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車を新しく買った話

「そういえば、車のナンバーはどうしますか?希望とかありますか?」
ああ、そういえばナンバーの事は何も考えていなかった。

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先日、車を新しくした。
今までの車は親のお下がりで、自分で購入したわけではない。

元々は母の軽自動車だった。母専用のものだったが、病気の進行に伴って運転はドクターストップが掛かってしまった。
その後、父がそれまで乗っていたビートルを手放し、母の軽自動車を使う事にした。父は昔から車好きで、昔はソアラに乗っていたらしいくらいだから、今思えばその軽自動車を使う事には抵抗があったのかも知れない。
軽自動車の方がもちろん維持費や諸々は安いので、その辺を天秤に掛けて納得してたのかも知れない。実際の所はもう確認できないけども。

その車はそのまま僕が使う事にした。
しかし、身近にあった車なはずのに、この車についてあまりに知らなさ過ぎた。

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どうやら、車検が近いらしい。
「車検まであと◎◎日!」「早期割引のご案内」――と、頻繁にハガキや封筒が届くようになった。父が前回利用した車検会社だろう。

この車も、もう購入して7年になるらしい。
7年となると、そろそろ決断を迫られる時期だ。――この先もこの車に乗り続けるのか、それともこのタイミングで乗り換えるのか。

もちろん、乗り続ける事には問題は無い。現状で壊れそうなところも無い。さすがジャパニーズカー。強いね。
しかし、年々車の価値は下がり続ける。色んな部分のメンテナンスも必要になってくるし、もしこのまま13年も乗れば税金も高くなる。
もしも乗り換えるなら良い機会だ。

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というわけで、ディーラーへ初めて足を運んだわけだ。
今まで父がお世話になっていた担当者の名前は把握している。ディーラーの場所も把握している。
それだけを頼りに、アポなしで訪ねた。

ディーラーの方は、意外にもこのまま乗り続ける選択肢も与えてくれた。
車というものは、思い出とともに走る。理解はしているのだが、僕はモノに対してそこまで思い入れが無い。
僕は自分の中に残る思い出だけで十分だ。抱える荷物があまりに多過ぎるのも、好きじゃない。

車に疎い僕は、敢えてフラットで先入観ゼロの状態から色々と話を聞いた。
相談も色々として、試乗もした。

エンジンの馬力がどうとか、ホイールの材質がどうとか、そういう話は僕には響かない。
単純に見た目や走ったときの気持ち良さ、燃費、そしてカラー、デザイン。そういう部分が判断基準となる。
例えばホイールがアルミだろうがスチールだろうが正直どちらでもいい。乱暴に言えばどうでもいい。安い方で、って感じだ。

色に関しては、意外と悩んだ部分となった。
白は汚れやすいし、銀は今までの車と同じだし。
赤や青なんかの原色も好きじゃない。いや、色としては好きなんだけど、車のカラーにするには好まない。真っ赤、真っ青はちょっとスポーティー過ぎる。
見積もりをいくつも貰っているうちに、「これも良いな」って思えるカラーの在庫が偶然見つけられたようだったので、その方向で進む事にした。

僕はこういう巡り合わせを大事にするタイプだ。

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オプションによっても値段は結構変わる。
車は高い買い物なので、どうしても感覚がマヒしてしまう。
例えば、ディズニーランドでさんざん買い物をした後にペットボトルの水が500円で売っていたとしても安く感じてしまうだろう。そんな感覚がある。

オプションでたかだか8,000円の差だったとしても、そこはしっかりと吟味する必要がある。
個人的にスーパーで「一円でも安い物を!」とか言ったり「一駅分歩いて電車賃を浮かす」とか言ってる人に限って、こういう部分で疎くなってしまうような先入観がある。
車の本体価格に比べれば8,000円は誤差程度だが、普段の生活のものさしでしっかりと考えねばならない。

オプションのうちの大半は実際に車に乗ってみた後でも追加できるみたいなので、とりあえずおおよそスタンダードな状態にしてもらった。
なおかつ、純正品も選んでおいた。きっと車用品の専門店で買った方が安いであろうオプションもあったが、純正品を使わずしていきなりジェネリックに行くのはなぁ…という思いが個人的にあった。

車のナンバーも、選ぶとコストがかかるらしい事を知った。
基本は全くのランダム。選べば有料。そして「この数字はイヤ」というような選択をしてのランダムも出来る。これも値段は選んだ場合と変わらないけども。まぁ何かしらの指定をすれば有料、ってわけ。
ナンバーの組み合わせにそんなに拘りも無いし、ランダムで良いやと思った。
ランダムにして、何かしらの数字になって、それもまた巡り合わせだな、と感じられるから。4とか9とかも別に嫌じゃないしね。

あ、でも、[・・・◎]みたいな1ケタはイヤです、という話をした。
煽られやすそうじゃん。
でも1ケタだけじゃなくて2ケタも嫌だな。あ、あとゾロ目もちょっと…。
と色々と除外していった。

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「連番も嫌かも」って話をしたあたりでディーラーの方が、
「今のままのナンバーでも良くないですか?それはダメですか?」
と聞いてきた。

…いや、別にそれでも良いか。
せっかくだから心機一転、新しい数字を。って思っていたけど、別に前の数字が嫌な訳ではない。

車は新しくなったが、その車のナンバーは前の車の意志を引き継ぐことにした。
ここでさっぱりすべて綺麗にお別れかと思ったら、どうやらまだまだ付き合いは続くらしい。
それもまた、巡り合わせか――と。

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