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ショートショート愛好家二人が『きょうも芸の夢をみる』について語り合った話

まえがき(読み飛ばし推奨)


私は主にTwitter(X)にウロウロしているのですが、
先日、そちらのネッ友のぱせりんさんとショートショート&短編集『きょうも芸の夢をみる』が面白いよね。という話で盛り上がりまして、勢いでスペース(※)を開催。
あれやこれやと熱く語り合いました。

(※)補足致しますと、スペースというのはTwitter(X)に搭載されているラジオみたいな機能で基本的にどなたでも開催できますし、
Twitter(X)アカウントさえ持っていれば聴くこともできます。

アーカイブという録音機能もあるので、リアルタイム視聴できない場合も後日聴くことが出来る大変ありがたい仕様です。
そんなこんなで、私たちの語りを通じて一人でも多くの方に『きょうも芸の夢をみる』の面白さがお伝え出来ればと思ったのですが、私の設定ミスでアーカイブが残りませんでした。

そこで今回は記憶を頼りにザックリと語り合いポイントを書き記しておく事に致しました。

・『きょうも芸の夢をみる』とは

ヨシモトブックスから出ているファビアンさんという芸人の方が書かれた
芸人世界の悲喜交々を虚実ない交ぜに綴ったショートショート&短編集です。

・どんなお話?

全11編なのですが、とにかくどれも面白いです。
声を出して笑ったり、クスッとしたり、逆にうるっときたり。
ぐるぐる感情を揺さぶられます。

各話のキャラクターに注目していただきつつ、お読みいただくと「ピン!」とくると思うのですが
人と人とが「芸」を通じてほんのり繋がっているので「短編連作集」としても読めると思います。

・感情に訴えるだけじゃない

ユーモア、人情味、ヒリヒリする青春、哀愁……色々な気持ちを捕らえて、ぶん回されるので、
「感情」に注目が行きがちですが、

個人的にはその筆力にも注目していただきたいです。

とにかくリーダビリティが良く、構成力が素晴らしいのです。

散りばめられた伏線やそれらをさりげなく回収する手腕は日々のネタ作りという努力の賜物なのかなぁ?
と勝手に思ったり致しました。

各話単体で読まれても面白いですが、全体を通して読み終わった時の感動たるや、長編小説を読み終わった時のようなカタルシスを味わえます。

・現代ショートショートというよりは王道のショートショートの流れを酌んでいる?

さて。ショートショートの定義にはいくつかありますが
『現代ショートショート』となるとショートショート作家の田丸雅智先生が提唱された

「アイデアがあり、それを活かした印象的な結末のある物語/短くて不思議な物語」

という一説がありますが、
『きょうも芸の夢をみる』はどちらかというと、日本でショートショートの定義が初めて考察された頃からある
ロバート・オバーファースト(ショートショートの世界的権威)が言う

「完全なプロット/新鮮なアイデア/意外な結末」

の流れを酌んでいる気が致しました。
ミステリも書けそうな素晴らしい構成力や伏線の絶妙な配置の仕方がそう感じさせるのかもしれません。

・全11話の配分・構成が素晴らしかった

 ①禁断のコント
 ②腸々~cho cho~ 
 ③エルパソ
 ④笑いの神様
 ⑤むかしむかし、ある喫煙所に
 ⑥しっくすん
 ⑦スケルトン
 ⑧芸人冥利
 ⑨跳躍芸人
 ⑩まい君
 ⑪藍情
 ・
 ・
 ・
新人芸人君が主人公のちょっとエッチな「禁断のコント」から始まったので、
「全部この感じで進むのかなぁ? エロが過激になっていくのかなぁ?」とハラハラしつつ
「腸々~cho cho~」で夢や人生について考えさせられグッと芸人世界に引き込まれ、
③、④、⑤、⑥、⑦、⑧、⑨、と虚実綯い交ぜの世界観や芸人さん達が成長していく様に感情をコチョコチョくすぐられ、⑩の「まい君」でグランドフィナーレか? と思わせる怒濤のネタのオンパレードを披露されたかと思いきや、
まだまだ! と言わんばかりに⑪の「藍情」のお母さんの可愛さや、礼青くんとお父さんの不器用さに泣かされるという……。

⑩で終わりでもたぶん面白く本を閉じられましたけれども、
⑪が在ることにより、そして⑪のコンビ名が○○○○(※秘密)ということにより、
11話全ての芸人さん達の過去や未来を如何様にでも想像できる素晴らしい構成となっていました。

他にもちょっとした描写、ふとした台詞に出て来る「あの回の芸人さんのアレ!」なワードにぐっときてしまうのでした。

【一番好きな一文】

「夢っていったいどんな味?」それはタバコとコーヒーだ。
(エルパソ)より。

・おわりに

記憶と勢いで書いているので、リアタイ時と少しニュアンスの違いもあるかと思いますが
もっとショートショートに限らず、長編も書ける方な気がするし、『きょうも芸の夢をみる』の世界に出てきた芸人さん達のその後の世界も気になるし、全く違う世界線のショートショートも読んでみたい!
つまりファビアンさんの書いた物語をもっと読みたいので、「これからも応援しようね」と勝手に二人で誓い合ったのでした。

そんなこんなで纏まりませんが、いつか芸の夢の続きをみたいです。

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