橋本ねこ( 'ω')

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橋本ねこ( 'ω')

https://twitter.com/hashimoto_neko 文字を書き連ねる事により、自分の内面と向き合う( 'ω')

最近の記事

鏡匣

シェルターの中の自分は誰にも見られないから、取り繕う必要も無い。 …これこそが本当の自分なのでは?何の柵も無く、何の忖度も無く、何の干渉も無い、真の自分。 やがて、内側は誰一人見る事は無くなった。故に安心して自分を出せる場所となった――内側には自分だけの楽園を作った。 しかし、他人と触れ合う時にはその内側の自分を見せる事は無く、外側の自分が常に対応を行う。一日の大半を外側の自分として過ごす事になった。 そして、うんと疲れた日には内側の楽園でひっそりと自分を癒すのだ。

    • 鏡匣

      気付きを得た。 誰かが自分を傷付けたとしても、魂まで奪えるわけでは無い。 他人にどう思われていようが、死ぬわけでは無い。 自分の中にしかないもの――そういった"内面"たちはシェルターのような場所に置いておけば、誰かに干渉されることはない。 そうと決まれば、早速身支度をする。 壊されたくないもの、大事な物をどんどんシェルターへ入れていく。 シェルターの中にも更に強固なシェルターを作った。シェルターが少し攻撃されるたびに、どんどん内側のシェルターへと物を移動させていった。

      • 鳥と魚

        どぼん、と音を立てて水へ入る。 もがいても上手く浮き上がらない。今まではどうやって浮かんでいたんだっけ。 ああ、そうだ、今は錘が付いているから沈むのか―― 水中だとうまく呼吸も出来ない。酸素が行き渡らず、眩暈もする。 ふと、落ちていく先――海底へと目をやると、光を飲み込んだ真っ暗な深淵が広がっていた。 「嫌だ」 「嫌だ、落ちたくない」浮かばなきゃ、と手足をばたつかせる。 口からは空気の泡が逃げていき、ただ体力を失うだけだった。 眼下の深淵から、無数の手が伸びてくる。

        • 鏡匣

          ある日、シェルターが攻撃に遭った。 何重にも施したシェルターは強固だったが、その強固さ故にどこかで油断もあったのかもしれない。 そのシェルターには自分の大事な物を仕舞っていた。 さらに大事な物はシェルターの中のシェルターへ。しかし気付いていなかった。シェルターよりも体の方がうんと脆弱だった。 確かに、他人の攻撃によって魂は奪われることは無かった。 「ガラスみたいだな」 ――ふと、呟く声が聞こえた。 一度割れたら中々戻せない。見かけ上、くっつける事は出来る。ただし、完全

          鏡匣

          魂と、魂の入れ物がある。 魂の入れ物には、もちろん魂を収める。どちらが欠けてもダメ。不完全だ。 どうやらこの"入れ物"はとても強固だ。何重にもシェルターが造られ、最深部に至ってはきっと製作者ですら開ける事が出来ないだろう。 この入れ物にどれほどの意味があるのかは分からなかったが、非常に興味深かった。 製作者は今、材料を探しに出ていってしまった。 しかしいつ帰ってくるかは分からない。入れ物は置きっぱなしのままだ。実は然して重要では無いのかもしれないし、もしかしたらすぐ帰って

          鏡匣

          平均的な体型の人より太っている芸人がテレビに出て、自分の体型で自虐的に笑いを取っている。 体型をイジられ、テンポ良く笑いに変える――「プロだなぁ」と。そう感じる。 太っている人に向かって「デブ」と言うのは"イジメ"になると言う向きがある。 そういった流れを汲む場合、冒頭の芸人のイジりはイジメを助長しかねないため、敬遠される。 しかし、太っている人に対して「デブ」と言わなかったとしても、太っているという印象は抱くだろう。「この人、背が高いなぁ」くらい自然な感想・感情であろう

          車を新しく買った話

          「そういえば、車のナンバーはどうしますか?希望とかありますか?」 ああ、そういえばナンバーの事は何も考えていなかった。 ―――――――――― 先日、車を新しくした。 今までの車は親のお下がりで、自分で購入したわけではない。 元々は母の軽自動車だった。母専用のものだったが、病気の進行に伴って運転はドクターストップが掛かってしまった。 その後、父がそれまで乗っていたビートルを手放し、母の軽自動車を使う事にした。父は昔から車好きで、昔はソアラに乗っていたらしいくらいだから、今

          車を新しく買った話

          遺作

          僕はバンドマンだった。 最後にライブをしたのはもう遠い昔の話――とか思ってたけど、去年の3月にやってた。 ギリギリの時期だった。 ギリギリ、というのは言うまでも無く新型コロナウイルスの流行の波の話で。 個人的には2019年末から中国で新型のインフルエンザが流行っているという話はキャッチしていたので、日本に来るのも時間の問題だと感じていた。 その後、年明けにはクルーズ船の中でのパンデミックが発生、未知のウイルスに情報が錯綜して大混乱を期したのは記憶に新しい。 その時期はまだ

          より"ことば"にフォーカスして

          どうも橋本ねこです。 名古屋でぐうたらと生活しています。その正体は音楽家。 …というのはタテマエで、ここ数年間は人前で演奏していない幻のミュージシャン。 その場合はミュージシャンって名乗って良いの?まぁミュージシャンって称号でも役職でも国家資格でも何でも無いから、自称ミュージシャンでも全然OK。たぶん。 僕は既にひとつブログを運営しておりまして。 ご存知の人も居るかもしれませんが、こちら。 音楽やらちょっとしたコラムや新しい食べ物に食いつく包括的なブログだったのだけど、こ

          より"ことば"にフォーカスして