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小説『ネアンデルタールの朝』第二部

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小説『ネアンデルタールの朝』第二部を掲載しています(全24回)。章ごとにまとめた投稿もあります。
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記事一覧

【新連載】小説『ネアンデルタールの朝』①(第二部第1章-1)

第二部 泉。泉。泉こそは…… 僕はひとり暗然と歩き廻って、自分の独白にきき入る。泉。泉。…

鈴木太緒
3年前
10

小説『ネアンデルタールの朝』②(第二部第1章-2)

2、 アパートに戻った民喜は真っ先に、部屋に飾っている「ネアンデルタールの朝」の絵を見つ…

鈴木太緒
3年前

小説『ネアンデルタールの朝』③(第二部第1章-3)

3、 月曜日になり、秋学期の授業が始まった。4コマの授業に出席した後、民喜はクラブ活動室の…

鈴木太緒
3年前
6

小説『ネアンデルタールの朝』④(第二部第1章-4)

4、 階段を降りると、出入り口のところに明日香が立っているのが見えた。スマホの画面を人差…

鈴木太緒
3年前
3

小説『ネアンデルタールの朝』⑤(第二部第1章-5)

5、 夜寝る前、山口凌空(りく)からラインのメッセージが届いた。開く前から予感していた通…

鈴木太緒
3年前
2

【新連載】小説『ネアンデルタールの朝』第二部第1章まとめ(①~⑤)

第二部 泉。泉。泉こそは…… 僕はひとり暗然と歩き廻って、自分の独白にきき入る。泉。泉。…

鈴木太緒
3年前
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小説『ネアンデルタールの朝』⑥(第二部第2章-1)

第2章 1、 「じゃ、10分くらい休憩で」 パートリーダーの中田悠がにこやかな表情で言った。 民喜はペットボトルのお茶を一口飲み、床に座り込んだ。首を左右に軽く回してみるが、のどはこわばったままだ。 体が少しフラフラとする。無理に声を出しすぎて、軽く酸欠状態になっているのかもしれない。首と肩もひどく凝っているようだった。 窓の外を眺める。打ち付けるような激しい雨が降っている。 「民喜っち、大丈夫?」 中田悠が近づいて来た。 民喜は立ち上がり、 「うん。でも、ごめんね。全然つ

小説『ネアンデルタールの朝』⑦(第二部第2章-2)

2、 朝、目を覚ますと、カーテンの隙間から青空が見えた。数日ぶりに見る青空だった。 結局、…

鈴木太緒
3年前
6

小説『ネアンデルタールの朝』⑧(第二部第2章-3)

3、 週が明けてから、山口凌空からデモの誘いは来なくなった。山口はもう自分のことを見限っ…

鈴木太緒
3年前
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小説『ネアンデルタールの朝』⑨(第二部第2章-4)

4、 練習の帰り道、民喜は大学の近くにあるコンビニに立ち寄った。 弁当コーナーの前に行き、…

鈴木太緒
3年前

小説『ネアンデルタールの朝』⑩(第二部第2章-5)

5、 しばらくの沈黙の後、 「去年(※)、『美味しんぼ』が問題になっただろ」 駿が再び口を…

鈴木太緒
3年前

小説『ネアンデルタールの朝』第二部第2章まとめ(⑥~⑩)

第2章 1、 「じゃ、10分くらい休憩で」 パートリーダーの中田悠がにこやかな表情で言った…

鈴木太緒
3年前
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小説『ネアンデルタールの朝』⑪(第二部第3章-1)

第3章 1、 目覚まし時計のアラームが鳴る。急いで起き上がり、身支度を整える。カバンを持っ…

鈴木太緒
3年前
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小説『ネアンデルタールの朝』⑫(第二部第3章-2)

2、 ――朝早くごめん。もし良かったら、いまから行っていい? 山口凌空(りく)からラインが届いた。 時刻はまだ朝の7時前。夜通し起き続けていた民喜はこれから寝ようとしていたところだった。 一体何だ? 山口から、しかもこんなに朝早くに、家に行きたいという連絡が来たことに激しく動揺する。 けれどもメッセージを既読にしてしまった以上、何らかの返信をしなければならない。 5分ほどどう返事をしようか迷った後、 ――何かあった? 来てもらうのは大丈夫だよ。もう起きてたから。 と返信をす