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【詩人の読書記録日記】栞の代わりに 4月3日〜4月9日

はじめに

こんにちは。長尾早苗です。
新年度になりましたね! 気分を新たに頑張っていこうと思います。

4月3日

今日は雨でこもってリーディング練習。リーディングって難しいですね……。
でも、発表する場所があるということはいいことです。
Kuriko先生のオンラインワークショップに参加していました。自分の詩を英訳すること。
書店さんにお取り置きをお願いしました。また書店に行けるぞ!
新作1編。

・石垣りん『レモンとねずみ』童話屋

石垣りんさんの作品にはすごく触れる機会が多かったのですが、
「身に余るものを抱えてみたい」という詩句が印象的な「レモンとねずみ」は初読でした。
もうこの平明な文体で、日常のこと、そして自分の人生のあれこれ、
悲哀や喜びを書いていく詩人がいない、ということに改めて少しさみしくなります。
わたしもなるべく平明な文体で書いていますが、やっぱり同じような「暮らしとわたし」というテーマで書かれている石垣りんさんの存在は大きいなと思います。

・谷川俊太郎『すてきなひとりぼっち』童話屋

谷川俊太郎さんの詩はどれも短く、しかしことばに対する向き合い方は軽やかだなあと思うことが多々あります。
軽やかにことばに向かっていけるからこそ、
詩というものと常に遊んでいるような気もしています。
それは若いころから谷川俊太郎さんがずっとそのスタイルを積み重ねてきているからだと思いますし、
毎日休みなく遊ぶように書く
というのはわたしにとっても新たな発見でしたし、かくありたいと思います。

・谷川俊太郎『日々の地図』集英社

詩というものはある程度詩人のすべてを出していくものだと思っていて、
暮らしは常に「場所」「地図」と一緒に結びついています。
わたしたちが暮らす「場所」というものについて編まれた詩集ですが、
こういう「大人が使うような言語感覚」の中に、
なぜか谷川俊太郎の微笑みが見えてしまったりするのです。
それはこれが新聞に掲載されていたからというものもありますし、
ある種「微笑み」のような「子どもでいたかった」という詩人の葛藤も現れたりするのだと思います。

・馬場あき子、林真理子ほか『流転の歌人 柳原白蓮』NHK出版

柳原白蓮についてはわたしは多分一生この人の作品を追い続けていくだろうなと思っています。
『花子とアン』でブレイクし、再評価が女性の歌人、そして文士に広がってきていると思うのです。
今回この本では、林真理子さんと東直子さんの対談が印象的でした。
奔放な女性として描かれることの多い柳原白蓮ですが、
彼女の愛や創作にかける熱意、そして戦争。
そういうものを見てきて、体験して、ずっと書き続けていった歌人としてとても興味深く読みました。

・堀江宏樹 滝乃みわこ『乙女の日本史 文学編』実業之日本社

「若さとは精神のしなやかさである」
パワーワードですね……! 年齢をいくつも重ねていても、乙女は乙女であると思うし、一般的に男性と呼ばれる人々のなかにも乙女はいるはずなんです。
万葉集の時代から、近現代までの文学史を読み解いていく、コミック交じりの読みやすい文学史解説でした。

4月4日

今日は防寒・防雨対策を万全にしたうえで、書物の旅に出かけていました。
ビニール袋は本当にこういう時に役立ちます。

・宮崎智之『平熱のまま、この世界に熱狂したい 「弱さ」を受け入れる日常革命』幻冬舎

宮崎さんとは文芸誌『しししし4』(双子のライオン堂出版)の中原中也特集でご一緒させていただいてから、ご縁があって毎週ラジオを聴くようになりました。
そういえば今日は4月4日。ししの日ですね。
宮崎さんの声や普段のツイートのことばの選び方を聞いていたり読んでいたりするうちに、ご自分について書いていたものを読みたくなりました。
そこで出会ったのがこの著作で、わたしはなんだか、これだけことばというものを繊細に、そしてとても(文中のことばを借りれば)「優しさ」に包まれたことばの選び方で書いている方を知りませんでした。
現代の作家にこういう方がいて良かったと思います。それは宮崎さんの詩への向き合い方にも常に現れているように思いますが、ことばの選び方、そしてエピソードを語る上でとても真っ直ぐにことばと向き合われているのだなと思います。
わたしたちは弱くていい。
弱っていたっていい。それは未来へのエールのような気がしました。

