【ショート小説】踊り子1号
薄灰色のライブハウスを無数の電飾が瞬いていた。
黄、赤、紫、いくつも不規則に点滅する光に頭はぐるぐると回る。玉虫色のステージでは、踊り子が一人アメリカ仕込みのステップを踏みながら、甲高い歌声を鳴り響かせていた。
光が彼女を照らす度に、白いドレスは色を変え、赤いバレエジュースはしなやかに曲がっている。
元来、暗闇であるはずの地下の空間は大勢の人々でごった返している。
ステージからは、ぼんやりと薄闇の中にこちらを見つめる目線だけが異様に輪郭をはっきりとさせているのがわかる。
踊り