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言葉の花束ーアキの詩集No.98


1.「桜学校からの卒業」

1つの木から
一斉に開花した
桜の花たち

共に芽吹き
花を咲かせた君たちは
今日をもって
この木から卒業だ

ほら
風が吹いてくる

その風に乗って
それぞれの
目指すところへとお行き

桜が散る

桜学校を巣立つ
卒業生たちが
一斉に旅立つ

ひらひらと

それぞれの道へと
進んでいく様よ

同級生たちとは
ここでお別れだ

だけれど

花びら一つ一つが
未来に向かって
旅立つ様は

悲しい別れでも
あるけれど

同時に
希望溢れる
旅路でもある

だから
桜が散るのは
こんなにも美しい


2.「空の大海」

澄みわたる
青空

見ていると
とても清々しい

この
頭上に広がる大海に
身を投げたら
どんなに気持ちが良いだろう

空の大海に
吸い込まれ
溶け込みたい

いっそ
大海に同化してしまえば
身も心も楽になれるだろうに

でも
生きている限り
地に足をつけて
生きなければいけない

だから
イメージの中だけ

ほんの少しの間
空の大海に身を投げて
心地よさに浸るのだ


3.「誰かのせいにしない生き方」

自分の惨めさや
生きる苦しさを

誰かのせいにしなければ
自分を保てない人が
私の周りに多くいた

そうやって
自分を被害者に仕立てなければ
自分を愛せない人達だった

人間は
弱いから
誰かのせいにしなければ
生きられないのだと
幼い私は思っていた

実際
自分もそうだったかもしれない

でも
今は
被害者から抜けることが出来た

誰のせいにしなくても
自分の弱さも
他人の弱さも
受け入れられるようになったからだ

弱くても
人は生きていける

強さは
弱さに裏打ちされて
発揮出来るものだ

誰かのせいにして
自分と向き合わない
卑怯な生き方はごめんだ

自分の生き方
有方に
責任を持って

自分の人生を
生きている自分が
私は誇らしい


4.「心の雨」

気が付いたら
雨が降っていた

あまりにも静かで
穏やかに降るものだから
気が付かなかったよ

あなたも
私の知らないところで
こうして泣いているのでしょうか?

いつも
明るく笑っているあなたしか
私は知らない

だから
あなたは
涙とは無縁だと感じてしまう

でも
常に天気が
晴れということはなくて

時には
曇ったり
雨が降ることもある

あなたも
そうなのではないでしょうか?

忍耐強く
明るいあなたは

きっと
誰にも気付かれないよう

この雨のように
静かに
心の雨を降らしているのでしょう

その雨は
あなたの人柄のように
優しい雨なのでしょうね


5.「眠る君」

日向で丸くなり

眩しいからと

顔を隠して

眠る君

うちの猫は

どんな寝方をしていても

絵になるよ


6.「音のない音に耳を澄ませる」

何もしなくて良い時間が
私は苦手だ

考えたい
私の思考は

手持ち無沙汰になって
音のない音に
耳を澄ませた

静かに
サーと流れる
蝉時雨のような
小川のせせらぎのような
聞き心地のいい音がする

音のない音にも
「ない」という音がある

天然の
砂あらし音は
ごちゃごちゃした
頭の中と心を
きれいさっぱり整理してくれた

春のほろ酔い気分に
身を委ねて

音のない音に
耳を澄ませて癒される

そういう時間も
悪くはないね


7.「桜色で心を染め上げる」

春が深まり
桜が咲き始めている

もう少ししたら
一斉に開花して

辺り一面
桜色に染まるのだろう

それを見に
多くの人が
押し寄せるだろう

私は
人混みが苦手だから

車で通りすぎる際に
ちらりと眺める程度で
十分だ

春の麗らかさ
花を楽しみ
季節の移り変わりを感じる

四季のある
この国だからこそ
味わえることだ

感じる幸せを
私は噛みしめて
生きていきたい

感じることを
手放してまで
仕事に明け暮れたり

何かに
忙しくなるのは
人生がもったいない

生きているからこそ
美しいものを
美しいと感じ

楽しみを
味わえる

その特権は
簡単に
捨ててはならないよ

仕事一色で
心を染めるよりも

桜色で心を
染め上げて欲しいよ


8.「過去の私へ」

あなたは
十分過ぎるくらい
耐え抜いた

よく
戦い
自分を鍛え抜いた

だから
もう終わりにしよう

そもそも
傷ついて良い人なんていない

それは
あなたも同じ

あなたを
傷つけた人達と
仲良くする必要はない

下手に出て
へつらう必要もない

だから
あなたは周りに
無理して
溶け込む必要はないよ

心から打ち解け合える
そういう人達だけと
関われば良い

自分の孤高の時間と空間を
自信を持って
こよなく愛せば良い

嫌なことを言う人達と
戦う必要もない
耐える必要もない

その場から
逃げても良い

境界線を引いて
嫌な人達と
その言葉から
自分を守って欲しい

寄り添ってくれる人を
切望していた
過去の私

大丈夫
今の私が側にいて
ちゃんと見て
あなたの声を聞くよ

あなたの居場所に
私がなるから

安心して
未来に向かって
生きて欲しい

未来の私は
こんなにも幸せだから

生きていって
大丈夫だよ


9.「お彼岸、あなたと一緒に見る桜」

お彼岸の
墓参り

ちょうど良く
晴れ晴れと心地よい
天気となってくれて
良かったね

ほら
あちらこちらで
桜も咲き始めて
もうそろそろ満開になるだろうね

去年の今頃は
一緒に満開の桜を眺め

また
一緒に見られると良いねと
話し合ったっけ

お墓に植わっている
桜の木

凄いわ
もう
枝いっぱいに
咲いている

あなたは
ここでいつも
一人で眺めているのでしょうか?

また
一緒に見られると良いね

その約束
果たしに来ましたよ

あなたの姿は
見ることは出来ないけれど

私の傍にいて

一緒に見ているんだろうなと
私は思っています

来年も
再来年も

桜が咲く時期にまた
あなたと眺めるために
来ますから

そしていつかは
お彼岸だけじゃなくて

この桜が
咲いてから散るまでの様子を

あなたと
いつまでも
眺めて過ごす

その日を
楽しみにしています


10.最後に

1.の詩についての
東京では桜が開花したようですね。

そして今日は
卒業式が行われた学校も多いでしょう。

卒業生たちへの祝辞として
このポエムを捧げます。

最後までお読み下さりありがとうございます。







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