・『ユリイカ2022年4月号』青土社

今回は中也賞の選評と、大崎清夏さんが選者の「今月の作品」と選評を読んでいました。
國松絵梨さんの詩集も読んだけれど、たしかに詩の語り手には「病理」というものがそもそもありません。
本当に赤子のように詩のことばを学んでいき、それでも読者と一緒に詩について向き合う。
そんな真っ直ぐさがあります。
わたしはこれだけ平明な文体で、こういう何か暗いところのないものを書ける彼女が素晴らしい詩人だと思います。同じインカレポエトリ叢書から出した詩人として本当にうれしい。
「今月の作品」では、東堤翔大さんの詩が印象的でした。選者の大崎さんとはここでもですが、文芸誌『しししし4』中原中也特集でご一緒させていただいたのもあって。
東堤さんの詩は、今の戦争の情勢、それでも詩人に何ができるのかという命題にとても立ち向かって行っているようにも思うのです。真っ直ぐに伝えたい詩人の思いは、真っ直ぐに伝わります。これから伸びていく詩人さんではないかなと思いました。食事をするという命にかかわることと戦争は命にかかわることとして同じような意味を持つものなのかもしれない、と、改めて「暮らし」について考えました。

・小川洋子『ブラフマンの埋葬』講談社文庫

ブラフマンについて、作中では触れられていませんでしたが、ブラフマンってインドの神様のことなんですよね。
それが犬のように小さな生き物の姿をとって語り手の家にやってくるところからこの作品は始まっていきます。
最初に埋葬と言ってしまっているのですが、
この作品では「生きること」について非常に光を当ててある作品だと思います。
今生きていること、生きていることを全身で楽しみ喜ぶブラフマン。
そうか、終わりがあるから始まりや途中は楽しいんだ。
そんなことを思います。

・幸田文『おとうと』新潮文庫

実在の家族について書くのは、非常に書き手にとって体力の必要な行為でもあったりします。
そうか、幸田文さんには弟さんがいたんですね。
彼女の文章はいつも人間というものを真っ直ぐに見つめていると思うのですが、
そんな彼女が書く父親、継母、そして弟という人々、というより、家族。
この時代だったからというのもありますが、家族が一同に会して食卓を囲むというのが当たり前だった頃、それでも何かが欠落していた家庭。
弟の看護。そう言ったものの中から、家族というものをあらためて考えさせられる物語でした。

・島本理生『ナラタージュ』角川文庫


先生と元教子の恋。
ロマンチックだしタブーでもあるのですが、なんだかそれは若いうちにしか書けないようにも思うのです。
わたしも中学・高校時代にそういうのに憧れました。まあ、普通の女子生徒でしたから。
わたしの学校は女子校だったので、若い男性の先生がやってくると必ずみんなで囃し立てたり、アイドルにしたり……今考えると何かと馬鹿馬鹿しくもあるのですが、懐かしかったですね。
大人になるにつれて、昔恋した人も忘れられずにいて、また違う誰かと出会い、お互い別れ別れになって結婚してまた違う家庭を築く。
そういうのはよくあるし、元々持っていた若い恋心を消し去るなんてこと、人間にはできないと思います。
それでも、一緒に生きると覚悟した相手には、その若さゆえの恋を理解してもらわなければならない。相手にとっては過酷ですが、お互いの長い長い時間をかけて、その恋の喪失から立ち直っていく、そして共存していくのが本当の愛だと思っています。
葉山先生と語り手も、きっとそういうことからお互い違う道を選んでいったのかなと思いました。


4月5日

今日は新刊のデザイン案データをメールで見ていました。
いい案ばかりだったので少し考えます。
新刊が出るのは毎年楽しみだなあ。
とてもうれしい案を考えてくださって感謝! いい本になるといいな。新作1編。

・川上弘美『パレード』新潮文庫

センセイの鞄の別ストーリーです。
久々に読みました。
なんだろうな。川上弘美さんの小説世界にはいつもそうだと思うのですが、境界が開かれているというか。
ありえないはずの設定が本当に起きていて、その中で生きていく人々、そのありえなさに驚かない人々との交歓が描かれているようにも思うのです。
センセイの鞄のセンセイも変わった人物ですが、そういう人が出てきても驚かない。小説の異化の技法かなと思います。

・川端康成『雪国』新潮文庫

美しい文体だなと思います。こちらも久々に読みました。
島村という男はゆきずり以上の愛をささげない男として描かれていますが、それってかなりひどいですよね……。
それでも、一途な生き方をしている駒子は生きづらい生き方をしていると思うし、
それでも島村は感情移入をしないんですよね。不思議。
これだけ真っ直ぐに生きていたら、きっとわたしが島村なら一生添い遂げると思います。

