鏡匣

魂と、魂の入れ物がある。
魂の入れ物には、もちろん魂を収める。どちらが欠けてもダメ。不完全だ。

どうやらこの"入れ物"はとても強固だ。何重にもシェルターが造られ、最深部に至ってはきっと製作者ですら開ける事が出来ないだろう。
この入れ物にどれほどの意味があるのかは分からなかったが、非常に興味深かった。

製作者は今、材料を探しに出ていってしまった。
しかしいつ帰ってくるかは分からない。入れ物は置きっぱなしのままだ。実は然して重要では無いのかもしれないし、もしかしたらすぐ帰ってくるつもりなのかもしれない。

入れ物はモノである以上、摩耗する。
日に当たり、風にさらされ、雨に打たれ、見える部分も見えない部分も摩耗していく。
家主の居ない家は、家主の居る家に比べて朽ちる速度が速くなると云う。この抜け殻をこのままにしておけばボロボロになってしまうだろう。少し預かってみよう。

いや、預かるという名目を作ったが、実際はこの強固なシェルターに惹かれたというのが本音かもしれない。
探検のようでワクワクする。少しずつ探ってもバチは当たらないだろう。

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