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旅の思い出を語ってみようって話

秋の行楽シーズンというのもあり、今回は直近の旅行の思い出についていろいろ書いていこうと思う。

〜愛媛編(2019年)〜

まだ安倍晋三氏が存命で内閣総理大臣職についており、枝野幸男氏率いる「自民党政権の鉄壁の守護神」の異名を持つ立憲民主党とプロレスをすることでNEO55年体制を確立していた2019年。

昼過ぎに起きてふと「愛媛に行こう」と謎の決心をしてしまい、当日の飛行機を予約し、午後3時過ぎに羽田に着いて松山へと飛び立った。
当然、今夜泊まる宿などの計画も全く立てずに。

空港のこういう看板がすごく好き

とりあえず松山といったら道後温泉でしょ!と思い、道後温泉へ。


この当時、手塚治虫作品とコラボしていた

道後温泉にたどり着くまでの道のりは「ザ・温泉街」を象徴するように、飲食店やお土産屋さんがたくさんあり、至る所に浴衣を着たカップルたちが食べ歩きをしていたのを思い出す。

飛行機で読むために本をパンパンに詰めていた&史跡巡りもしていたのもあり、汗だくになった体をさっぱりさせようと思ったのも束の間、シルバーウィークだったこともあり、大混雑していた。湯船は芋の煮っ転がしの如く、ぎちぎちに詰まっていた。
激混みすぎて入浴した感覚がなかったのは今でも思い出せる。

そろそろ宿探しをと思った矢先、ふとある考えがよぎる。

今から宇和島に行ってみよう!

親が転勤族だった私は、小学校低学年の頃(1年生〜3年生夏)まで宇和島市に住んでおり、それを思い出し聖地巡礼を決行したのだ。もうそろそろ夜ご飯を食べなきゃというタイミングで。

うどん屋さんへ行き夜ご飯を済ませると、急いで列車に乗った。
特急列車で松山から片道2時間かかるあの宇和島へ。

※なぜか愛媛県にはアンパンマン列車というのがあり、全部アンパンマンでラッピングされた電車が走ってる。
※愛媛のうどんは香川のうどんと違い、甘いおつゆと一緒に麺を食べるという感じ。

列車の車両には私しか乗っておらず、東京ではネオンが光り輝く午後8時〜10時でもあたりは真っ暗で外の景色なんてものは全くわからなかった。
終点の宇和島駅に着くまで、ただひたすら本を読んだ。

宇和島名物の牛鬼
野球強豪校の宇和島東高校は「牛鬼打線」と呼ばれるが、その元となった牛鬼

宇和島駅に着いたのはいいが、あたりは真っ暗でiPhoneのライトを使わないと全く見えないレベルだった。

早速宿を探そうと思ったのだが、どのホテルも満席だと言われ野宿を覚悟した
(宿など予約は全くしておらず、完全にノープランな私が絶対に悪い)
たまたま一部屋空いてるビジネスホテルがあるというので、そこへ泊まることにした。(ほぼ雑居ビルみたいな見た目)
ビジネスホテルというと課金をすればAVが見れるのだが、その機能すらない。かろうじて週刊誌とゴルゴ13と島耕作が置いてあっただけだ。

翌朝、朝食がわりに前日買った缶コーヒーを飲み干した後ホテルを出ると、昔住んでいた家のど近所だったことが判明し(それがわからないくらい辺りが真っ暗だった)、早速昔住んでたマンションの近くまで行き、変わってないなと懐かしんだ後、当時の通学路に沿って歩き、当時通ってた小学校の近くまで行くことにした。
大人になってもかろうじて残ってる記憶と照らし合わせながら。

びっくりするくらい街並みが変わっておらず、それと同時にもっと広い/大きいと思ってたのにと思うものが多々あり、記憶というのはあてにならないことを痛感した。

当時通ってた小学校の遠足で宇和島城に行くのが定番だったのだが、その入り口にある児島惟謙像
懐かしさと子供時には気づかなかった新たな発見の両方を見つけた
宇和島名物の鯛めし
甘いお出汁・お醤油が入った生卵に鯛の刺身を絡めて食べる

