ゲーム業界の離職率は高いのか低いのか？にゲーム会社人事が答えてみる話

2020年9月15日 01:17

こんばんわ。
月曜日を乗り切って、「もう何も恐くない」と死亡フラグを立てにかかるゲーム会社で人事とか採用をしている人、ねじおです。

▲「テメェなんか怖かねぇ！」（映画コマンドーより）

さて、よく質問も受けたり、ナビ媒体さんからも記載した方が良いと言われたりする「離職率」。

学生さんからすると気になるところかもしれませんが、
個人的には、あまり意味をなさない指標なのでは？と感じています。

と、言うのもゲーム業界という広い領域での本当のデータが取れないのです。

上場企業しか離職率は公表されていませんし、
募集情報で会社側が出す離職率はどこまで信じていいのか不明です。

具体的に言うと、契約社員の退職は離職率の計算に含まれていなかったり、退職者のカウントの仕方が謎だったり、1年間の離職率だったり、新卒社員の3年後離職率だったりでも数値が大きく変わります。

なので、ゲーム業界の離職率は高いのですか？と聞かれると、
「きっと高いと言ってほしいと思うのだろうから、高いと答えるけど、会社によるよ♪」と答えることになります。

ですが、出来るだけ公平なデータが取れないかとやってみたので、
それについて書いてみます。

※あくまで2021年度データから計算をしています。
　個人の見解ですのであくまで参考までにご覧ください。

●そもそもゲーム業界の離職率はどんなもん？

▲入社3年後離職率（就職四季報2021より）

四季報で「ゲーム」とされている会社6社の離職率は上記の通り。

既に会社間の差が大きいですが、平均値を出すと、11.4%。

厚生労働省発表の大卒者の3年目離職率は全職種平均で、32.0%。
（平成28年度採用者データ　参照：厚労省ＨＰ）

単純な全業種との比較だと、
ゲーム業界はとても離職率が低いとなります。

今回の係数11.4%は、ゲーム業界の中でも大手で、
かつ家庭用ゲーム開発を中心に行ってきた社歴の長い会社のデータ。

なので同じように社歴が長く、何かを作る「メーカー」の上場企業と比較してみる。

▲電機メーカー　入社3年後離職率
（実数公開されている会社のみ）

▲自動車メーカー　入社3年後離職率
（実数公開されている会社のみ）

流石に日本のものづくりを支えてきた、
家電や自動車メーカーの離職率はとても低く、
ここと比較すると、ゲーム業界の離職率は高いとなります。

ここで面白かったのは、トヨタを例に挙げると、
トヨタ本体の離職率が5%以下なのに対し、関連会社になると、その2倍～3倍の離職率となり、販売会社などサービス部門になるとさらにその倍程度まで離職率が高まる点。

5%→10%→20%　と会社規模が小さくなるにつれて、実際の開発から離れるにつれて離職率が高まっていました。

この関係はゲーム会社の構造でも言えるかもしれない。

大手メーカー10% → 開発会社20% → ベンチャー/小規模開発会社40%

感覚としては、自分の中のイメージに近くなった。
ゲーム業界は構造上、開発会社やベンチャー企業の方が数が圧倒的に多いので、実際はこんな感じなのかもしれないです。

（最初に書きましたが、中小のゲーム開発会社は離職率を公開していないことが多いので、正確なデータがありません）

出来るだけ公平なデータが無いかと色々見てみましたが、
やっぱり業界全体という見方では難しかったですね。

お伝えしたかった事としては、
離職率というデータも、比較対象や計算方法によって大きく見方が変わるので、10%～20%という数値を何に対して高いと見たのか、または、自分がその退職者側に入ってしまうのではないかという何か懸念があるのか、という目線の方が大事だと思います。

ゲーム業界だけでなく、
納期のある業界（新聞や雑誌、広告、ＩＴなど）や形の無いものを作る仕事は作るものに引っ張られて、長時間労働が発生したり、ストレスが多くなったりします。

それでもゲーム作りは楽しいし、多くのユーザーの感情を刺激して喜んでもらえる点は魅力なので、
是非多くの方にゲーム業界に来てほしいとは思いますが、嘘をついても仕方ないので、クリエイティブ業界特有の上記特性は理解して飛び込んできてほしいと思います。

ゲーム業界だけでなく、クリエイティブ業界を目指す方の参考になれば幸いです♪

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過去記事はそれぞれマガジンでまとめています、宜しければご覧ください♪

ジュース奢ってくれるんですか！？え！？コーヒーでもいいんですか！？今から超がんばります。