・菊池寛『恩讐の彼方に・忠直卿行状記』岩波文庫

恩讐の彼方には不勉強を恥じますが、未読でした。
そうか、伝説を小説にしているのですね。
菊池寛の書き方はある種テーマによって書かれたというものもあり、短編ひとつひとつが粒揃いで面白いなと思います。
封建制度への思う気持ちや、なにかすべてをテーマにして原稿に向かっているとも思うんです。

・津村節子『さい果て』文春文庫

わたしたちにはさまざまな選択があります。
妻になること、母になること、そしてパートナーに誰を選ぶか。
その人と一緒に一生生きていけるか。
その中で、パートナーが孤独に仕事をしなければいけない人だと、こういう女性の孤独も味わってしまうんだろうなあと思います。
それは時代だからこそというものもありますし、妻も母も働くということを選んだ時代には、時折ひとりぼっちになった時に思い返したくなる短編連作集でした。

・三浦しをん『光』集英社文庫

読み終えた後、誰かに急に会いたくなって話したくなる物語です。
島で災害が起こり、子どもたちと残された大人たちが暮らす島で、子どもたちの中で事件が起こるのですが、その島から出て家庭を築いていった信之。
それでも、過去のことは消せない。
過去に自分が犯した罪も、消せない。
20年経っても消えなかった罪。そんなことを思いました。きっと、それはずっと彼を苛むと思うし、そのテーマについて取り組んだ三浦しをんさんもすごい書き手のような気がしています。

4月6日

推敲を進めながら長めの新作1編。もう春に入ってからテーマに沿ったものを16編書いていました。ちょっとびっくりします。リーディングの練習をしたりしていました。
散り際の桜を一人で観に行きました。よい光景だったのですが、自分の中にとっておこうと思います。

・角田光代『八日目の蟬』中公文庫

角田光代さんは、女性の業についてとても鋭い観察眼を持った作家ではないかなと思います。
時にそれはあたたかく響くけど、はてしない暗さも持っていたりする。
偽りの親子の逃亡。
自分が母になること・なれなかったこと・恋していた男。
そういうの、あると思うし、それでも恋から女性は逃げきれません。
子どもというのは、母親にとってものすごく大きな存在です。偽りであっても親子を続けていきたい。そんな思いが希和子からも感じ取れました。
その側面にはやっぱり何か「自分が経験できなかったもの」もあるんですよね。
幸せな家庭を築くこと。そして叶わなかった恋、いつか復讐してやるという暗い気持ち。
そういうものを持っていたっていいと思うし、それがあるからこそ、生きていけてしまうのが生きづらさでもあるように思います。
決して穏やかにはいつも生きられないわたしたち。そんなことを思いました。

・幸田文『流れる』新潮文庫

花柳界というもの。
すごく、考えてしまいます。女性が働くこと、そして貧困についても。
教養もあって気性もしっかりしていて、それでも花柳界に入るしかなかった梨花。今日は「おんな」について学んでいる日だなと思いながら読んでいました。
わたしたちは日々なにかに恋をし、何かを抱きながら暮らしています。
その「何か」がたとえ穏やかなものであっても、荒ぶるものであったとしても。わたしはそれを創作の力に変えていますが、そういう意味でここ数年のわたしのテーマは「女性」という問題提起でした。
わたしたちが何かについて考える時に、「性別」とか「役割分担」というものについてあれこれ、考えます。
わかりあえない、というものは女性同士でもあると思うのがこの読書を通して思ったことでした。それでも、わかりあえなくても共存していくという思いが大事なのだと思います。

4月7日

デスクワークを終えて、元通学路を通り、久々の神奈川近代文学館へ。新作2編、翻訳2編。
母校の近くだったので一人でふらっといって、懐かしいような色々な気持ちになりました。母校が改装されちゃったりしていて、ね。
大学時代は年に一回、神奈川近代文学館で仲間と舞台朗読をしていました。
今も活動しているメンバーがいたり、恩師の朗読会にはできるだけ行っています。
まさか小説の舞台朗読をしていたわたしが詩人としてありがたいことに出版させていただき、またリーディングを始めるのはなんだか奇跡的で……。
吉田健一については勉強したばかりなので、よい機会でした。


葉巻や実際に使っていた万年筆、ハットも!
大佛次郎記念館の猫ちゃんもおめかし。
5月にはバラが一斉に咲きます。また来たい。
桜の下のかわいいキャラクター。
学生時代に窓からよく見ていました。
こんな洋館も近くにあります。

4月8日

昨夜、KSJ(Kotoba Slam Japan)の東京大会にエントリーしていました。
のちほどツイッターなどでみなさまにもお知らせがあると思います。
新刊『ハルハトラム4号』が刊行されました!!
こちらから購入できます。


今回は文学フリマ(稀人舎さんのブース)のほか、七月堂さんで取り扱ってもらっております。わたしも「光 他一編」を寄稿しました。
他にも、寄稿したハルハトラムのvol.2、vol.3も購入できます。(残りわずかなのでお早めに!)


