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#落語
【ショート小説】あくびの稽古11号
舞台袖より差し込んだ照明が肩口より斜めに師匠の身体を真っ二つに切り裂いておりました。
京都友禅のしっとりとした手拭いを袖にしまい
「それじゃあ、行ってくるからね。」
そう言うと、師匠は黙ったまま、自らを切り裂いている光をじっと覗き込み動かなくなりました。出囃子の太鼓がぽんぽんと小気味良いリズムを刻んで、そいつに乗っかって滑るように笛の音がピーピーヒャラヒャラと鳴り出します。言葉を訂正します。笛の音
舞台袖より差し込んだ照明が肩口より斜めに師匠の身体を真っ二つに切り裂いておりました。
京都友禅のしっとりとした手拭いを袖にしまい
「それじゃあ、行ってくるからね。」
そう言うと、師匠は黙ったまま、自らを切り裂いている光をじっと覗き込み動かなくなりました。出囃子の太鼓がぽんぽんと小気味良いリズムを刻んで、そいつに乗っかって滑るように笛の音がピーピーヒャラヒャラと鳴り出します。言葉を訂正します。笛の音