舗装された道路はあるけど、車は滅多に通らず、商店街もシャッターが閉まってるお店が大半だった。どこか寂しさを感じるこの静けさはイヤホンをしていては感じ取れない。そんな宇和島で黄昏れた後、松山へ戻り、帰りの飛行機の便を取って近くの健康ランドで時間を潰した。

道後温泉へ行こうと思えば行けたのだが、なぜか健康ランドへ行った。
小さい子供を連れて「走ったらだめよー」と注意するお父さんや疲れたおじさんがいる健康ランドへ。

観光客同じくらい地元の人もいる健康ランドには、わかりやすい白黒はっきりさせられるものがない。正義も悪もない、あるのは日常だけだ。

そんなノープランな愛媛旅行は終わった。
食べ過ぎでお腹を壊してしまったのはここだけの話。

〜関西編(2021年)〜

この関西旅行でも、相変わらずカバンに本を詰め込んで新幹線へ乗り込んだ。
呑気にまい泉のカツサンドを食べながら本を読んでるこの時の私は知らない。また宿難民になることを。

大阪で有名なアレ
めっちゃおばちゃんが話しかけてきた

「食い倒れの街」大阪で、食べに食べまくりホクホク顔になった私は「後は泊まるだけ」と思いアパホテルへ。
しかしこの時、アパホテルは新型コロナウイルスの療養施設と使っていた背景もあり一般用に解放していなかったのだ。
またしても宿難民になってしまい、今度こそ野宿を覚悟したのだが、救世主の存在を思い出す。

スパワールド世界の大温泉

翌朝の8時ごろまで営業してるのを覚えていたので、そこで夜を明かそうと思い、急いで新今宮へと行った。
秋深まる季節だったのもあり、あっという間に日が暮れ、肌寒い季節だった。
新今宮駅を降りるべき出口ではないところから出た私は震えた。

まずい…ここあいりん地区だ…

あいりん地区とは大阪市西成区北部にある簡易宿屋が集中する地区(ドヤ街)のことだ。
1泊500円と驚異的な安宿があるという話は聞いていたのだが、遊び半分で近づいては行けない雰囲気を感じており、夜になるとその独特の雰囲気がさらに増していた。

スパワールドは通天閣に程近いため、とにかく早歩きで通天閣を目指した。
やっとの思いでスパワールドにたどり着くと、東横インの看板が目に入った。
もしかしたらと思い、東横インに電話をしたら一部屋空いてるとの吉報が!
安心した私は、風呂とサウナを堪能した後東横インへ行き、束の間の安眠を得ることとなる。

翌朝、予定を立てていなかったのもあり、目の前にある天王寺動物園へ行くことにした。
家族連れやカップルなどが多くいる中で、一人旅の独身男性が紛れ込むのはかなり異様な光景であったが、気にしたら負けだと思い園内へ。

有名なカバのやつ

寝そべったライオンを見て「なんや!寝てもうてるやん!」とコテコテの関西弁を話してるカップルや広場っぽいところにレジャーシートを敷いてお弁当を食べる家族など、コロナ禍で消えかかっていた「日常」を垣間見た瞬間でもあった。
Twitterうんこでは見ることができない生の声がそこにあった。

動物園を出て大阪市立美術館の「聖徳太子展」を見た後、奈良へ行くことにした。宿の手配をせずに…

コロナ禍→疫病→神頼み→大仏とガバガバなマジカルバナナ連想ゲームで東大寺に到着し近辺を散策した。

奈良県名物の鹿に餌をあげるカップル、鹿せんべいを上げようとしたら周りを囲まれてしまい「動物は怖い」という洗礼を浴びせられた子供や制服姿の修学旅行生など、観光地として息を吹き返しかけてる奈良の姿があった。

