小説『ネアンデルタールの朝』⑧(第二部第2章-3)
3、
週が明けてから、山口凌空からデモの誘いは来なくなった。山口はもう自分のことを見限ったのかもしれない、と思う。こんなやつを相手にしていても仕方がない、ということが分かったのかもしれない。
学内を移動する際は絶えず山口や「もっちゃん」と顔を合わさないかと気になった。鉢合わせするとやっかいだから、学生食堂も利用しなくなった。普段ほとんど自炊はしない民喜にとって、学食を利用できないのは痛手であったけれど……。昼休みにはいったんアパートに戻り、コンビニで買ってきた弁当やサンドイッ