見出し画像

身だしなみは足元から。

貴婦人は良い靴を履かなければならない。
そう私に教えてくれたのは、灰色の脳細胞を持つベルギー人の探偵でした。
長年ずっとフランス人だと思っていましたが、どうやらフランス訛りのベルギー人なんだそう。それを考えたアガサはイギリス人だとか、ポアロが英語が下手なのは相手を油断させるためだとか、色々面倒な設定が存在するあたりがポアロらしいです。
その中の
『ベールをかけた女』というお話に、
「本物のレディは安物を着ていても靴だけはいいものを履くんだよ」
という一節があります。
幼心に、正式な場に赴くときには靴はきちんとしたものを履かなければならない、ということを刻み込みました。

さて、靴の話をしようと思って、ポアロのことを思い出して、でもきっと靴の言い伝えについては他に出典があるだろう、と調べたらこんなことわざが出てきました。

靴は良いものを履きなさい
良い靴はあなたを素敵な場所へ連れてってくれるから

ただこれ、フランスのことわざという説とイタリアのことわざという説とあり語源がはっきりしない。
さらに掘り下げるとどうやら、映画にもなった伝説の少女漫画花より男子から派生した言葉らしいのです。靴にまつわる名言がたくさんあるなかで、作者の神尾葉子先生がそれっぽくアレンジした言葉だと。

ちなみに靴について明言を残してる世界的ファッションデザイナーはたくさんいますが
たぶん一番古いのはこちら。

良い靴を履いた女性は、決して醜くならない

シャネル・ココ

シャネルは国は違えどアガサと同じ時代を生きているしポアロの出典がシャネルだとは思えないので(アガサはイギリス人だし)きっと昔から靴にまつわる言い伝えがあったのでしょう。

そして今回タイトルに使った
身だしなみは足元から
という日本の言葉ですが、一説によると駕籠かきの方がお客さんの足元を見て値段を決めていたかららしいです。しかしそもそも、駕籠の値段は一律だったという説もありこちらもはっきりしません。
ただ、どの国にも共通して
靴は良いものを履くべき
と認識されているのが大変興味深いなと思いました。

さて。私が良いものを履いてるかと言うと。
どこに行くにも相棒はスニーカーです。高確率でニューバランスの。
スニーカーが言い伝えにある「良いもの」に含まれるかはさておき、お値段的なものでいうと大体5000円前後くらいのものを購入しています。それを大体二足くらい履き回して、じゃぶじゃぶ洗濯します。
私の洗い方が悪いのか、スニーカーって洗いまくると劣化が早い気がします(ニューバランス公式の寿命は三〜五年、毎日履いてれば一、二年だそう)なので大体二年くらいで一足おしゃかにして、その年の流行モデルを一足購入してます。それを交互に繰り返す。

子供を抱っこして長時間歩く、子供と一緒に公園を走る、子供と一緒に脱ぎ履きする、ことを考えると、今のところスニーカー一択です。なので早々に履き潰しています。
でもスニーカー好きの友人の話によると、スニーカーは消耗品ではないそうです。私はそれまで毎日同じスニーカーで過ごしていましたが、スニーカーも綺麗に洗って日々メンテナンスすれば長く使えるものだと。
そうは言われても高いスニーカーを買う余力と勇気は私にはありません。というか、高いスニーカー買うともったいなくて履けない気がする。本当はマリメッコ×adidasのスニーカーが欲しくてずっとブクマに入ってますがまだ買えてません。いつか欲しい。

そんな私が足元のおしゃれを楽しむのは夏だけです(スニーカーがおしゃれじゃないと言ってるわけじゃありませんよ)
私はスーパー暑がりなので、気温が上がってくると靴下を履くのが限界になってくるので早い段階からサンダルデビューします。足元だけネイルをしたり、しまむらで1000円以下のサンダルを買ったり。公園で水遊びする時にはしまむら、それ以外はDIANAのサンダルを愛用しています。
しまむらはワンシーズンでポイですが、DIANAは靴底が擦り減ってくると修理に出します。割と新品みたいな顔して帰ってくるので、もう長いこと新調はしていません。

私はDIANAのサンダルを二足持っていて、そのうちの一足はもうかなり古いモデルです。それを毎年修理に出しながら使っています。
それを履いて、もう一足を修理に出しに行った時のこと。
「こちらの商品も長く大切に履いて頂いて本当にありがとうございます」
と声をかけられました。
てっきり修理に出した方を指してるのかと思いきや、今履いてる方のサンダルのことでした。
人気シリーズなので毎年分頭に入ってるそうですが、特にこれは自分が入社した時のモデルなので印象に残ってると。

その店員さんと私のサンダルは同い年だったんですね。私もとても嬉しい気持ちを頂きました。一足を長く履くこともまた、良い靴にこだわることに繋がりますよね。
そして、このサンダルは購入して5、6年。たった5、6年で社会人とはこんなに立派に育つものなのだなあと思ったら、そりゃ私も歳をとるわけよな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?