観光地という「非日常」の中にも、「あ〜あるあるだよね」という光景が溶け込んでおり、そうした空気は決してSNSと睨めっこしていては吸い込むことはできない。

東大寺

一通り散策した後、近くに東横インがあったので今夜はここに泊まろうと思ったが、満席だと断られてしまった。秒殺
当たり前だ、予約なんてしてないのだから。
鹿と野宿することを覚悟したが、京都の東横インは空いているという話を聞き、急いで京都へ。

宿へ向かう最中、近道として住宅街を通った。
太陽も落ち始め辺りが真っ暗になり始める時間だ。
入り組んだ道がなく、きれいに区画された住宅街にポツンと公園(ボール遊びなんてできないし、かろうじてブランコがある程度)があった。

そこの公園には中学生くらいの男女4~5人が公園でおしゃべりをしていた。
「もうそろそろ帰ろうか〜」と一人が音頭をとると、みんな「また明日〜」と言って自転車に乗り、各々が自宅へと帰っていった。
外で遊んだ様子ではなかったので、おそらく日が暮れるまでダラダラとおしゃべりをしていたのだろう。
友人と意味もなく時間を浪費をするのも、青春という名の通過儀礼だろう。

普段の生活だったら見過ごしてしまう「日常」を、なぜか「非日常」を体験しにきてる旅行中でよく目撃する。

そして無事宿にありつけ、ベッドで寝ることができた。

最終日は京都の桂離宮へ行くことにした。

桂離宮(参観は予約制)
近くにある和菓子屋さんも美味しかった

参観は予約制となっているので、参観時間が来るまで近所を散策することにした。
近くの河川敷ではサッカーチームが試合をしており、親御さんたちが応援していたり弟や妹がちょこちょこと遊んでたりと、また「日常」を目撃することになる。

菅義偉氏から岸田文雄氏へと総理大臣が代わり、衆議院解散総選挙の演説真っ只中だったこの時期。
Twitter政治界隈のTLうんこでは白黒つけようと、わかりやすく間違いを犯した人間いわゆる限界系を嘲笑して、終わりなき宗教戦争へ足を踏み入れた(いつもかもしれないが…)この時期に「日常」に触れることができたのは大きな転機なのかもしれない。

〜熱海編(2022年)〜

熱海駅を降り立つと、想像とは別世界の景色に驚いた。

ノスタルジックな雰囲気が漂う熱海とは裏腹に、若者がうじゃうじゃいるのだ。
足湯には大学生の溜まり場と化していた。
原宿、渋谷に次ぐ若者の街となっている。誇張抜きで。

「明日の講義ダルいー」「ガイダンスだから楽じゃん」といった、ザ・大学生の会話が至る所でされており、自撮り棒で記念撮影する光景が散見されている。

商店街へ足を踏み入れると、出来立てアツアツのはんぺんを頬張りながら自撮り棒で記念撮影する若者があちこちに。
笑顔あふれる若者たちには、コロナ禍では我慢して隠してきた「日常」がそこにあった。

ノスタルジックなー若者風にいえばエモいー商店街には”インスタ映え”にステータス全部りしたような海鮮丼屋さんやスイーツなどもあり、すっかり若者の街へと変貌していっている。

若者の街へと変貌してるといったが、ケバい厚化粧をしてる訳ではない。無理のない程度にカスタマイズされてるだけで、地元の人たちからも自然に受け入れられている。
若者が押し寄せるような飲食店にも、地元の人たちが遊びにきている。
(流石にカワイイスイーツ屋さんには来てないが…)
地元民と観光客が同じ店にいる、そんな奇妙な同居を見て「似たような感覚どこかでしたな」と感じた。
松山の健康ランドと大阪の天王寺動物園で味わった感覚と同じだ。

中とろ、ビントロ、ねぎとろのトロ3種が豪快にのったトロとろとろ丼
〆は魚介スープをかけてお茶漬けにして食べる
私の隣の席で食べてた女子大生は、これでもかと魚介類が山盛りになった海鮮丼にいくらとうにを追加注文していた


