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【エッセイ】3月の吟行を終えて~日常から離陸する詩~

こんにちは。長尾早苗です。
あっという間に3月も最終週になってしまいました……。

なんだか最近の詩は、「日常から離陸する詩」が多いなと感じていて、Twitterでほぼ毎日新書ページメーカーで詩を書いて発表していました。
最初はいつもの詩作のおまけのようだったのですが、書いて読んでもらっているうちに楽しくなってきました。

今回は、「日常から離陸する詩」の長尾なりの作り方と、3月の吟行を一緒にまとめてみます。

2023.03.02 丸の内 東京駅 KITTE

アーモくんと。

この日は詩人の星野灯さんとお茶していました。
星野さんは関西で主に活躍している詩人さんで、これからがとても楽しみです。
この日の詩「春の海の彩度」は、まだ詩誌La Vagueの情報が解禁される前で、わたしも詩誌のメンバーも「春の海」ということを思っていました。強い光を放つ彩度ということを、なるべく「ぬいぐるみ」ということばを用いず作った詩です。

日常に思いもかけない驚きがあふれていて、それがドラマチックに映る時に詩を書くのだと思っています。


2023.03.21 豪徳寺 七月堂古書部 詩人の先輩方に会う

松下育男さんと、詩誌hiverを出したばかりの峯澤典子さん、そして詩集を一緒に作った七月堂のスタッフの皆様に会いに行っていました。
わたしは松下育男さんの「詩の教室」の本に出会って、行き詰った時に読むことにより、自分の中の何かがかわったように思います。
よく第一詩集『聖者の行進』と表紙、そしてわたしのキャラクターのギャップに驚かれる方も多いので、この日はあえて怖いものを題材にしてみました。本当にデッサンって大事。詩でもそうです。

2023.03.24 箱根 星の王子さまミュージアム 友人と日帰り旅行

ばら。気難しい。

友人と箱根に行っていました。
温泉でも入ろうかと言っていましたが、閉園前の星の王子さまミュージアムは混んでいて、春休みの金曜日、若い学生さんたちでいっぱいでした。それでもわたしたちにとっては大事な物語だったため、作者のサンテグジュペリへの敬意を込めて、一生懸命見ていました。
温泉には入ることはできませんでしたが、いつかリベンジしたいと思います。

◎日常から離陸する

日常の方こそ危ういとわたしは思っています。

それは詩人がどれだけ詩に触れてきたか、この世界にどれだけ驚いてきたか、どんな「鳥の目」を持って世界を見ているのか、人と普段どんな会話をするか。いつものように起きて会社に行き、仕事をして帰って眠る。それだけの平日の中で、危ういことは視点を変えればたくさん出てきます。
それを詩に昇華できるかが詩人に問われる「毎日書けるか」の実践だと思っています。

非日常が起きた時は逆に書けないほうが大きいのですが、あとあとになって日常の詩の中にその体験がにじみ出てくることもあります。

このような外での体験の詩は日常の中で詩を作る訓練をしているから出来上がってきたものだと思っています。その訓練自体は一日十編というかなりきついものですが……。体力が非常に必要なので、わたし自身はよく歩く、ストレッチをする、朝ご飯を抜かないということを非常に大事にしています。
詩人は夜の生き物と呼ばれることが多いですが、それは詩人が一人で静かに詩と向き合える時間が夜の方が多いということでもあります。
一人静かに詩と向き合っている時、いつか外出した思い出や、今までの過去がきちんと言語化される。その瞬間が詩人にとっての喜びだと思うのです。

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