【エッセイ】前橋での小さな合評会で気がついたこと~現代詩の会のみなさんと~
こんにちは。長尾早苗です。
先日、現代詩の会のお二人、北爪満喜さんと恵矢さんとの三人で合評するために前橋に行きました。
その前に腹ごしらえ。
その日の朝は大雨で、東京では電車も遅延、遅延していたので、予定していた前橋文学館行きのバスに乗れなかったのですが……。前橋文学館まではゆっくりとおみやげなど買いながら向かうことができました。
まずは萩原朔太郎賞を受賞された、川口晴美さんの展示を見に前橋文学館へ。ことばというものに、詩というものに、「女性」と名指されるからだを持って生まれた「わたし」として向き合ってきた、川口晴美さんの素晴らしい展示でした。
詩は詩集だけでなく、色々な媒体があります。わたしもZINEという形で作ってはいたけれど、冊子とはまた違った媒体で表現するのも面白かったです。
そのあと、アーツ前橋のロブソンコーヒーにて、現代詩の会の恵矢さんと北爪さんと小さな合評会を開きました。現代詩の会は、ハルハトラムという詩誌を作っています。4年前の夏から、渋谷のカフェでの合評会にわたしも参加していました。(新刊は文学フリマ東京で売ります!来てね!)
美術館の中にあるからか、とてもおしゃれで、平日、大らかに談笑しながら、とてもゆったりと3時間かけて4つの詩を読みました。
今までのわたしの合評会でも、時間割を気にしていたのもあり、もっとこんなふうにのびのびと、個人的な体験も踏まえながら、みんなで相談しながら対面で話していく合評会は久しぶりでした。
北爪さんとは会うのが4年振りで、去年拙著「フレア」の帯まで書いていただいたのに今まで予定が合わずにお会いできず……今回機会を与えてくださった恵矢さんに本当に感謝しています。詩集「Bridge」にサインまでいただきました!
北爪さんと恵矢さんと、ゆっくりとわたしの詩も読んでいきました。
わたしは日記のように詩を書いているのですが、日々の中で感覚的に「これだ!」と掴んだ詩語がそのまま詩として成り立つように意識してきました。それをわかってくださっていたのもうれしかったです。「書いた時点でフィクション」ということばにはとても励まされました。
今まで、最近まで一日に10編書くということを通常業務と並行していたので、これでいいのか分からない時もありました。
詩は数ではない。それを自分に繰り返し繰り返し言ってきたはずなのに、どこかでどんどん書いてやるという思いもありました。
わたしも若さと勢いがあり余っていたんですね。それはいいことではあるのだけど、続けることは難しい。
何日もかけて「書きたいこと」を明確にわかるように、説明的ではなく書いていくのは、とても贅沢で素敵なことなのだと気がつきました。
意識して詩語を書いていくこと、「読者」に読まれることで「作者」との間に関係が生まれた時、はじめて詩は成立するのだということ。
もっとゆっくり書いていってもいいのかなと思うと、心に風が通り抜けていくようでした。
でも、今まで書いてきたものを無駄だったり余計だったとは思いません。あくまでも詩になる産声をあげる前のたまごを、たくさん作っていたのだと思っています。
ぱっと閃いたメモ書きから、立ち上がってくる詩。それを推敲して人に見せるまでに、時間をかけてもいいのだということ。
メモ書きはメモ書きとして大事に持っておいていいのだということ。
勢いだけでは書けない何かがあるということ。
そうか、わたしが書いていた10編はまだ「メモ書き」のような状態だったのだなと思います。
もっとゆっくり時間をかけて。無理せずに。
そんなことを考えながら、今まで慌ただしくしていた文学フリマ東京前にリフレッシュもできました。
とても大事なことを教わり、またわたしも発見していったように思います。
もっと効率はよくてもいいけど、時間をかけることでしか成立しないものもある。
それは、大きな発見でした。
また来るね、前橋!!
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