何卒宜しくお願い致します。

・外山滋比古『ライフワークの思想』ちくま文庫

確かに仕事で忙しい時に、今している仕事がライフワークと胸を張って言えるかと言えばそうなのかもしれないし、そうでないのかもしれない……です。
わたしは会社で働いたり、組織の中で働くというよりは、会社や組織で働いている人と一緒に何か企画して動くと言ったほうが多いので、たぶんそれはフリーランスだからでしょう。
この本で言われている読者の顔を想像してみると、サラリーマンやオフィスで働く人なのかなと思います。
わたしにとって詩を作るとか読書をするということは仕事ではないのですが、企画としてそれが動くときに仕事になったりします。そういう意味ではライフワークなのかな。一生できる仕事ですしね。
知識を自分につけたいなら根本を知るというのは大事だと思います。それは本当に大事だ。だからこそ、古典やクラシックに立ち返るのでしょう。

・松浦弥太郎『本業失格』集英社文庫

弥太郎さん、すごく好きなんです。
心に明るい光が入ってくるような彼のサイト、くらしのきほんは大好きで毎日見ています。
わたしにとっては月曜日の朝礼がないので、月曜日の朝5時に見るくらしのきほんの「今日のおはよう」が朝礼代わりです。
弥太郎さんは働きながら自分の本業を見つけ出していくと思っていて、
本屋さん、雑誌編集長、レシピ会社、そして今の仕事と何回も転職されています。
きっと、何回でも自分の立ち位置を確かめたいんだなあと思いつつ彼の半生を追っています。
きっとわたしは彼のことばや考え方に、どこかめんどくさいけれどひと手間をかけるという父の考え方を見出してしまうのでしょうね。

・川上弘美『ゆっくりさよならをとなえる』新潮文庫

川上弘美さんがこのエッセイで折に触れて述べる
「不思議なつながり」をわたしもこの本で感じ取りました。
ロビンソンクルーソーの訳が吉田健一で、そしてそれが川上弘美さんの初の読書体験になっていたこと。
吉田健一のことを「豊かな文章を書く人」と述べていますが、
ほほう、こんなところにもつながりはあったのだなと思います。
しばしば書物の旅に出るとそういうことになりやすいですね。

・岸本葉子『楽で元気な人になる』中公文庫

「これからの自分に、興味津々でいる」
それってすごく大事だと思います。人は年を重ねていくごとに、できる体験が違ってきます。
わたしも27、28、29と年々年を重ねていくうちに、今年はこんなことがしてみたいと最初に思ったことが、思わぬ良い方向にどんどん進んで行くことがありました。
だからこそ、あんまり美容に関心がないというか、きれいな水をごくごく飲んで、いつも前髪を分けたショートボブで、髪色は美容師さんにお任せしよう! 普段はノーメイクが基本、なんて思っています。いいのか。
でも、これから自分がどんな30代を迎えるのか、どんな40代を迎えていくのかは本当に楽しみ。友達はよく「もう〇〇歳だよ」と毎年言っているように感じますが、未来はその人を豊かにしてくれるもの。
これからも楽に元気に行くぞ。

・松井今朝子『今朝子の晩ごはん 嵐の直木賞篇』ポプラ文庫

わたしは作り置きが好きで、毎週この日に作り置きをして、あとは冷蔵・冷凍というテクニックを使っています。
だっておいしいものを自分で作って食べるなんて至高の贅沢じゃない。
日記の題材を晩ごはんにしていると、確かにその日その日の生活が見えてくるというか。
例えば外出で帰りが遅くなったり、打ち合わせが長引いたら外で食べるなんて普通のことになってきました。
でもやっぱり、自分の味付けが好きなんだよなあとぼうっと考えるんです。
自炊をしていれば自然と体の求める味がわかってくるようになってくるし、それが健康にもつながってくるので、わたしは自炊万歳の生活をしています。忙しい時には盛り付けも躊躇せずにワンプレートですし、別に誰に見せるわけでもないもんね。
食いしん坊万歳! これからもその精神でいきます。

