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colors〜色に触れて〜

にほんブログ村「シンプルライフ」カテゴリーで、ブログを書いてる『なぜ猫』です。猫好きなアラフィフ主婦が、母の認知症をきっかけに初めて、もうすぐに2年になります。母と父の事、娘の不登校の事、飼ってる猫の事、片付けや断捨離の事など、妄想多めで書いてきました。

今は、『ブログ』と『Twitter』『note』が趣味ですが、

その前は本ばかり読んでいました。

読書している時と、好きなアーティストの歌を聴いてる時が一番幸せだった。

音楽は、いろいろと聴きますが、

LOVE PSYCHEDELICO、椎名林檎(東京事変)、RADWIMPS、が特に好き。あ、宇多田ヒカルも歌により好き。

このnoteでは、

RADWIMPSの『透明人間18号』という曲と、宇多田ヒカルの『colors』という曲を聴いて、思いついた妄想ショートストーリィを、ご紹介させて頂きます。↓


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僕が働いているカフェによく来る客がいる。

常連と言っていいだろう。

20代前半の女性で、必ず1人で来る。

窓際の席が彼女の指定席。

頼むのはいつも、カプチーノ。

ベリーショートに、板チョコみたいに薄い胸。

クリーミィな泡を震わせながら、僕はカプチーノをテーブルへ運ぶ。


「ありがと。素敵!」

いつもこう言う。『素敵』が口癖のようだ。


彼女は、カプチーノの飲み方が、独特だ。

カップの淵を、一口ごとに唇でなぞる。

ツーって。

いつもやってるから、これも『素敵』と一緒で癖なんだろう。

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『ツー子』・・・僕は心の中で彼女の事をこう呼んで、親近感を抱いていた。・・・いや、はっきり言おう。好意を抱いていた。

今日もいつものように『ツー子』がやってきた。

そして指定席に座って『カプチーノ』を注文する。

そこまではいつもと同じだった。

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ふるふると震えるカプチーノの泡。

初雪を手にすくって、お母さんに見せる子供のように、

慎重に運ぶ。


あと数秒で彼女が口にするセリフ『ありがと。素敵!』が、すでに耳の奥で聞こえていて、もしも、今日『ありがと。素敵!』以外の言葉を彼女が言ったら、彼女を映画に誘う。と自分で自分と賭けをしていた。

テーブルにカプチーノを置くと、彼女は僕を見て「ありがと。素敵!」と言った。

よしっ!動物園に誘おう!

え?賭けの話だよ。

彼女がいつものように「ありがと。素敵!」と言ったら『動物園』に誘うって自分と賭けをしてたんだ。

「あのさ、いつもウチのカフェに来てくれるんだね?なんで?」

「カップの感触が素敵だから。」

「へ〜、そんな事で?」

「私ね、色が見えない『体質』なんだ。『病気』でもいい。とにかく世界は、真っ白。よくテレビで、雪の積もった山なんか写すでしょ?あんな感じに見えるの。形はわかるけど、色がない。」

「えー!そうなの?色盲なんだ?」

「色盲とは違うんだよね。色盲は色が違う色に見えるんでしょ。私は全く色が見えないの。小さい頃からね。原因不明の現象。その代わりに、触った感触で色がなんとなく見えるの。ここのカップの色って深い海の色してるでしょう?それが唇の感触でわかるの。奥行きのある深い深いBlue。私はその色に会いにきてる。」

「はぁ〜、いろんな病気があるんだね。ねぇねぇ、僕の事どう見える?」

「他の人や物と同じよ。真っ白な人の形してる。でさ、いつ行くのよ。」

「ああ、いいの?やったね。じゃあ・・・」

その後のことは、嬉しすぎてよく覚えていないけど、

こうして、2人で動物園を歩いているんだから、ちゃんとデートの約束ができたんだろう。


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僕たちとすれ違うカップルが、僕の事を二度見して何かコソコソと話している。

「ね〜ツー子、一つカミングアウトしてもいい?」

「え⁈ 待って待って、情報量に追いつかない!『ツー子』ってもしかして、私の事?」

「この場に君しかいないでしょ。いつもカップの淵を、唇で『ツー』ってなぞるから『ツー子』。素敵でしょ?」

「素敵!素敵ハリケーン!で?その後の『カミングアウト』って何?」

「・・・実はさ、僕も先天的に色が無いんだ。

君には他の人と同じに見えるかもしれないけど、僕は頭のてっぺんから、足の先まで、色素がない『アルビノ』なんだ。皮膚も、体毛も、全部真っ白。」

「素敵!真っ白なの?あー!見たい!モーレツに!」

「世の中、君みたいに『素敵』がってくれる人ばかりじゃ無いから、

僕と一緒にいると、白い目で見られることもあると思う。それでも、僕と付き合ってくれる?」

「『白い目』って、あんた!その表現が通じるの、普通に見える人にだけ〜!やばい!ツボる!ウケる!素敵!君って、『素敵製造機』だね!ポップコーンみたいに次々出てくる〜!あはは🤣」

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次のデートでは、2人で虹を探しに行こう❣️


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