連載小説『ネアンデルタールの朝』⑫(第一部第3章-2)
2、
ラインの電話の着信音で民喜は目を覚ました。時計を見ると、午前10時を過ぎていた。慌てて眼鏡をかけてスマホを手に取る。
「あっ、もしもし」
「民喜、着いたぜ」
将人からだ。
「あっ、すまん。ちょっと待ってて。すぐ行く」
電話を切り、急いで起き上がる。今日は10時に将人が車で家まで迎えに来てくれることになっていた。9時に目覚ましをかけていたのに、寝過ごしてしまったようだ。
ふすまを開ける。ソファーに座って漫画を読んでいる咲喜と目が合う。
「おはよう」
咲喜は日曜日の今日も髪