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『糖尿病の治し方』5-3 トレーニング

トレーニングのY田先生から、日々の運動について教わる。
 
目も耳もノドも、いろいろガタガタなんだけれども、いってられない。
(動こう、動かねば…)
 
まずはスクワット運動。
ベッドのふちに這いずり移動してから、ベッドの柵を両手で持って
ゆっくりと上半身を持ち上げ……られない。
太ももの筋肉が仕事をしてくれない。(どんだけ弱ってんの…)
 
仕方ないので、リモコンでベッドを少し高くしてから再挑戦。
半ば下に降りるようにして、できるだけゆっくりと立ち上がる。
 
そこから再び、両手を柵にあてたまま、太ももの筋肉を意識しつつ、
できるだけゆっっっくりとベッドにしゃがみこむ。
 
この動作を10回1セットとし、無理のない範囲で1セットずつ、
1日5セットほど時間をおいて繰り返す。
筋肉がついてきたらセット数を増やすなどして、徐々に負荷を上げて
いけばいいそうだ。
 
Y田先生の話によれば、下半身には人体の筋肉が7割近くも集中して
いるので、スクワット運動はとても効率がいいらしい。
(スクワットさえしていれば、全身の7割もの筋肉を鍛えられるのだ。
スゴい)
 
とりあえず、1セットほどこなした。
「これから毎日、この運動を続けましょう」とY田先生。
仕上げに廊下を歩くことになり、入院以来初の廊下デビュー。
(というか私、ベッドから全く動いてなかった…)
 
何か、私の歩き方がおかしい。 ヨタヨタしていて安定していない。
どうにかこうにか歩けている感じ。
 
途中、体重計があったので乗ってみた。 結果は40kg。
少なすぎなので増やしましょうとY田先生にいわれた。
 
「こうして毎日廊下を往復すれば、持久力もつきますよ」とY田先生。
 
廊下の中央あたりに談話室と水場があり、そこに給水器があった。
コレか。 今度から自分でくみに行こう。 水は大事だ。
 
廊下のはしにいくと、大きな窓から外の街並みが見えた。
 
「美しい…」 街が、遠い…。 人も車も、おもちゃのようだ。
(私もまた、もう一度あの向こう側の世界に戻れるのだろうか…?)
 
窓ごしに見る元日常の景色は、なんだかとても遠かった。

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