・江國香織『やわらかなレタス』文春文庫

江國さんの文章は好きで、よく読んでいました。
彼女の独特のおしゃれな文章はどこから来るんだろうとひたすら思っていますが、江國さんの執筆スタイルにもそれはあるように感じます。
彼女が他の雑誌などのインタビューでよく語っているのが、お風呂で書くこと。半身浴をされながら書いているそうで。
そうか脱力感かと思うとすごくうなずけるんです。
何か緊張感のようなものは芯として確かにあるのだけれど、そこにあまり力点を入れていないというか。そういうものが彼女のエッセイに現れています。

・小川洋子『カラーひよことコーヒー豆』小学館文庫

文庫版解説が菊池亜希子さんで、「わわわ~!」とうれしくなりました。
わたしも彼女の文章やイラストが好きで、同じく小川洋子さんの文章や考え方が好きなんだと勇気づけられた気がします。
小川洋子さんはとてもゆっくりお話になる方で、それでも小説家のどこか不思議な所は漂わせてはいるものの、好きなものへの自分の「好き」という気持ちはずっと持っている、そんな作家さんだと思います。
小川洋子さんは毎週日曜日の朝10:00からTokyoFMで読書ラジオのパーソナリティをつとめていらっしゃるので、もしファンの方がいましたらそちらもどうぞ。
アンバランスだけど均衡を保ったものが好きな、優しいおっとりとした性格に魅了されます。

・角田光代『世界中で迷子になって』小学館文庫

旅というものについて思うこと、そしてものについて思うこと。
わたしは旅をしたいなあと思いつつ、やってみるとしたら日帰りなんですよね。やっぱり仕事もあるし……でも、旅は行きたいししたい!
何日間か休みをとっていければいいんですけどね。
でも、わたしにとっては日々バスに乗ることでさえ旅だったりするんです。
世界中に行きたいときは、このご時世だからということで翻訳文学で補っている感じがします。
でも、そろそろ行きたくなってきました。
行けたらいいなと思う、パリの街角。ポエトリースラムのワールドカップはパリであります。いけたらいいな、いけるようにがんばろう……!

・群ようこ『ぢぞうはみんな知っている』新潮文庫

母と娘っていろいろ難しいですよね……。
いい距離を取れるとすごく楽なんですけど、やっぱり親は親だし、心配してるんだろうなとぼうっと思ったりします。
自分の職業に理解がなかったり、物欲があまりにもあったり、娘である自分と価値観が違ったり。
そういう群さんと群さんのお母さまとのやり取りが結構、しんどそうだなあと思うこともありますが、お互い大人、ということを分かり切れないものなのかもなと思います。
シスターフッド的に双子のようであった母親と娘、というのも一つの形だけど、もっと娘は自由になっていいんじゃないかなと思います。

・米原万里『魔女の1ダース~正義と常識に冷や水を浴びせる13章』新潮文庫

カルチャーショック。
通訳をしている米原さんがすごく感じるものだろうなという気持ちがします。魔女の1ダースは12ではなかったり、世界では「常識」と自分が思っていることが通用しなかったり。
そんななんだかんだがすごくあるのですが、え? と思うこと、びっくりすることってかなりありました。
常識や価値観が同じ人なんてどこにもいないし、同じところに住んでいるひとでもそうなのですが、カルチャーショックというものをわかりやすく書いてある本です。

4月9日

フリーランスですが、週末は楽しいなと思う近ごろです。
曜日感覚を忘れてしまって仕事をしていますが、なんだか朝のウォーキングだけでも違いがあって。
週末にイベントが入るようになって本当にうれしい春。
また新たにオープンマイクの情報を仕入れたので、行こうと思います。
自分の詩をどんどんリアルで広めていくこと。
昨夜装幀見本が届いていたのでメールをしたりしていました。
これからどんどん進んで行きますよ!
お楽しみに。

*お知らせ
諸事情により、来週の詩人の読書記録日記はお休みとさせていただきます。
いくつか朗読会に参加するので、そのレポートなどをアップしていきたいと思います。いつも読んでくださっているみなさま、本当にありがとうございます。4月17日の千葉詩亭4月23日のSHIBUYAオープンマイクなど、お近くの方はぜひ聞きに来てください! 詳細は随時ツイッターにアップします。よろしくお願いします。

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