくる。

自分や自分と繋がるみんなを、
繋がっている時間を、
全ての「日常」を、
大切にしたいとおもった。



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