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【小説】連綿と続け(50話まで無料)

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2023年12月の記事一覧

【小説】連綿と続け No.19

【小説】連綿と続け No.19

『会いに来てくれて嬉しかったです』

侑芽からのLINEを何度も見返す航
自然と顔がほころんで

『また会いに行くちゃ』

そう返信した。
侑芽はそれを見て嬉しそうに微笑んでいる。
だが、感じた事のない胸の高鳴りの後、
春子への後ろめたさが襲ってきて
胸が苦しくなった。

「春ちゃんに言わなきゃ…」

侑芽は春子の行動が作戦という事をまだ知らない。だから春子との仲が壊れてしまう事に怯えていた。

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【小説】連綿と続け No.20

【小説】連綿と続け No.20

航が侑芽の両親と初対面を果たしている頃
侑芽は井波八幡宮に来ていた。

いよいよ神輿が出発し、八日町通りの御旅所に向かう。そのために担ぎ手達が境内に集合し活気に満ちていた。

普段は静かなこの街が、この時ばかりは大勢の人々で賑わい、すでに祭りが始まっているかのような掛け声が飛び交っている。

今日は富樫や高岡も手伝いに来ている。祭りと並行して明日は街コンの開催も控えているからだ。

侑芽は春子と共

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【小説】連綿と続け No.21

【小説】連綿と続け No.21

『仕事終わったら、ちょっこし会わん?』

航が侑芽にLINEを送ると
すぐに返信がくる。

『はい!喜んで!』

航はそれを見て
1人ニヤけた顔を手で抑えた。

その頃、宿に着いた侑芽の両親は
ひと息つきながら話をしていた。

由紀)なんだか心配してたのがバカバカしくなっちゃったわね?

健太郎)そうだな。侑芽も少しずつ、この街で根を張ろうとしているんだな

由紀)あれ〜?なんか寂しそうだね?

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【小説】連綿と続け No.22

【小説】連綿と続け No.22

航)侑芽の事、女として好きや

航の顔が侑芽の顔に近づいてゆく。
すると侑芽は胸が高鳴り
抑えていた航への思いが溢れ出した。

侑芽)私も、航さんが…好きです

航)それは、お兄ちゃんとして?それとも男として?

侑芽)お兄ちゃんじゃなくて…男の人として…好き…

「好きです」と言い終わる前に
2人の唇が重なった。

時が止まったように静まりかえる部屋で
2人は初めて口づけを交わす。

最初は触れ

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