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めでたいことを愛でたい

最近、友人の結婚・出産ラッシュだ。

私も20代後半。
そういう時期なのだろう。
残念ながら、このご時世、なかなか直接会ってお祝いを伝えることはできないが、友人から送られてくる写真を眺めたり、友人の顔を思い浮かべながらプレゼントを選ぶ時間はとても楽しい。

そして、とても楽しいと思えることが嬉しい。

私は、友人達に結婚・出産ラッシュが来たら「嫉妬心や周りに置いていかれる不安感から、心の底から祝うことができないのではないか…」と昔からずっと怯えていた。

いつからそのような恐怖心を覚えていたのかはわからない。
ただ、中学生ごろからそんなことを考えては怯えていた気がする。
(気が早すぎると自分でも思う)

1度目の結婚・出産ラッシュがやってきた

20代前半だった。
怯えていた嫉妬心や不安感はやってこなかった。

その時は、結婚・出産したのが、学生時代の同級生や知り合い程度の、お祝いの言葉は伝えるけれど、結婚式には呼ばれないくらいの距離感の人たちだったので、嫉妬や不安がわかないのだと思っていた。

そして、近いうちに親しい友人達の結婚・出産ラッシュやってきて、自分は激しい嫉妬と不安に駆られるのだろうと一層恐怖が増した。

2度目の結婚・出産ラッシュがやってきた

大学時代の友人が結婚した

ゼミでの厳しい指導に共に耐えた友人だった。
教員採用試験に挑み、合格した時には喜びよりも、今後やっていけるのかの不安で一緒に泣いた。
教員になってからは、ひたすら励ましあった。
友人というか、もはや戦友だった。

そんな彼女が幸せになることが心から嬉しかった。
彼女の苦労を知っているからこそ、
彼女が一緒にいて幸せだと思える人に出会い、
幸せな人生を歩もうとしていることがなんて尊いことなんだろうと思った。

元バイト先の同期が結婚した

タイプは全く違うのに、なぜか気の合う友人だった。
バイト終わりお酒を買い込み、一人暮らしの彼女の家に行き、買ったお酒を飲み尽くして追加の買い出しに行き、それも飲み尽くしては買い出しに行き、たわいもない話に花を咲かせながら、一晩中飲み明かした。

彼女はバイト先を卒業し、地元に戻ってからも、福岡が大雨だとニュースで流れれば心配の連絡をくれ、私がバイトを卒業すると知った時にはお疲れ様とプレゼントを送ってくれた。

そんな優しい彼女が、優しそうな相手と並んで微笑んでいることがとても嬉しかった。
不満があるとすれば、ご時世的に直接ウエディングドレス姿を見ることが叶わなかったことだけ。

その後、彼女が妊娠した報告を受けた時、母子ともに無事に出産の時を迎えられることを心から祈った。
無事に彼女の子どもが誕生し、彼女も元気だと連絡が来た時は、感動して涙が出た。
彼女は嫉妬の対象どころか、とても神々しい存在に思えた。

その他にも、
高校時代、部活で苦楽を共にした、大切な仲間が結婚した。
同じく、高校時代の部活の仲間が結婚し、出産した。
大学時代、こんなに純粋で、賢くて、優しい人が存在するのかと尊敬した友人が結婚した。

次々と、出会えたことを感謝した大好きな人たちが、結婚・出産という人生の転機を迎えていった。

その度に、本当に幸せな気持ちになり、自然に笑顔になり、時には感動して泣いた。

そしてふっと思った。

私は何に怯えていたのだろう?

・自分が誰よりも先に結婚・出産したかった?

これは違う。
人並みに恋愛を経験したが、自分が継続することを苦手としていることが嫌というほどわかった。
早く結婚すればするほど、同じ人と長くいることになると考えると気が遠くなる。
いつかは結婚したいと思うが、できるだけ遅くていいと思っている。

・他人を祝うのに自分のお金が消えるのが嫌?

これも違う。
むしろ貢ぎたいタイプ。
友人の結婚祝いや出産祝いを考えている時間ほど幸せな時間はないと思う。
出産した友人に対しては、生まれてきた赤ちゃんにはもちろん、出産という大仕事を成し遂げた友人自身にも貢ぎたい。

・自分じゃない誰かが幸せになることが怖かった?

これも違う。
結婚・出産以外にも幸せの形はたくさんあることをよくわかっている。
そもそも「健康である」ことだけで私には眩しいくらい幸せなことに思えるので、人の幸せに怯えていたら身が持たない。

全く理由が思い浮かばなかった。

では、私は何に怯えていたのか?

そもそも、何故結婚・出産だけ嫉妬や不安の対象だと思っているのか?


ここまで思考を整理して、ようやく一つのことに気付いた。

私は、「女は他人の結婚・出産を羨むもの」だと勝手に信じ込んでいたのだ。

今まで出会った小説で、漫画で、テレビで、SNSで、
女の人が、友人が結婚や出産を経験したことを表面で祝いながら、裏で嫉妬し、不安がり、悲しむ描写を数えきれないくらい見た。

もちろん、それと同じくらい、
女の人が、心から友人の結婚・出産を祝福している小説、漫画、テレビ、SNSでの描写を見ているはずだ。

ただ、無意識のうちに、私にはこの価値観が染み込んでいたのだ。

自分でも気付いていない自分の価値観がある

それでも、自分のポジティブな気持ちに正直に生きていきたい

友人達の幸せの姿を見ながら、
自分の気付いていなかった価値観に気付くことができた出来事だった。

これからも、自分が祝いたい、おめでたいと思ったことを素直に喜び、愛おしいと思える自分でいたいと心から思う。

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