来宮神社
この鳥居と竹林が絶妙に”インスタ映え”するので、カメラスタンドもある。

そしてその商店街を少し抜けると、瓶ラムネを売ってるお店があり懐かしさから2本購入し、飲みながら宿泊予定の宿まで歩くことにした。
(数多くの失敗から学んだので、事前に宿を予約していた。)

しかし大の方向音痴の私は、熱海の山の中で迷うことになる。
あたりに人っ子一人おらず、このまま熱海の山の中で野宿することを覚悟したが、なんとか気合いでたどり着いた。

泊まった宿は旅館風のホテルといった風貌で、部屋も広々としており快適であった。
それだけでなく、部屋の冷蔵庫にはミネラルウォータとオレンジジュースが2本ずつあり(無料)、大浴場には無料で麦茶が飲めるようになっていたりと至れり尽くせりだ。
(お酒飲みには嬉しいサービス、氷も無料で出してくれる)

朝食もバイキングみたいなものを想像していたのだが、しっかり一人前を用意していただけた。
寒暖差が激しい秋口には嬉しいゴロゴロ野菜のミネストローネ、暖かいパンに合う自家製ジャム、ヨーグルトと甘さ控えめプリンなど想像を超える豪勢な食事にQOLを爆上げさせた。
チェックアウト時は駅前まで無料送迎もしていただいた。

それなのにお値段はなんと、アパホテル1泊分とさほど変わらない。(むしろ安いかもしれない)

観光地でこれほど至れり尽くせりサービス満点であれば、倍の値段をとってもいいのに。
この商売っ気のなさ、欲のなさもまた魅力の一つなのだろう。

ちょうど私が熱海へ弾丸旅行を結構した時、世間では安倍元首相の国葬儀の真っ最中であった。菅義偉氏の弔辞が話題にもなっていた。
それと当時にいつまでも”アベ”的なものから卒業できない大きなお友達がデモを起こしていたり、それに対抗してかー賞味期限的に高級モナカと変わらないー「国葬賛成デモ」を起こしてる集団がいたり、その状況をTwitterうんこでいちいち苦言を呈する人がいたりと、キモいという言葉でしか表現できない状態であった。

しかし、熱海ではどうだろう。
ここには悲しみも怒りも呆れもなかった。
あるのは若者たちの屈託のない笑顔と他愛もない会話があるだけだ。
平日の真昼間なのに国葬をTLで実況するような方々には意外に思うかもしれないが…

私が旅行をする理由

アウトプットという名のもとに「論敵は最後まで殴り続ける」のを厭わない人が多い政治界隈に軸足を置いてしまうと、どうしても見えてこない。
ましてや参政党や小林よしのり氏のようなトンデモ論に対抗するために、医クラに魂を売ってしまった人にはわからないと思う。

人は出かけて会話をして、時には笑う。そうして初めて人間らしさを手に入れる。

そんな当たり前なことを忘れてしまった人が大勢いる。
Twitter《うんこ》と睨めっこして文字ばかり追っかけては、作業用BGMの如く|YouTube時間泥棒を垂れ流す。
そこには五感を研ぎ澄ます必要はない。惰性で視覚と聴覚を使うのみだ。

活字中毒な読書人間の私では、ついつい五感をフル動員することを忘れてしまう。
観光客や地元の人の笑顔、美味しいご飯、その土地独特の匂い、街に溢れる会話、自宅では使ったことのない綺麗な食器の手触り、てんこ盛りな刺激を手に入れることで新鮮な気持ちを取り戻す。

旅行という「非日常」の中に隠れている「日常」を見つける、SNSで毒された政治界隈に必要なのではないか。

また熱海に行きたいなと思ったところで締めたいと思う。
今日はこの辺で。

(本当は福岡とかつい最近いった関西旅行も書こうと思ったが、まとまりがなくなるので泣く泣く割愛)

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