【Podcast書く人の気まぐれラヂオ】#42 昭和から平成を彩った詩人スペシャル④
はじめに
こんにちは。長尾早苗です。
ドイツ語の歌曲のコンサートに行った日に録音しました!
season1、最終回!
来週から模様替えしてお送りするPodcast「書く人の気まぐれラヂオ」
年度末みなさまおつかれさまです!
年度初めも大変だと思いますが……どうぞゆっくり、疲れの出ないようお過ごしくださいね。
今回は「俳句」「短歌」という詩のかたちをおもに朗読してみました。五七五やみそひともじで紡がれる世界を、どうぞ楽しんでみてくださいね。
◆横光利一
横光利一といえば小説を上げる方が多いように思います。それでも、彼の遺した俳句を読んでいると、横光利一がどういう視点でものをみていたのか、風景を見ていたのかを知ることが少しできたように思います。
誰の目にも同じように映らない景色。俳句を作るとはその中からことばを選んで、感覚を研ぎ澄ますことだと思っています。
気に入った俳句を三句朗読しています。
白鳥の巣は花に満つ春の森 横光
春暁や罪ほの暗く胃に残る 横光
天井に潮騒映る昼寝かな 横光(二月の上海にて)
◆石川淳
石川淳もまた、小説家として有名な側面がありつつ。今回は『酔ひどれ歌仙』(青土社)から、彼の発句を選んでみました。
歌仙とは、一同に会した人々が捌きと呼ばれるリーダーのもと、五七五と七七を春から新年まで連ねて繋げて行く遊びです。「裏」に入ったらお菓子を食べたりお酒を飲んだりしてもいいことになっているため、食べたり飲んだりがやがやと楽しくできる知的な遊びでもあります。
市に五虎の巻から、
市に五虎いでや茶番の涼しさよ 夷斎
旅衣の巻
旅衣愁そぞろに霞むにや 夷斎
◆種田山頭火
種田山頭火も生きにくい人だったのではないかなと思います。
でも今でも読み継がれているということが素晴らしいですね。斬新で自由。彼の自由律俳句は、何物にもとらわれないからこそ、誰もわからない彼の闇などが現れ出てくる気がします。
絵本見てある子もねむげ木蓮ほろろ散る 山頭火
沈み行く夜の底へ底へ時雨落つ 山頭火
お日様かたむきとんぼの眼玉がひかるぞい 山頭火
◆与謝野晶子
与謝野晶子も教科書で出会った歌人です。
彼女の訳した源氏物語の良さがわかるにはそれから数年を要しましたが、彼女の訴えたいことが今になってはとてもわかると思ってしまうことも。
そして、彼女のように生きたら少し生きにくいのかなと思うこともあります。激情、激昂を自らのうちに秘めながら生きた歌人、晶子の激しい恋のうた三首を読んでいます。
今はゆかむさらばと云ひし夜の神の御裾さはりいてわが髪ぬれぬ 晶子
やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君 晶子
文字ほそく君が歌ひとつ染めつけぬ玉虫ひめし小筥の蓋に 晶子
◆小野十三郎
小野十三郎は最近知った詩人です。
彼の詩を読んでみよう! と思うことは、この企画がなければできなかったことかもしれません。
年度末で慌ただしく、誰の持つ影にも触れたくなかった時に、そっと触れてみたらやさしい影だったのが小野十三郎です。物事を「思う」のではなく「見る」こと。それは詩にも俳句にも言えることで、観察眼がすぐれていないとこの詩は書けないように思いました。
放送では「やくそく」という詩を読んでいます。
終わりに
わたしの普段の事務仕事はとても英語的です。
日本語を母語として使っていますが、語学について考えることがあったため、英語を会話として学ぶラジオを聞き続けていました。
ラジオを聞き続けてしまったため、一人でいるとき気がつかなかったのですが、変に耳がよくなっています。
英語をしゃべることは来年度からやってみよう。(毎年言ってる)
英語を聞いていると、とても理屈っぽいです。雰囲気で伝えようとしない。
文章にしてみるとアルファベットと数字だけの組み合わせですので、英語の文章を表現しようとすると語順と配置に重きを置くというのがよくわかります。理由をきちんと述べますので、丁寧に伝えようとするとどうしても英語的になります。
さらに前はドイツ語も好きでした。とても簡潔でいさぎよいことばなので、怒っているように聞こえるのですが、さっぱりしたい日に「野ばら」を歌うとリズムに慣れてきます。(そちらも歌から入りました)
ゲルマン語系のことばが好きなんでしょうか。ことばを扱う・ことばの音を作るのが仕事だから好きなのかもしれないです。
俳句・短歌という詩形はかなり音数制限や文字数制限が強いので、どこかしら簡潔なことばの裏側を考えてしまいますね。
夕方からあるマンガの読書会でした。
お仕事を以前ご一緒した、赤坂にある書店、双子のライオン堂の店主・竹田信弥さんの『読書会の教室』(晶文社)を読んでいて本当に助かりました。
心構えなどを実際の経験から語られています、当日の朝は緊張していましたが、よい語り合いの時間になってよかったです。
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