つながる世界
今回の記事はエッセイとショートストーリーです。
どうも、ねじりです🐨
この度三度目のピリカ文庫を書かせていただきました。
声をかけていただき本当にありがとうございます。
しかも先日こちらの作品をすまスパで朗読もしていただきました。
ちなみにこの時は内容含めこびと部濃いめの会でした~♬
作品を朗読して下さったのは 納豆ご飯さんです。
すまスパ朗読部門では「思春期担当」の納豆さん。
とても可愛らしいお声の納豆さんですが、人物によって
ガラリと雰囲気が変わる凄さにねじりはとても驚きました。
今回の小人の声も「まさに!」という程ピッタリで感激しました。
ぜひこちらも聴いていただけると嬉しいです。
納豆さん本当にありがとうございました。
他にも素敵なご紹介記事(納豆ご飯さん、Marmaladeさん、コッシーさん)をありがとございました!
また今回ピリカ文庫でペアをさせていただいた
ロッタちゃん(月山六太さん)の作品「睡魔と睡蓮」は
ピリカさんが朗読されています。
こちらものすごい大作となっておりまして、ねじりは読みながら
映画を見ているような気持ちになりました!
本当に素晴しかったです!
そして朗読したピリカさんの登場人物の演じ分けの技にも大注目です♬
*
今回この記事を書くにあたり改めてこれまでのことを振り返ってみました。
初めてのピリカ文庫のお題は「月」
二回目のお題は「ドーナツ」
そして三回目である今回のお題は「水玉」
いやいやそれは違うでしょうという声も聞こえてきそうですが
それでもイメージとして「まぁるい」という繋がりがあることに
ねじりはとても嬉しくなりました。
え?なんでそんなに嬉しいのかって?
それは「まぁるい世界をつくりたい」というのが
ねじりのちいさな夢だからです。
まぁるい世界とは、優しくて温かくて柔らかい…
そんな感じの心地いいものをイメージしています。
もちろんこれが簡単ではないこと、人それぞれに考え方は違う
ということもわかっています。
けれど、それでもこの「まぁるい世界」を夢みているのです。
ですのでこれからも少しでも誰かの気持ちが和むような
ちょっとクスッとなるような、そういったものを目指して
やっていきたいと思っています。
偶然ではありますが、この「まぁるい繋がり」に感謝し
これまでピリカ文庫で書いた「月」「ドーナツ」「水玉」
この三つのお題を組み合わせてちいさなお話を作ってみました。
もしよかったら読んでいただけると嬉しいです。
*
「まぁるい夜」
ある晩のことです。
やさしく照らされた縁側で深刻そうに話すものたちがおりました。
集まっていたのは、月とドーナツと水玉模様のハンカチ。
ドーナツは、ダイエット中だからと言ってしまわれた戸棚から
抜け出してここまでやってきました。
水玉は、最近ずっと仕舞われたままの引き出しから抜け出して
ここまでやってきました。
月が照らす縁側にみんな自然と集合していました。
月が言います。
「僕はね、いつも綺麗に満たされているわけではないんだ。現に今だってこんなに欠けているしね。だから僕から見たら君たちはまぁるいんだよ」
ドーナツも言います。
「あら、いいじゃない。わたしなんて真ん中に穴が空いているのよ?まるというには程遠いわ。それに比べてあなたたちは本当にまぁるいと思うわ」
水玉も言いました。
「みんな僕よりずっといいよ。僕は本当はまるじゃないんだって。本当の姿は歪なんだって。ふたりはまぁるくていいなぁ」
みんなそれぞれに悩みがあります。
そして自分以外のものを見ては心の底から羨ましいと思っています。
月はドーナツや水玉を。
ドーナツは月や水玉を。
水玉は月やドーナツを。
するとそれを横で話を聞いていた小人が言いました。
「それぞれみんな、いい『まる』をもっているじゃないか」
小人はお気に入りの水玉模様のハンカチにをマントにして
大好物のドーナツによじ登って腰を下ろし、そこから
やわらかくみんなを照らす大好きな月を眺めて言いました。
「みんなそれぞれ他の誰かを見てはいつも羨ましいと思っている。でもその相手は反対に、自分のことを羨ましいと思っている。これは不思議だよね。それってどういうことだろう?つまりこれはね、みんな『繋がっている』ってことなのさ」
月はドーナツや水玉を。
ドーナツは月や水玉を。
水玉は月やドーナツを。
みんな自分以外の誰かを見てはいつも悩んでいます。
そして自分はみんなのようになれないと他と比べては苦しんでいます。
でもよくよく観察してみると、実はみんなちゃんと繋がっているのです。
自分は誰かを。その誰かはそのまた誰かを。その誰かは自分を。
と、いうように。
だから大丈夫だと小人は言います。
みんなそれぞれいい「まる」をもっているのだから、と。
みんなはみんなと繋がっていて
まぁるい世界で繋がっているんだよ、と。
するとさっきまでの暗い表情はすっかり消え
照らされたのは三人の心からの笑顔でした。
「今夜は本当にいい、まぁるい夜だ」
小人はそう言うと、水玉のマントで体をすっぽりと包むと
ドーナツの穴にするんと入り込みました。
そしてそのまま月に照らされながら暫しの間
すやすやと眠ったのでした。
(おしまい)
*
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ではまた。
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